
2009年、夏。
いつもは 自己チューで、現れるのは突然で。
ヤルことやったら、消えるような さいってーな男で。
いつか 振ってやろうと 思っていた。
そうだ、ああいう男は、プライドが高くて並大抵のことでは納得しない筈。
新しい恋人が出来たと言おうか。(糸の切れた凧みたいなアンタには何も言わせないよ?)
例えば、犬猿の仲の真選組?土方さん?
それとも、アンタの幼馴染みの銀さん・・・・?
そんな似合わないアクドイことを考えてにやにやしてると、
「へぇ、パチにもそんなツラがひそんでいたとはねェ?」
「!!たっ、たかっ、高杉さん!??」
・・・だから、来る時は使いの一つでも寄越したらどうなんだアンタはァァァァ!!!
「・・・突然のお出ましだから何も用意してませんよ」
「いらねエよ。俺が用があるのは、てめーだけだ」
・・・にやけるな!僕のほっぺため!!
ぷくくと堪えていると、
「花火でもやらねえか?」
「・・爆弾の間違いじゃなくて?」
うわうわ突っ込み体質改善した・・・い・・
(オニが睨んでる! 睨んでるよ!!)
高杉さんは、気まぐれにこういう風流なことをする。
え、なに?男のロマン?彼女と花火デート?
ふっ、と斜に構えていると、
「その格好じゃ燃えねえなァ。ひらひらの浴衣に着替えてこいよ」
「・・・・・僕だけですか?」
「あ?」
「僕にも、我が儘言わせてください。」
花火デートは、二人とも浴衣でなくちゃねえ?
僕は父上の部屋の箪笥から、形見の浴衣を出してきた。
「デザインに文句とか言うのナシですよ」
いつもとは逆に、高杉さんを、僕が裸にする。
浴衣の襟を摘み、両手で高杉さんに羽織るように掛ける。
ふわり、とそでを靡かせて「これでいい」と高杉さんは外へ出ようとした。
「ダメですよ!夏でも夜風は体に良くないですよ!」
慌てて後を追う。
すると、羽織った浴衣の影から不穏な笑い声が響いてきた。
「心配いらねぇよ。どーせ、花火の後はパチと体にイイことするんだからなァ?」
影響ねーよ と笑う。
あのねえ・・・
僕は、雪山遭難者をハダカで助ける、献身的な少女か?犬か?
ヒトをなんだと思ってるんだ?
いつか、絶っっ対、振ってやる。
けどまあ、今日の所は許してやるか。
なんせ、今日は僕の誕生日。
密かに、わくわく待っていた高杉さんを、追い出してしまえるほど、
僕はまだ、この人を
キライになれてないーーー。
おわり。
