装備品について

山は確かに美しい!しかし時には自然も牙を剥く時があります。私もなめてかかってしまって、偉い目にあってしまった時が何度かあります。(遭難寸前まで行ってしまったこともあります)

そんなもしもに備えて必要最低限の持ち物は持っていくようにしたいものです。はて?どのような持ち物が山歩きの必要最低限なのか?ここでは必要最低限リストとあったら便利に分けて書き出してみました。


必要最低限の持ち物

ハイキングシューズ
「テニスシューズやジョギングシューズ等の運動靴で十分ですよ。一度だけのためにわざわざ新しい靴を買うこともありません。」よく聞く言葉です。
確かに、そうかもしれません。夏場に鳩待峠から尾瀬が原往復や沼山峠から尾瀬沼往復程度であれば、真新しいスニーカーで来ている人も大勢見かけます。
でも、雪解けのシーズン(水芭蕉のシーズン)や、それ以外でも尾瀬が原と尾瀬沼をつないで歩く場合(特に白砂乗越あたり)、どろんこ道が待っています。「備えあればうれい無し」だと思います。
ハイキングシューズといっても、防水性の高い皮製のものと、軽量で比較的安価な布性のもの(雨等では徐々に水が浸みてきます)がありますが、予算に合わせて選択しましょう。
私の場合、少し厚めのソックスを履く都合上、普通の靴よりも0.5〜1cm程大き目のサイズを選んでますが、メーカーによって大きさが少々異なるようなので、店の人に良く相談した方が良いと思います。
なお、靴の中の縫い合わせの凹凸が無いか注意しましょう。私の場合、有名スポーツシューズメーカーの製品にも関わらず縫い合わせが雑な靴を買ってしまい、そこに当たった部分にまめができてしまい苦労したことがあります。
また、尾瀬で生活する人達(小屋の人等)によく使われている長靴やマリンブーツ等も、雪解けの季節には、良いかもしれません(行き帰りの車中で注目されるかな?)。

ソックス
山を歩く人達には、昔からウールの靴下が使われていましたが、現在は春から秋にかけてはすべてオーロン製品(あるいはその類の新素材)で間に合います。
綿製品では汗を吸収して固く感じたり雨に濡れて冷たい思いをしますが、オーロン製品は汗を吸収しても外部に発散させるとかで、とにかくさっぱりしています。また雨に濡れても暖かくまさに快適です。

服装
少々寒くても歩くということは運動することなので、身体は徐々に暖まりますし汗もかくようにもなります。従って、温度調節をしやすい(着たり脱いだりしやすい)服装が良いことになります。
そしてお勧めはやはり「オーロン」製品です。綿製品の下着やTシャツは着心地は良いのですが汗をかくと身体にべたべた張り付いて気持ち悪く、身体が冷えると今度は寒くなってきます。オーロンの場合、どんなに汗をかいてもさらっとしており、休憩中でも身体が冷たくなることもありません。
また、ズボンはゆったりしたものが動きやすく良いとのこと。ジーパンの人を時々見かけますが、ピッタリしたものは足の動きを邪魔するため疲れやすく良くないそうです。 背広ネクタイ姿の紳士やミニスカートにハイヒールの女性なども時々見かけますが、論外です。

帽子
いうまでもありませんが、炎天下での無帽は自殺行為です。日射病,熱射病を防ぐためにもくれぐれもお忘れなく。

リックサック,デイパック(荷物入れ)
天気が良いからといって、空身で歩いているアベックさんを時々みかけますが、山の天気は変わり易いもの。大雨に打たれて破局を迎えるのもどうかと思います。
必要最低限の装備を運ぶためには、両手が空くようなものがベストです。

雨具
山の天気は変わり易く、雨具は必携です。尾瀬の様な平坦地が多い所では傘も快適なのですが、片手がふさがってしまいます。足に自信の無い人は、やはり避けた方が良いでしょう。混雑時期にも邪魔にされそうですし。
お勧めなのは「ゴアテックス」製のセパレート型。汗をかいてもあまり蒸れずに快適です。そして寒いときや風の強いときに上着がウィンドブレーカーとして使用できます。 ちなみに、本物のウィンドブレーカーは防水性が無いために雨具としては使用できませんのであしからず。
また、山小屋などで売っている携帯用のレインコートはあくまで間に合わせにしかなりません。突然の雨にそのレインコートを着せられた小学生の男の子が冷えた汗に体温を奪われ、小屋の前で唇を青くして震えていたのが気の毒でした。

