大慈寺には、廬遮那仏(ルシャナブツ)と呼ばれる仏像が安置されています。平成14年12月16日、当時89歳の浪花清仏師様が彫られてご奉納いただいたものです。(脇侍は梵天と帝釈天)

  そもそもこの仏様は、最澄様が大慈寺ご来院の折、「大雄山千部道場(大慈寺のこと)の廬遮那仏の前で伝法を受けた」(徳円の印信)と描写されたにも関らず、いつのまにか大慈寺にはなくなっており、いつの日か再度お祀りしたいと願っていた仏像でした。

  そんなあるとき、浪花仏師様とご縁をいただき、仏像を自分で彫ってご奉納いただけるというお話をいただきました。これは願ってもない申し出、謹んで廬遮那仏をお願いしたいとお答えいたしました。

  浪花仏師様は熱意の方。楠の大木を切るところから始まり、最後の仕上げまで、約三ヶ月ほどで完成してしまわれたのです。

  しかし仏師様の願いは他にもございました。「これを自分一人で彫っては意味がない。都合のいいことに、この廬遮那仏は背中に沢山の仏様を持っておられる。それを檀信徒の方々に彫っていただいたらどうであろう」というお申し出をいただいたのです。しかも、しろうとの方は彫りにくいであろうから、といって小さな材料となる木片の荒彫りまでしただいていただきました。

  そしてこのお話は、檀家さんだけではなく、日本各地の信徒さん、そして中国の仏師さんまでのご賛同を得ることができました。そして結果的に87名の方がご協力をくださり、その方々の彫られた光背仏を乗せて、平成17年9月23日開眼法要が営まれました。

  お一人の方が彫られた仏像も立派なのですが、多くの方の願いと祈りを込めた光背仏が乗りますと、これまた一段と輝かれ、「御魂が入った」と感じられました。

  この仏様は大慈寺の存続する限り、お祀り申し上げる予定であります。



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  廬遮那仏