ネットワークを活用した進路指導
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大平町立大平南中学校 鈴木久雄
キーワード:中学校、3年、特別活動、進路指導、キャリア、交流

  ●インターネット利用の意図
 平成12年度はテレビ会議による交流を本格化させ、秋の研究発表会にも取り入れようとと計画した。そのときに
鹿児島県西之表市立住吉中学校(種子島)の小薄敏幸先生より、本校のホームページを見て「進路指導」に関する質
問のメールが届いた。このメールから、教師・生徒による自己紹介メールの交流を開始し、メールでけでなくビデオ
レターも作成し送付した。お互いの研究授業で、それぞれの研究成果を参考にしながら意見交換やお互いの「進路」
を取り巻く環境の違いを考慮をした交流、進路実現に向けての励まし合いを取り入れていきたいと考えた。生徒には
小学校時代から各自が抱いてきた将来の夢を辿らせ、成長する過程で多様に変化している自分に気づかせた。その成
長過程をプレゼンテーションソフトでまとめるとともに、質問のメールを送信し、全国の高校生から広くアドバイス
を頂いて、これからの進路選択・決定、そして最終検討に生かしていきたいと考えた。
 また、「進路指導」の分野では、特にPLAN→DO→SEEと、評価の大切さが言われている。本校でも進路指
導が単なる出口指導にとどまることなく、教科指導と同じように評価をするために、日本進路指導協会が提示した
「進路学習診断票」と「進路成熟尺度」を例年2月に実施している。これらの結果が各学年においてどのような推移
を示すか追跡し、進級の際には新クラスの学級担任へ過去のデータを配布して、教育相談等に活用できるようにして
いる。卒業生に対しては、6月に中学校在学中の進路学習や進学後の学校生活について、アンケート調査を実施し、
これらの調査の集計は表計算ソフトで処理し、結果を全教職員へ配布し進路指導の改善に役立てている。
 実施体制として、本校の情報教育係(主任:鈴木 第1学年4組担任:毛塚修一教諭)と交流相手校(教務主任:
小薄敏幸教諭 第3学年担任:有村忠裕教諭 第1学年担任:鹿島美紀教諭)を中心に、メールやテレビ会議での交
流計画を協議・実践してきた。またコンピュータの技術面では、本校のコンピュータ環境をサポートしている三協コ
ンピュータMDセンター(栃木県栃木市)の栃木宏一さんの支援を受けている。栃木さんは本町在住で、本校の卒業
生でもあり、技術・家庭科の授業や平成11年度の公開研究授業でも社会人先生(地域の方)として授業にも参加し
ていただいた。

           画像1 授業の様子(平成11年度)      画像2 回線を通してお話をされる栃木宏一さん

 
  ●実践内容(平成13年1月20日現在)
★6月・・・・住吉中学校の研究授業へアンケート資料提示
   *ロータス123シートで送信 *研究授業指導案(住吉中 有村教諭)を受信
                          本校のホームページよりダウンロード可能
研究授業後に住吉中学校の生徒が送信してきたメールの内容の一部

 進路の学習を終えての感想は、先輩達の話とかがすごくいい勉強になってよかったです。それと同じように大
切だと思ったのは、「自分のやりたいことをはっきりさせること」と「先のことまでよく考えること」です。私
は、だいたい受ける高校を決めています。でもその高校の何科を受けるかきちんと決まっていません。だから、
親とかと相談したりしてその高校に入る目的とかをよく考えて決めたいと思いました。
★7月・・・・高校生へ質問のメールを送信   この質問メールでは、特に同志社国際高等学校の川井国孝教頭先生には、大変お世話になりました。  心より御礼を申し上げます。 ★8月・・・・進路指導研究調査(住吉中学校訪問)    *指導案検討   *公開研究授業への協力依頼   *コンピュータ環境の確認
     画像3 住吉中学校校舎               画像4 住吉中PC室
★9月・・・・研究授業計画(電子メールやテレビ会議で話し合い)
        
