第10話 夕暮れの談笑
  戦況は大きく変動することとなった。

  祐一とことりの参戦により、祐一が片方の敵を相手にするため純一達全員はその反対側のみを相手にすればいい事となる。おかげで気兼ねなく目の前の敵のみに集中すればいいので、先ほ
  どのマイナス思考もどこかへ吹っ飛んでしまった。

  何より行方不明だったことりに出会えたのが今の純一と音夢にとっては大きな精神的な支えとなっていた。

  陣形としては音夢とことりが後衛。そして前衛に純一を筆頭にして名雪と一弥が展開する。

  ことりの立ち位置は馬車のすぐ側である。馬車が純一達にとって護るべき対象であるということを察知して、いつどこから狙われてもいいように周りに注意を配りながら戦っている。

  その反対側では祐一が魔物たちを相手に大太刀振る舞いを演じている。

  欠片ほどの隙も見せず完璧な戦いを展開し、魔物たちにぐうの音も言わせないほどの勢いで戦い続ける。その表情はまだまだ余裕といった感じだ。

  だがそんな中で祐一がふと洩らす。

  「そろそろ面倒だな。一気に抜けるか」

  そこから行動に移るのは速かった。

  瞬時に魔素に干渉。そして魔法を放つ。

  「ホワイトチェーン!」

  例の如く魔物を捕縛するのかと思いきや、街道の木々に張り巡らせる形で光の鎖を展開する。

  光の鎖は魚を捕らえる網のように張り巡らされると魔物たちの行く手を阻む。時間稼ぎのようだ。

  祐一はすぐにそれを確認するとことりたちのいる方に駆け出した。

  「ことり!」

  「祐一君! そっちは終わったの?」

  「いや、まだだ。だが正面から突破するぞ。馬車の中にいる人を出しておいてくれ」

  「うん、わかった!」

  ことりに指示を飛ばすと祐一はすぐさま鎖に動きを封じられた魔物たちが見えるとことまで戻って行った。

  ことりもまたそんな祐一の言葉に異を唱えることなくすぐに行動へと移った。

  「音夢! 馬車の中の人は何人?」

  「えっ?! 一人だけど」

  「それじゃ、その人中から出して、速く!」

  「う、うん!」

  ことりの剣幕に押されて音夢はその指示に従い、馬車の中に入り乗っている人を表に出す。

  その間にことりは純一達に指示を飛ばした。

  「純一君たち! 下がって、速く!」

  「な、なに!?」

  「なんだか知らんが、今はそれに従うんだ!」

  「わかりました!」

  純一達はことりの声を聞いて戸惑いを見せるが、純一の鶴の一声に名雪と一弥は反論することなく一度後退する。

  それと同時にことりは白風を巧みに動かし網目模様を描くと街道の端から端まで行き渡らせる。

  「風護障壁!」

  普段は自分の身を護るために展開する風護障壁を使い、街道に風の壁を展開する。

  そのおかげで魔物も完全に足止めを喰らいこちらに歩を進める事は出来ない。

  「ことり! こっちはオッケーだよ!」

  音夢は馬車の中から一人の女性を連れ出してきた。

  その髪は腰の辺りまで伸び、綺麗と素直に形容できる容貌をしている。だがその頭上には幼げな可愛らしさを誇張するようにアクセントである大き目のリボンが飾られている。

  それでもそのギャップを補って有り余るほどに美人という部類に入る女性だ。

  「何がなんだか分からないんだが、どういうことだ?」

  「祐一君がどうにかするらしいの。私はとにかくそれに従っただけだから」

  ことりは白風で障壁を展開しながら純一の質問に答える。

  「一体どうするつもりでしょうか?」

  それぞれが疑問を抱きながら言葉を交わしていると、馬車の陰から祐一の声が聞こえてくる。

  「準備できたか?」

  「あ、うん!」

  「それじゃ、こっちに来てくれ」

  言われるがまま祐一のいる方に向かうことりたちが見たものは、既にチャージが完了されている祐一の姿だった。勿論チャージとは魔法を放つためのコアの事である。

  「よし。それじゃ、景気良く行きますか!」

