小説の文章

ビジネス文章や参考書と違い、小説の文章は変わっています。小説を書く場合、書き方を意識しないといけません。なぜ、違うのかは心理的側面から見るとわかりやすいと思います。そもそもビジネス文章や参考書は読み手が”読まなければいけない文章”です。なので、できるだけ簡潔にまとめて書いています。しかし、小説はどうか。はっきり言って、読み手は”別に読まなくても支障のない文章”です。書き手はこのことを意識しなければいけません。

 あなたが本屋へ行って小説を立ち読みしようとします。背表紙のあらすじを読んで、次に出だしの数行か、数ページ読んで終わり。といったことがあると思います。書き手はこのことを意識しなければいけません。例えて言うと、出だしの数行、数ページに魚(読み手)を食いつかせる餌(ネタ)と釣り針(仕掛け)を用意しなければいけません。それでつれなかったら魚(読み手)は逃げてしまいます。これを考えると小説の出だしはかなり重要です。実際、小説の出だしはそうとう難しいです。漫画もそうですが、漫画以上に小説は絵がないのでハードルは上です。

 出だしでなにを書くかは短編、長編で違いますが、いろいろ小説を読み比べるとわかります。この本が言いたいことの格言みたいなことを出だしで書いたり、主人公がいる場所の風景だったり、台詞だったり。これは書き手が自由に書くので決まってません。いろいろ小説を読んでみましょう。しかし、決まって共通することがあります。出だし数ページで主人公は誰か。今いる場所は。状況、心理状態、季節などが書かれています。これは読み手を迷わせないためにこの物語はここからはじめますよと紹介してます。

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静と動

小説の文章には弱点があります。小説は漫画と違い絵がありません。文章だけです。なにがいいたいかというと、単語としての語彙と、文章しかありません。大胆な構図やキャラクターの絵で魅了することができないので、単語と文章の繰り返しです。擬音なども一部のラノベなどを除きあまり使えません。擬音は現実味が薄くなるので、他の文章の言い回しで補います。このあたりは手元の小説を参考にしてください。当然、絵がないので文章では人物の動きにめりはりがつきにくいです。どうするか。単語と文章で補完します。ゆっくりとした状況を表現したい場合は文章のながさを伸ばします。つまり、一文あたりの文字数を増やします。すると間延びした感じが出るので、ゆっくりとしたイメージを読み手に伝えることができます。ちなみに、一文あたり(〜。までの長さ)をセンテンスといいます。

 小説の弱点は動です。漫画と違い絵がないので動きに迫力がありません。これは正直どうしようもありません。しかし、工夫すれば少しはよくなります。センテンスを短くぶつ切りにします。たまに小説で主語がない動詞だけのセンテンスがあると思いますが、あれは主に文章に躍動をつけたいときに使います。もちろん、多用すると飽きられてしまうので小説ではあまり使いません。動は小説の弱点なのでここぞというプロットを最初に練って使うと効果的です。

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起承転結

物語には起承転結を使うと読み手に効率的に伝わります。起は物語のはじまり。出だしなどを含めて。承は起のつづき。付随する説明や経緯などを書きます。転は読み手を飽きさせないために意表をついた展開などを書きます。結は物語のオチです。起承転結の他に序破急などがありますが、これは起承転結の転結をまとめて急にしたようなものです。小説では序破急はあまり使わないと思います。

 起承転結をわかりやすく漫画にしたものがあります。4コマ漫画です。4コマ漫画をよく読むと物語をつくる参考になります。漫画や、小説もそうですが、長編もののような大作よりも短編やショートショートのような短いもののほうがつくる場合、難しくなります。長編を書くとキャラや書いてきたあらすじを参考に書きながら話の続きを継ぎ足すことが可能ですが、短編などはそうはいきません。限られた枠でオチをつけなければいけないので長編よりも短編のほうが数倍むずかしいです。なので短いものを書く場合はあらかじめプロットなどをしっかりとつくります。書き手のなかでプロットを書かないで書き始めるというスタイルもありますが、参考までに書き始めるまえにつくっておくことをおすすめします。