     画像5 住吉中の先生方             画像6 鈴木(大平南中)&                                    鯉沼久恵さん(社会人先生)
   ★10月・・・・公開研究発表会実施 【住吉中学校(平成12年10月19日)】   西之表市教育委員会指定 大会主題:「生きる力を育む進路指導の在り方」                     〜自己を見つめる啓発的な体験を通して〜  お互いに同じ内容の授業を実施し、テレビ会議を通してその内容についての意見交換をした。生徒も初めての経験 だったので、始めは緊張していたが次第に慣れ落ち着いて意見を聞いたり、答えたりできるようになった。  以下にそのときの画像を示す。
      画像7 大平南中側の研究授業の様子        画像8 スクリーンに映し出された住吉中生 



【大平南中学校(平成12年10月29日)】
第26回関東甲信越地区中学校進路指導研究協議会栃木大会
●1 単元名 学級活動「進路計画の最終検討」 第3学年1組
社会人先生には、栃木県壬生町出身のフリーアナウンサーの鯉沼久恵さんにお願いした。
(鯉沼さんはラジオ栃木放送で毎週水・木曜日の午後の番組を担当している。)


画像9 授業者:鈴木

 日本進路指導学会から出された進路指導活動に関する4つの能力領域 のうち、「意思決定能力」、「キャリア情
報探索・活用能力」を授業の目標とした。学習指導案の送付はホームページ上で受け付けている。 
 
●2 事前・事後指導と生徒の活動
計画
 活動の主体 活動の場
活動・内容

事前
 
活動1全員帰りの会進路計画経緯確認表記入
活動2学プロ放 課 後本時の役割分担、資料作成
活動3該当者放 課 後資料作成
活動4全プロ該当者放 課 後本時の打ち合わせ
本 時全員学級活動進路の最終検討@

事後
 
活動1全員帰りの会掲示物の整理等
活動2全員学級活動進路の最終検討A
活動1全員学級活動『進んで進路相談を受けよう』
活動2全員放 課 後進路相談

 

●3 展開
過程
活  動  内  容

支援の内容と留意事項









1 学級プログラム委員から本時の学習内容とその進
  め方を確認する。
進路計画の最終検討をしよう

2 本時の学習について、教師の話を聞く







・学級プログラム委員には事前に指導し
 ておき、円滑に授業ができるようにし
 ておく。



・ねらいを確認させるために補足説明す
 る。
















3 代表生徒が、自分の進路希望や進路計画の吟味・
  再検討の経緯と、将来の夢や希望について発表す
  る。


4 「進路希望・進路計画の十分な吟味・再検討があ
  ってこそ今の自分」という内容で、社会人先生の
  話を聞く。

5 「進路計画再検討表」を完全なものにするために
  は、どのような「確認事項」が必要か話し合う。
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・事前に、全生徒に書かせた進路計画の
 経緯を まとめさせておき、吟味や再
 検討の過程がわかり やすい生徒を選
 んで発表させる。

・これまでの不安や悩みに対して、自ら
 解決する手だてを考えてきたか省みる。


・個人的な悩みや不安を自分の立場で受
 け止め、協力して解決するよう心がけ
 る。









6 自分の最終的な進路計画を作成することの大切さ
  を自覚し自分の授業の感想をまとめ発表する。

7 教師の話を聞く。




・本時の学習内容の個別化をはかる。


・本時で学習した内容を、次時の学習に
 つなげるようにまとめる。

 授業では、将来の希望が少しずつ変わってきている生徒、まだ揺れている生徒、ずっと同じ希望を持ち続けている
生徒が、それぞれの立場で「進路計画の最終検討」の発表した。
 
画像10&11 発表する生徒

 その後、交流校の住吉中学校へネットワーク回線(NetMeeting)で接続した。前年度に三協コンピュー タMDセンターの栃木宏一さんに回線を通してお話をしていただいた。今回は鯉沼さんに大平南中学校へ 来ていただき、回線を通して住吉中学校の3年生もいっしょにお話を聞いた。話の内容は、中学校を卒業 してから現在のアナウンサーという職業に就くまで、どのような進路を歩んできたか、また一度就職した 会社を辞めて、自分の希望するアナウンサーという職業をめざした時の不安や周囲の反対自分の決意など である。生徒も100名近い参観者も鯉沼さんの話に聞き入ってしまった。
           