  祐一は片手を鎖により道をふさがれている魔物たちに向けてかざす。

  その手の平には淡く光る白い輝きが集められていた。

  「“ホーリーノヴァ”!」

  放たれたのは究極魔法と呼ばれる人間が生み出した光属性魔法の中でも最上級の威力を誇る魔法の一つであった。

  光の閃光、というよりビーム砲という表現の方が適切だろう。道幅と同じくらいの規模で放たれた光の波動が魔物たちを目指して直進していく。

  まさに光速のスピードで瞬きすれば見逃してしまいそうな程の間に光の束は魔物たちを光の鎖ごと射抜いていった。

  地面すれすれを駆け抜けていった光は森をそのまま突っ切り、その後徐々に上昇していくとやがて空の彼方に消えると同時に魔物たちの姿もまたそこには一体たりとも存在していない。

  魔物の軍勢は光の力により祐一達の視界からチリ一つのこさず完全消滅してしまった。

  「よし。馬車は狙われやすいから放置してさっさとここから抜け出す。走るぞ!」

  ホーリーノヴァの力で完全に一掃された魔物たちの光景を目の当たりにし、呆気にとられてしまうメンバーが幾人かいた。

  それは純一とことりを除く四人であった。

  純一はことりの話で聞いたようにSランクのハンターであるためインパクトは少なかった。

  ことりもまたそれに同じだが音夢、名雪、一弥、そして馬車から出てきた女性はこれほど強力な魔法を目にするのは稀なため驚きを隠せないでいるのだ。

  それに祐一の究極魔法の威力が並の威力よりレベルの高いものなので、より派手に見えるのも相乗しているといえる。

  「お前達、呆けてないで行くぞ」

  「あ、はい!」

  純一の一言に正気を取り戻して音夢たちは現実にカムバックすると、一目散に開けた道を駆け抜けていく。

  森の中を駆け抜け、ひたすらに出口を目指す。だが走りながらも祐一は一人周囲に気を配っていた。

  「・・・・・・・・・・・・」

  その最中で一瞬だけ祐一の顔が厳しくなるが、何もアクションを起こすことなく駆け抜けていった。

  「出口だよ!」

  木々の隙間から覗く景色を見て名雪が安堵の声を洩らす。

  その言葉に皆は表情に安堵の色を浮かべた。

  そして別段強襲を受ける事もなく無事に森から脱出に成功した祐一達。息を整えながら出てきた森の方を振り返っている。

  「どうやら助かったみたいですね」

  「ホントに酷い目にあったよ」

  「全くです。以後こんな目には遭いたくありませね」

  「同感だ。かったるくてかなわん」

  危機的状況から無事脱出した事を喜び、溜まっていた不満が言葉となって洩れ出す。

  しかしことりだけは祐一の些細な気配の違いを気にかけている様子だった。

  「・・・・・・どうかしたの?」

  簡潔に一言だけ祐一に問い掛ける。

  それに祐一は険しい顔で答えた。

  「逃げたか」

  「逃げた?」

  「森の中を走っている時わずかに厭な気配を感じた。おそらくアンデットモンスターに一枚噛んでいると見て間違いない」

  険しい表情を崩すことなく祐一はことりに説明する。

  「それじゃ、これはやっぱり誰かの仕業ってこと?」

  「おそらく、だがな」

  歯切れの悪い回答だがどこか確信を持った素振りの祐一。

  浮かれ気分の純一達とは違いこちらはシリアスな雰囲気のままである。

  「あのー」

  その時馬車の中にいた女性が祐一に声をかけてきた。

  「あなたは?」

  先ほどまでの険しい表情を解除して爽やかに努める祐一。

  だがそのせいで話しかけてきた女性が顔を赤らめているのはご愛嬌。横でことりが若干むくれているが気にしてはならない。

  「わ、私は倉田佐佑理と言います。佐佑理と呼んでもらって構いませんよ」

  見た感じの限り受けた印象とは違い、名雪と同じようなぽわ〜んとした雰囲気をかもし出している佐佑理。癒し、という言葉が思わず出てきそうな母性的な雰囲気にも似たものを持っているよう
  に思える。