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メッセージやテーマ

物語を書く場合、ひとつの作品で、ひとつのテーマやメッセージを入れるとまとまりが良くなります。ふたつ以上入れると逆にまとまりが悪くなるので、気をつけましょう。長編やながい短編などは、大テーマに付随する中小テーマやメッセージなどを書いたりします。この場合、オチに大テーマに帰結しなければいけません。なにをいいたいのかわからなくなり物語にまとまりがなくなります。この手の参考にも手元にある小説などを読んでみてください。

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どんなふうに書くの?

小説といっても漫画と共通するところがあります。読み手にわかりやすく、おもしろいと思わせることです。物語の世界観に重点を置いて書くか、物語の流れに重点を置いて書くか、キャラに重点を置いて書くか。などを決めます。文章では専門用語を少しだけ入れて現実を舞台にすると妙に現実味があるSFなどができます。その逆もありますが難しいです。世界観などは独特の文体などで代用できますがこれも難しいです。手元の小説を参考にするとわかると思います。

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うまくなりたいんだが

小説指南書などのいわゆる書き方の本など探せばあるのですが、それより良い手本があります。あなたの目の前にあります。小説の手本は小説です。これ以上の参考書はありません。漫画だって書き方の本より、実際の刊行されているものを参考にしたほうがよっぽど役にたちます。手元にある小説といってきたのですが、好きな作家でいいので数冊えらびます。できれば起承転結がしっかりしている短編がいいでしょう。小説の上達法はどうするのか。手っ取り早いのは、文章を紙のノートなどに模写します。キーボードなどだと打鍵速度が速すぎてあまり役に立ちません。この考え方は漫画と同じです。模写することで書き手がなにをいいたいのか、ここはどんな言い回しをつかっているのか、キャラの性格、行動、考え方など読んでいたときよりもわかるようになります。

 模写するときはなるべくきれいにではなく普段とかわらない書体で模写していきます。漫画の模写は別ですが、小説の模写は字がきれいきたないで評価されません。自分の場合は書きやすい紙がないので大学ノートを横向きに開いて、罫線をたてにして、そこにボールペンで書いていきます。文字を間違えたら、間違えた文字をボールペンで塗りつぶして下に正しい文字を書いていきます。ボールペンなのは消しゴムを使うのが面倒くさいのと鉛筆よりも色が濃く目立つからです。必要なのは中身なので格好など気にしないようにしています。できるだけゆっくり書きます。量ではなく質で。暗記ではないので書き手の立場になってみてと想像して模写していきます。ここはこういう言い回しをするのか。などと考えながら模写するといいかもしれません。最初から最後までというのもありですが、長編だとさすがにしんどいので、出だしだけとか、おもしろい言い回しのとこだけというのもありです。

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ネタはどうするの?

小説を書くのに一番こまるのがネタです。書きたいことがないんだがなんか書きたい。そんなときは、ベタですが、情報収集をします。ひとつでふかくもいいですが、最初はひろくあさくで探るといいです。それでもネタがわからないときはすべて忘れます。気分転換しましょう。別のことをします。で、別のことに意識をそらそうとするけどネタさがしにもどってしまう。そういう癖がつくようになるとネタがふっと思い浮かぶことがあります。

 エロ少年が、エロ本を捨てたんだけど、やっぱりエロに戻ってしまうようなノリです。仕事として続けている書き手はわかりませんが、趣味でやるのなら気楽にとらえていたほうがいいです。アンテナを無意識にたてているとビビッとなにかひっかかるような感じだと思います。やじ馬か新聞記者みたいで正直、嫌ですね。

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おわり

読んでいただきありがとうございました。今回は私の意見ではなく過去のいろいろな作家さんたちのインタビュー記事などを参考につくりました。ネタあつめは石田衣良さんあたりだったと思います。

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