社会科学習指導案(1年生)


                                     大平町立大平南中学校

1 単元名 文明のおこりと日本の成り立ち

2 単元目標
  (1)遺跡や遺物の学習を通して,古代史への興味関心をもつ。〈関心・意欲・態度〉
  (2)農耕や牧畜の発達が,当時の人々の生活にどのような変化をもたらしたかを,多面的・多角的に考察する。
                                                            〈思考・判断〉
  (3)様々な資料をもとに国家形成の過程や特色をまとめる。〈技能・表現〉
  (4)大陸から渡ってきた人々の我が国の社会に果たした役割に気付く。〈知識・理解〉

3 単元観(省略)−ア教材観,イ生徒の実態,ウ指導観の3点からおさえる。

4 学校課題及び人権教育との関連(学校課題を「基礎基本の重視」にした場合)
    本校では,今年度の学校課題を「確かな基礎学力を身に付け〜,」とした。本単元では,学習指導要領中学
  校社会科の目標の一節に示される,「諸資料に基づいて多面的・多角的に考察すること」に着目し,様々な資
  料の扱いを通して「確かな基礎学力を身に付けさせることを意図したい。内容面では,学習指導要領の「内容」
  が指し示すところを基礎基本ととらえ,そこから逸脱することのないようにしていきたい。
   また本単元には,本校が設定した「人権教育で育てたい能力・態度」のすべての要素が関連してくる。特に単
  元全体を通しては,「学び方を学ぶ」ことによって,判断力と実践力を高めさせたい。内容面では原始的平等や,
  国家社会の形成過程でとらえられる支配−被支配の関係が注目される。正しくとらえさせることで「民主的,平
  和的な国家・社会の形成者」としての「公民的資質」の基礎を養わせるようにしたいと考えている。
5 指導計画及び評価計画

内容 生徒の学習活動 指 導 の 手 だ て 評価B規準及び方法
人類の出現と日本列島 ・人類の出現と進化の様子を資料などからまとめる。
・日本の旧石器時代の人々の生活の様子を資料からまとめる。
・人類の出現と進化の様子を他の動物との違いに着目させたり,演じさせたりして理解させる。
・最近の考古学の成果などをもとに旧石器時代の様子を理解させる。
・人類の進化のようすや,日本の旧石器時代の生活に興味をもち,意欲的に追求しようとする。
〈関〉(発表・作品)
文明の発生と東アジア ・四大文明の発生を通して人々の生活の変化と国家の誕生についてまとめる。
・中国の古代帝国の変遷について資料などもとにまとめる。
・古代文明の特色を生活技術の発達や文字の使用などを通して理解させる。
・農耕や牧畜の発達が,社会の仕組みをどう変化させたか考えさせる。
・古代文明の発生と人々の生活や社会の変化を,多面的・多角的に考察しようとしている。
〈思〉(発表・作品)
縄文文化と弥生文化 ・日本列島の誕生と,縄文文化の広がりを資料などから把握する。
・稲作の広がりと人々の生活の変化についてまとめる。
・遺跡や遺物の発見などの事例を通してこの時代の様子に関心をもたせる。
・農耕の広がりによって,人々の生活に変化が生じた様子をとらえさせる。
・縄文から弥生に至る人々の生活の特色と変化を多面的・多角的に考察しようとしている。
〈思〉(発表・作品)
大王の出現 ・稲作の広がりとともに日本列島に小国家 が成立していったことを資料から読み取る。
・小国家と大陸との関わりについて,資料からまとめる。
・第2時の学習を想起させそれぞれの資料から,国家が形成されていく過程を理解できるよう,ワークシートなどにまとめさせる。
・古墳の広がりと大和朝廷や地方豪族の支配の様子を,地図などを通して理解させる。
・国家が形成されていく過程のあらましに関する文献などの様々な資料を活用し,まとめようとしている。
〈技〉(ワークシート)
古墳文化と渡来人 ・古墳文化の内容・特色について,資料をもとにまとめる。
・渡来人が古墳文化に与えた影響について考える。
・遺物・遺跡などの資料から当時の生活の様子を想像させ,古墳文化の特色をまとめさせる。
・大陸から渡ってきた人々が日本の社会の発展に果たした役割について,理解させる。
・古墳文化の特色を考古学の成果や文献などの資料を活用して,まとめている。〈技〉(ワークシート)
・渡来人が我が国の社会に果たした役割に気付き,そのことを知識として身に付けている。
〈知〉(発表・テスト)

6 本時の指導
  (1)題材名 文明の発生と東アジア世界
  (2)目 標
   ・四大文明を発達させた古代の人々の知恵に興味関心をもち,意欲的に調べようとする。〈関心・意欲・態度〉
    ・農耕や牧畜の発達が人々の生活に変化をもたらし,やがて国家・社会を形成させていった様子を,多面的・
    多角的に考察する。〈思考・判断〉
    ・四大文明の特色を発表資料としてまとめる。〈技能・表現〉
  (3)本時に関わる指導観(省略)
  (4)人権教育の視点
   ・協力して学習を進め,各文明の特色をとらえて発表する。(実践力)
   ・国家・社会の形成過程で発生した支配−被支配の関係を正しくとらえる。(知性)