         画像12 鯉沼久恵さん       画像13 スクリーンに映し出された住吉中生


   画像14 授業参観者
 次に住吉中学校とチャットで接続し、「進路を最終的に決めていくのに、どんな事に気をつけて検討し
ていけばよいと思いますか。」という課題で、短い時間になってしまったが、チャットによる意見交換を
した。このときのチャットの内容もWeb上に掲載している。
      
 画像15 チャットについての説明を聞く生徒    画像16 チャットでキー ボードに意見を 打つ生徒


画像17  チャットの様子を見る参観者

 最後には、もう一度音声と映像を通して、卒業するまで交流を続けていく約束をし、あいさつを交わし て授業を終了した。生徒が作成したプレゼンテーション資料をWeb化したものを希望される方にはメー ルで添付し送信している。発表内容は、技術者、ジャズピアニスト、幼稚園教諭。

 
  ●7 成果と課題
【成果】
○励まし合い
  中学3年生という時期は、人生において最初に大きな決断を迫られる時期であり、精神的にも不安になる
 時期である。このような時期に他校と交流をすることで、お互いの研究授業で学習した成果や感想等の意見
 交換をしながら、いろいろな考えに触れたり、受け入れたり、また時には刺激を受け「自分も頑張ろう、お
 互いに頑張っていこう」という進路実現に向けての励まし合いができたと思う。
○資料等の共有化
  本校が過去4年間の「進路指導」の研究で蓄積してきた資料をCD−Rで送付したり、住吉中学校の学習
 指導案や社会人の方からのメールを受信することで、生徒が進路を考えていくために必要な資料を共有する
 ことができた。最近は進路の学習に役立つWebも多くなってきたが、これからもこのような資料を蓄積し
 ていくことがさらに大切だと感じている。
 
【課題】
○リテラシー
  今回のような交流を行うには、コンピュータをあるレベルで操作できなければならない。生徒の操作技術
 の向上は目を見張るものがあったが、初期の段階だけでもTTのような方法が必要であると痛感した。
○技術サポート
  本校には前述したように栃木市にある三協コンピュータMDセンターの栃木宏一さんが中心になり、コン
 ピュータ環境をサポートしていただいている。このような強力なサポートがなければ、今回のような授業も
 できなかったと思う。全国で情報教育の先端をいく学校・地域では、先生方の不断の努力や情熱も関係する
 が、コンピュータ会社・地域の方・大学・研究団体等がサポートしているケースが多いのではないか。機器
 の導入時にサポートの部分もよく考慮すべきだと思う。

 
●ワンポイントアドバイス

 お互いにメール等で、連絡を密に取り合うことが大切である。今回の授業実践では、5月から10月の授業
までに、100通を越える送受信、6回程度のテレビ会議で連絡を取り合ってきた。交流校の住吉中学校は小
規模校で、多くの校務分掌があり多忙な先生方であるが、本当に熱心に取り組んでいただき感謝している。
 また、8月末には前述したように、種子島にある住吉中学校を訪問させていただいた。インターネット上の
交流と実際にオフとして、お互いが逢うことができるとさらに交流が深まってくる。この訪問ができたのも本
プロジェクト「学校企画」のおかげである。



実践URL http://www.town.ohira.tochigi.jp/o-nantyu/kouryu/web001.htm
三協コンピュータMDセンターURL http://www.t-cnet.or.jp/~sancom/index.html
平成11年度授業URL http://www.town.ohira.tochigi.jp/o-nantyu/sinro/h11y/ken41-2-3.htm
平成12年度授業URL http://www.town.ohira.tochigi.jp/o-nantyu/sinro/h12y/ken50-3-1.htm
参加協力:鹿児島県西之表市立住吉中学校(川口出征校長)
     大平町教育研究所パソコン研究部会(所長:石山靖夫大平町教委教育長)