  「それで佐佑理さん。どうかされましたか?」

  「実はですね。心当たりがあるんですよ」

  「心当たりって、この騒動の首謀者ですか?」

  「そうです」

  「・・・詳しくお話願えますか?」

  瞬時に祐一の表情が鋭さを増す。

  祐一の周囲のみ一瞬にして刃物のように研ぎ澄まされた雰囲気に変化した。

  それを感じ取った純一もまたこちらへと歩み寄ってきた。それに続いて音夢たちもこちらへとやって来る。

  「それでは、お願いします」

  それをチラッと確認すると話を進めるように佐佑理に促した。

  「実は、私のお父様はファンシスタの大臣を務めていまして、その仕事上で恨みを買う事も少なくありません」

  「大臣クラスとなれば色々と妬み恨みを持たれることもよくある話だ。その地位欲しさに逆恨みするヤツや仕事をこなす上で排除されたヤツまで様々だろう」

  「はい。以前お父様の仕事の手伝いをしていた時お話を聞いたのですが、何でも生物兵器を作ろうとしていたマッドサイエンティストの話を耳にしました。その人は国の戦力となりうると
  生物兵器の研究を主張し、研究費用を求めて交渉に来ましたがそれをお父様が断りました」

  「それで逆恨みか? 安い自尊心だな」

  鼻であしらうようにしながら祐一が佐佑理の説明の合間に呟く。

  その様はくだらないと呆れているという様子だ。

  「それだけではありません。お父様はその科学者のことを詳しく調べてみると、過去非人道的な実験を繰り返しているということを知り、科学者を捕縛したまではいいのですが逃げられた
  と言っていました」

  「ちなみにそれはいつの話です?」

  「確か、紅の悲劇が終わったと同時でした」

  「なるほど。悲劇の余波で軍事力欲しさに付け入ったはいいが受け入れられず、おまけに研究の邪魔までされて挙句の果てに掴まり脱走か。それで逆恨みに娘の誘拐か殺害を試みた、ってと
  ころが大筋のシナリオだな。おまけに厄介な物まで作り出したわけだ」

  「と言う事はやっぱあのアンデットモンスターは作られたものか」

  「ほぼ100%そうだな。アンデットがあんな大量に群れで発生して人を襲うなんて聞いた事がない。群がるにしても自然にというケースもありえない。もし意志を持ったアンデットが絡んでいるとし
  てもそう簡単にいるはずがないんだよ。そうなると導かれる答えは」