学習目標
学習活動
支援の手だて
評価規準

・本時の学習課題を知る。

四大文明の世界へタイムトラベルしよう!
・学習課題に興味・関心をもっている(観察)
・グループごとの調べ学習のねらいを知り,それに応じて意欲的に調べ学習を進める。 ・6グループに分かれ,それぞれ次の立場で調べ学習を行う。
Aエジプト文明のもとで生活する人々
Bメソポタミア文明のもとで生活する人々
Cインダス文明のもとで生活する人々
D中国文明のもとで生活する人々
E古代の難民として四大文明の特色を探り,定住先を決める。
F現代の旅行会社。四大文明にタイムトラベルツアーの企画を行う。
・A〜Dの4班には,建造物,社会制度,文字,農業などそれぞれの文明のセールスポイントを強調させる。また,どの文明にも強力な支配者が存在することに気付かせる。・E班は,各文明の大まかな特色や共通点をつかませ,難民として移住するなら,どこの文明にするか態度決定をさせる。
・F班は旅行会社として,現代からのタイムトラベルを企画。4地域の観光キャンペーンをつくり,A〜Dの4班のPRを参考に,行き先を決定させる。
・A〜D班は…各文明の特色をつかんで発表資料にまとめている。
・E班は…各文明の共通点として,地理的条件や支配者の存在建造物や文字などをとらえている。
・F班は…四大文明のそれぞれにふさわしい観光キャンペーンを作っている
(観察・作品)
・農耕・牧畜による生活の安定,高度な文明と国家の成立 や支配者の存在,文明発生の地理的条件に気付く。
・ねらいに応じた発表ができる。 ・各班で発表する。 ◎上記の点を踏まえた発表になるよう指導する。 ・適切な役割分担のもと,要点の整理された発表をしている。(観察)
・強大な権力とともに高度な文明を発達させた人々の知恵に気付く。 ・どの文明に最も魅力を感じたか判定する。 ・A〜Dの4班は自分以外の班で最も魅力的だったところを,E班とF班は自分たちの調べと各文明の班の発表結果を総合して各自判断する。 ・各自理由を挙げて適切に判断している。(判定用紙)
・文明の発達による国家形成の過程がわかる。 ・それぞれの文明に被支配者として住むことになった場合を考える。 ◎旅行者としての立場と難民として強制移住させられる立場とで,心情にどのような違いがあるか考えさせる。 ・多くが自由のない被支配者であったことに気付いている。(発言)
・中国や朝鮮半島の古代帝国の特色を知る。 ・ワークシートに,教科書をもとに,中国や朝鮮半島の古代帝国についてまとめる。 ・中国文明に位置付けられる殷・周の時代については,D班の調べ学習の成果も活用する。
・秦や漢の統一帝国の動きを,東アジア全体に及ぼした影響と関連付けてとらえさせる。
・中国の古代帝国の興亡や周辺の東アジア諸国への影響をワークシートにまとめている。
(ワークシート)


7 授業の実際(使用したワークシートなど)
     グループ分けを行った後,各グループには必要となる資料とともに,下に示されたような「〜班への指令」を
    封筒に入れ,配布した。このような「指令」は,まだ調べ学習の視点を,自ら見つけ出すのが困難な発達段階
    の場合に,どのように進めていったらよいかの手助けとなるものであり,学習の進め方を理解しやすくする意
    図がある。

     このような指令のもと,6グループに分かれて調べ学習を展開させた。実際にはこの調べに多くの時間を費や
    すことになってしまったが,これに続いて,各自が下のようなワークシートに記入していくことで,学習のまとめと
    基礎基本の徹底を図った。




8 成果と課題
  〈成果〉
     課題を明確にし,学習作業の過程を明確にする点で,今回の授業は成果を上げることができた。子どもたちが
    主体的な学習活動に取り組んでいたことが,それを裏付けている。
     また学び方・調べ方を身に付けさせることについても,一定の成果を上げることができた。特に学習の発達段階
    に応じた指導という点では,「各班への指令」や四文明で競わせることなど,工夫することできた。
     基礎基本を内容面・方法面の両面からおさえることができた点も成果といえよう。
  〈課題〉
      調べ学習のヒントは「指令」という形で提示できたものの,実際に調べまとめることには,生徒は膨大な労力を要
     してしまった。調べ方・まとめ方についてはさらに具体的に指導する必要がある。同一資料を提示して,各生徒がど
    のようにまとめられたかを評価する(見取る)方法も考えられよう。
     今回の学習指導案では,時間的制約もあって,作成した資料を十分に活用することはできなかった。これは使用
    している教科書の内容を50分の授業時間でカバーすること自体極めて困難である,という事情がある。単元全体の
    指導計画や時間配分を,考える必要がある。
     以上,社会科歴史的分野1年を例に,一つの授業実践を提案してみた。まだまだ改善の余地を多く残しながらも,
    今後の授業形態に示唆を与えられるものになれば幸いである。