セーター(防寒具)
尾瀬が原は標高約1400m,尾瀬沼は標高約1650mあります。
そして、気温が標高が高くなると低くなるということは、皆さんご存知の事実ですが、どれくらい気温が下がるのでしょうか?
一般的には100m毎におよそ0.6度下がると言いますので、単純計算で東京が30度であれば尾瀬が原は21.6度,尾瀬沼は20.4度ということになりますし、朝晩はさらに冷え込みます。
少なくとも薄手のセーター1枚くらいは持って行きましょう。

ゴミいれ
自分で出したゴミは自分で持ち帰る。
これは尾瀬を訪れる人の最低限のマナーの一つです。
ゴミを入れるための袋は必需品です。

水筒
ハイキング等には本来水筒は必需品ですが、水の都 尾瀬では無くてもどうにかなってしまいます。喉が渇きかけた頃に清水が湧いていたり、小屋の前ではジュースや飲料水が提供されています。
しかし、やはり何があるかわかりません。水筒は持参しましょう。
なお、保温水筒の暖かい飲み物が貴重な雨の日もありますし、自分専用のコップも結構役に立ちます

あったら便利な持ち物

ガイドブック,地図
尾瀬では指導標は十分すぎるほどありますが、それでも自分が行きたい方向と逆へいってしまっている中年のご婦人などをときどき見かけます(マイナーなコースへ行ってしまい遭難しかかった例もあります)。自分が訪れる場所の下調べ位はやっておくべきです。

懐中電灯
予定通り行動できればそれに超したことはありません。しかし、予定外の出来事に遭遇することも多々あります。懐中電灯はそんな時に役に立つ強い味方です。
山小屋宿泊の時には、早発ちの時の荷物の準備の時にも役に立ちます。
普通の物でも良いのですが、ヘッドランプ型の場合は両手が空くため使いやすいと思います。

杖,ハイキングステッキ
普段歩きなれない人やお年寄りなど、登り道や下り坂等で何かにすがりたくなって、そこで目に付く枯れ枝を何気なく杖替りに。
ちょっと待って下さい。尾瀬は国立公園特別保護地区。木の枝や落ち葉でさえ動かすことはできないのです。
最近は軽量で折り畳みのできるハイキング用
ステッキやストック等をスポーツ店で買うことができます。足に不安のある人はあらかじめ持参するようにしたいものです。

スパッツ(よく山歩きの人の間で見かけるシューズとズボンの裾との間に装着しているビニール製のカバーあれです)
雪とどろんこさえ無ければ無用の長物だと思いますが、残雪の季節には非常にありがたく思えるグッズです。 靴に泥や雪や雨が入ることを防いでくれますし、汚れも防いでくれます。 雪山でも使用できるゴアテックス製がオールマイティに使用できて快適ですが、もっと軽量な「レインスパッツ」というものがハイキングには良いそうです。

植物図鑑,花のガイド等
四季折々の草花が目的(決して採取ではなく鑑賞だけですが)で尾瀬を訪れる人も多いかと思います。また、普段は興味の無い人も、咲き乱れる花々に「何という名の花なのだろう」と興味が湧いてくるものです。
こんな時に役に立つのが植物図鑑。尾瀬に咲く植物を対象にしたコンパクトなものもあって思い出をより確かなものにしてくれます。
なお、街の本屋さんではなかなか見つけにくいこの手の書物も「尾瀬沼ビジターセンター」の窓口等で簡単に買うことができますので、現地調達の方が簡単かもしれません。

コッヘルやガスストーブ

山歩きのひとときにコーヒーや紅茶を湧かして飲むのも最高のシチュエーションです。また、フフリーズドドライなどの食材を利用してクッキングするのも最高です。

以上が装備品の主な物ですが、ちなみにアドバイスを付け加えるとすると、装備品はなるべくコンパクトで軽いものを!安い装備品を購入するより、ある程度いい物を惜しまずに買って長く使うこと!これが私の最後のアドバイスです。

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