  「人工的に生み出された」

  「そういうこと」

  「それじゃその科学者がこの近くに?」

  「さっきまでいたが、森を抜けたら気配が消えた。どうやら逃げ出したらしい」

  「戻ったらいろいろ調べてみる必要がありそうだな。とりあえず次の町に行こうか。ことりといろいろ話もしたいしな」

  「そうだね」

  「町もすぐそこだし、とりあえずそこまで行ってみるとしよう」

  気がつけば日も西の水平線に沈みかける頃合だった。

  状況を整理するのも兼ねていつまでも敵に襲われた地点から目と鼻の先で会話するのを中断し、一路腰を落ち着かせるために町を目指していくのだった。













  歩くことにそれほどの時間も要せずに最寄りの町まで辿り着いた祐一達は町のメインストリートに位置する飲食店に入ると、それぞれ注文を終えてから話を始めた。

  「それにしてもことりが生きててよかったぜ。暦さんも喜ぶな」

  「お姉ちゃんも生きてるんだね?!」

  純一の口から姉の名前があがると目を見開きながら喜びを露にすることり。燦然と輝く笑顔がその胸中を物語っている。

  「はい。今はファンシスタの王宮研究所で研究員として働いています」

  「そっか、よかったぁ」

  姉の無事を確認すると思わず安堵の声を洩らしながら胸を撫で下ろすことり。一つ肩の荷が下りたようだ。

  それを見て祐一はかすかに微笑んでいたが、いつもは祐一の些細な変化に気づくことりも今回は気づくことはなかった。

  それだけ久々の再会に喜びを感じているという事だろう。

  「それで、ことりは今までどうしてたんだ?」

  「みんなを探して旅している時に祐一君に助けられて、それから私のことを特訓して強くしてくれたり、みんなを探すのを手伝ってくれたりしながら一緒にここまで来たの」

  「さっき見た限りではかなり強くなっていたようですけど、どのくらいまで強くなったんですか?」

  「今はSランクで『風の妖精』っていうギルドネームだよ」

  「マジ!? ことりは確かAランクだったから二つも上がったわけか」

  「でも努力したのでしょ? それならその結果として当然だと思います」

  「そんなことないよ。これも祐一君が鍛えてくれたおかげだもん」

  驚く純一に対して冷静にものを見る一弥。そんな言葉を謙遜気味に返すことりを見て祐一がフォローを入れる。

  「それは違うぞ。俺の特訓についてきたことりの努力なしでは成しえなかった事だ。その辺は胸を張っていい事だぞ」

  「そうっすか?」

  「それにしてもどんな特訓をしたんですか?」

  「基礎を重点的に二ヶ月。それを過密スケジュールこなしただけだ」

  「それだけか? 二ヶ月間でそこまで辿り着けるものなのか?」

  「確かに聞く限りではそんな感じだよね」

  祐一の言葉に半信半疑の純一達。

  「舐めてもらっては困るな。一日の睡眠時間を極限まで削り、食事と睡眠、それと入浴時以外は全て特訓に裂いた。それが二ヶ月だぞ? 果たしてどこまで保つかな?」

  祐一の不敵な笑みとともに特訓の内容が述べられるとそれぞれがその様子を想像する。

  やがてみんなの顔色が若干青ざめていった。

  「ことり、良く耐えられたね」

  「俺だったら真っ先に逃げ出すな」

  「確かに甘く見てましたね」

  「私だったら寝ちゃうよ、きっと」

  という具合にそれぞれの考えの甘さを訂正していった。

  口調だけを見ればまるで同情するかのようだが、それにも増して賞賛を送っていた。

  「私もあの特訓はできることなら二度と体験したくないっすよ」

  ことりもそれを苦笑いしながら言う。

  「そういえば、そんな特訓を課せた、え〜っと・・・・・・何て言うんだっけ?」

  「相沢祐一だ。それと今更ながら自己紹介して欲しいんだが。俺は全然名前がわからないんだ」

  「そういうことなら、まずは俺から。俺は朝倉純一だ。水属性のSランクで『夢水の流れ』というギルドネームだ。幻想の騎士団の一員だ」

  「妹の音夢です。属性は雷でAAランクです。同じく騎士団の一人です」

  「そこにいる姉の佐佑理の弟、倉田一弥です。雷属性でAAランクです。僕も二人と同じ騎士団員です」

  「水瀬名雪です、よろしくね。私も騎士団なんだよ。ランクはAAで水属性だよ」

  「改めまして。倉田佐佑理です」

  「一応、白河ことりです。ランクはSで、風属性です」

  「一通り覚えたぞ。これでやっとまともな会話ができるな」

  本当に今更な自己紹介を済ませると話を元の路線に戻す。

  「それで、ことりを鍛えた相沢のランクがかなり気になるんだが、一体ランクはいくつだ?」

  「SSランクだ。ちなみに光属性だぞ」

  「・・・・・・予想はしてたけど凄いんだな、オマエ」

