詩人の小路

       
         *** 詩人:SAKAE IDEI ***

 
1 あなたに会いたくて
2 春の道
3 フルートのささやき
春の日に 
 
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  「あなたに会いたくて」

光そそぐ窓辺のソファ
ひとりまどろむあなたの笑顔
長い旅路を歩いてきた
あなたの瞳には
何が写ったのでしょう?
ああ、わたしも会ってみたい
ああ、若い日を生きたあなたに、あなたに・・・

さくら咲くふるさとの丘
ひとりたたずむあなたの笑顔
風に舞い散る花びらに
今よみがえるあなたの想い出
ああ、わたしにも教えてください
ああ、あなたが愛した人たちを、人たちを・・・

川のほとりを歩くあなた
たとえすべてのものが遠く
流れ去って行ったとしても
あなたの愛だけは消えることはないでしょう
ああ、わたしも探してみたい
ああ、あなたが求めた夢を、夢を・・・



             *この詩にはオリジナルの曲もつけてみました。


         


            

          春の道

    日曜の夜の午前3時
    透きとおった風が
    心の中をふいている

    暗い闇の向こうから
    遠い昔に歩いた
    桜の並木道が現れてきた

    13歳の少年が
    歌をうたいながら
    歩いている

    新しい学生服を着た
    私の娘が
    少年の横を
    自転車に乗って
    走って行った

    時は
    大きな樹木の年輪のように
    回りながら進んでいく

    ああ、私はもうあの春の道に
    帰ることはできないだろう

    でも、私は知っている

    神様が微笑みながら
    「永遠の宝箱」の中に
    輝く想い出たちを
    そっと入れてくれることを・・・




   
        
    「フルートのささやき」

  君は覚えているかい
  あの日のことを

  二階の部屋の白いカーテンが
  静かに揺れていた

  開けはなれた南の窓からは
  麦畑の香りが風に運ばれてきた

  君は13歳の手を伸ばし
  僕の横たわったケースを
  そっと開けてくれたね

  春の光が初めて
  僕を包んでくれた日

  君は僕にいのちの息を
  吹き入れてくれた

  あの日
  僕は
  荒野でたったひとり
  たたずんでいた神様の手を引いて
  君の前にすわらせたよ

  あれから
  どれくらいの時が流れたろうか

  君は毎日
  僕の音色を
  楽しんでくれた

  桜の花が咲いた日も
  風が川浪の上を吹いた日も
  雨がかえでの葉をぬらした日も
  白い雪が田園をおおった日も

  僕は君といっしょに
  愛と涙の歌を
  うたったよ

  長い旅だったね

  今夜はふるさとの
  クリスマスの集い

  白い髪をした神様が
  今も君の前にすわっているよ

  その隣には
  愛しい妻が
  愛する子どもたちが
  親しい友人たちが
  すわっているね

  僕は今日も
  君といっしょにうたおう
  喜びと感謝の歌を・・・

  君が地上の旅を終える日
  僕をそっと抱いて
  天国の門に入ってくれるね

  僕は君の永遠の友だから





春の日に



春が来たよ

春が来たよ

君のふるさとに

春が来たよ


木々たちの葉も

小川のせせらぎも

空を飛ぶ鳥たちも

歓びの歌を

うたっているよ


春の光と

澄んだ空気

愛する人たちの歌う声

神様が

みんなの心のなかで

いっしょにうたっているよ


ああ、

他には

何もいらないよ

何もいらないよ





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