  「それならさっきの魔法もうなずけますね。並の人より威力があった気がしましたから」

  先ほどのようにあまりぶっ飛んだりアクションはしなかった。

  だが次の瞬間、ランクの分まで上乗せしたようなりアクションが炸裂する事となる。

  それは名雪の一言がきっかけだった。

  「ギルドネームは何ていうの?」

  「一応『光の闘神』という」

  「光の闘神ていうんだ」

  「ことり、知らなかったの?」

  「だって、知る機会が無かったんだもん」

  「一緒に旅してたのに以外ですね」

  照れ笑いを浮かべながらことりが言うと、音夢は少し呆れた様子をしていた。

  だがその横で純一だけが深く考え事をしていた。

  「光の闘神・・・・・・・・・・・・光の闘神だとっ!?」

  そしておもむろに純一はイスから立ち上がり、その勢いでイスを後ろに倒したことを気にかける様子もなく目を見開いて絶叫しながら驚いている。

  その際テーブルが大きく揺れ、その上に乗っていた皿やカップなどが大きく飛び跳ねたのは言うまでもない。

  そしていきなりの事に周りのメンバーは勢いに押され気味である。

  「ど、どうしたんですか兄さん? そんなに驚いて」

  「驚かずにいられるか! 最近ギルドが指定した『ドミネイター』候補者の一人。それが『光の闘神』だ」

  アドレナリンが大量分泌され、異常なほど興奮している純一。

  だがそれ以外は冷めきった雰囲気で純一を見ている。

  「なんだその『ドミネイター』ってのは?」

  「最近、SSランクの中でも群を抜いて実力のあるハンターに与えられる称号のようなもので、それを『ドミネイター』と総称して言うんだ」

  「そんなことをして何か得でもあるんですか?」

  ギルド側の意図が読めない一弥が純一に対して問う。

  「ああ。いざ手におえない事が起こったら『ドミネイター』に依頼すればほぼ解決できる。そのためにあらかじめ調査をして情報が円滑に手にいるようにしておくんだ。各ギルドにドミネイターの人
  物が現われたかどうかをチェック入れるようにしておけば自然と情報は流れるだろ?」

  「かいつまんで言えば、いざという時のための切り札として常に手の届く所に置いておこうという事ですね」

  「そういうことです」

  「と言うことは、祐一君は世界でも有数の実力を持つハンターってことっすね」

  「本人の知らない所で何を勝手に決めてるんだか」

  純一の説明から自分が保険になるように鈴をつけておこうというギルドの案を知り不機嫌混じりに愚痴をもらす祐一。

  それ以外は純粋に関心を示している。

  「それだけ紅の悲劇の影響が大きいのさ。これから先どんな些細な事でもまだ成長しない芽の状態で刈り取ろうという魂胆だろう」

  「確かにそういうことは必要でしょうね」

  確かにあれほどの絶望を味わえば人という臆病な生き物は安全策として様々な手段を行動に移すだろう。

  まさにその一つがこの『ドミネイター』の案だということだ。

  「ま、俺には関係のない事だけどな」

  だが興味関心ゼロの様子で素っ気無くこたえる祐一。

  祐一にとって勲章や栄光などあっても邪魔なレッテルという事だ。

  「そういうことは個人の問題ですから佐佑理達が何を言っても意味のない事ですが、それでも凄い事ですよね」

  「そうだよね」

  「俺なんてそんな大層なものじゃないさ。それより、これからについてなんだが、どうする?」

  名雪たちが捲くし立てるようにして褒めちぎるに対して祐一の表情はあまりさえない。

  仕舞には自分を卑下するような言葉まで出てくるが、今後の行動について話題を変えることによって一瞬漂った暗い空気を払拭する事が出た。

  「まずは宿探しですね」

  「それもあるけど、これから先例の科学者が動かないとも限らないから、その魔の手から佐佑理さんを護らないと」

  「交代で見張りを立てるのが妥当だろ」

  「そうだね」

  とりあえずこの先何をすべきかの方針が立ったので長居無用と店を後にしようとする。

  「すいません。佐佑理のために色々と」

  「姉さんが悪いんじゃないよ。気にしないで」

  その時佐佑理がみんなに対して頭を下げて礼を言うと、佐佑理があまりにも気に病んでいるということを悟り一弥はそっと励ます。

  「ありがとう。一弥」

  そう言って笑顔を見せる佐佑理だが、その奥にみんなに迷惑をかけているという思いを拭えないのが表情に出ていた。

  そして店を後にすると今晩の宿を探すために町へと繰り出していった。

  こうして祐一達は一抹の不安を残したまま、闇に包まれる夜という時間を迎えるのだった。




  To be continued・・・


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