校内LANの効果的な活用法の研究


                                                                                                     パソコン研究部

1 はじめに
 小学校のパソコン室も機種入れ替えが完了し,これにより町内各小中学校が充実したシステムを備えたものとなりました。
 そこで今年度のパソコン部会は,昨今のセキュリティに対しての危機的状況をふまえつつ,いかに安全に運用をしていくか。また,充実したハードをどのように効率的に児童生徒の教育に生かしていくかについての研修を深めることにしました。
 以下に今年度の研修の様子を報告いたします。 
 
 
2 パソコン室用システムリカバリーソフト「WinKeeper」について
  新パソコン室の完成後,パソコン室の利用が各学校ともかなり多くなってきている。そして,利用が増えると,一般的に,パソコン室には様々なトラブルが増加してくる。
 例えば,多くの児童が利用するパソコンでは,「勝手な設定変更」などから,1台1台のパソコンのデスクトップのアイコンの位置が違ったり,各パソコンソフトの表示形式が違ったりして,各パソコンの設定が異なってくる。そのような環境のもとでの授業は非常にやりにくくなる。
  しかし,パソコン教室にある40台ものパソコンを,すべて同じ設定に,常に手動で保つことは,非常に困難である。そこで,こうした設定を自動的に管理できる「WinKeeper」(アルプス システム インテグレーション株式会社)というシステムリカバリーソフトが導入された。各パソコンの設定を,「WinKeeper」の保護設定機能で変更不可能の状態にしておけば,日々の管理の負担は少なくなる。たとえ,勝手に児童によって変更されても,再起動することで自動的に,すべての環境を元の状態に戻すことができるのである。
 また,「WinKeeper」には,その他のネットワークのトラブルや各システム障害も未然に防止し,今まで復旧にかかっていた無駄な時間を費やすことなく,貴重な時間を有効活用できている。パソコン室管理者の負担もかなり軽減することができていると言えるのではないだろうか。
 しかし,一方で普通教室・特別教室などパソコン室以外の校内の多数のパソコンには,こうしたシステムリカバリーソフトは導入されていない。そのためこうしたパソコンを日々管理することは非常に大変な仕事になってきている。例えば,何かトラブルがあったり,設定を更新する必要があるときには,校内の数十台ものすべてのパソコンを見て回らなければならない。
  こうした問題を解決するためには,校内のパソコンを一元管理できるソフトの導入が望まれる。導入できれば,職員室の管理用パソコン1台からすべてのパソコンの管理・操作ができ,各教室のパソコンをいちいち見て回る必要はなくなる。管理負担が大幅に軽減されると言える。
  今年度,パソコン研究部会でもこうした教室用パソコンのシステムリカバリーソフト「Win Bird」(株式会社スタッド)等について研究・検討を行ってきた。「教室用のシステムリカバリーソフト」の導入に向けて,来年度も引き続き研究を重ねていきたい。


3 小学校新パソコン室の試用について
平成15年の夏期休業中に,パソコン室のPCがすべて入れ替わり,児童用PCとして40台のデスクトップ型PCが導入された。これにより,1人の児童に対して1台のPC使用が可能な環境になり,児童たちのメディアリテラシーも向上していくものと思われる。
  以下,パソコン室の主な特徴について記述したいと思う。
 《児童用PCについて》
PC本体はデスクトップ型であるが,ディスプレーが薄型の液晶ディスプレーのため,児童が作業する空間も多少は確保することができた。
  また,2台のPCに対して1台のインクジェットプリンタが接続されているため,児童が印刷待ちをする時間も短く,ストレスなく活用できているようである。
  さらに,児童が使うグループウェアーとして「通信くん」に加え「一太郎スマイル」が導入されたことにより,インターネットや電子メールはもちろん,ワープロやお絵かきなどといった活動を行う環境も整ってきたのではないかと思われる。また,パソコン室内にアクセスポイントが4か所あるため,インターネットへの接続時間も短く,ストレスなくWEBページを閲覧することができる。
 《教師用PCについて》
PC本体やディスプレーについては児童用PCと同様であるが,PC周辺機器としてOHCやビデオデッキが接続されおり,それらの画像を液晶プロジェクタを通してスクリーンに大きく映し出すことができる。児童たちに視覚的にうったえることができたり,スクリーンに集中させることができるという点で,大いに効果的なのではないかと思われる。
 また,その他の周辺機器として,MOドライブ,DVD-RAM/R/RWドライブ,スキャナー,カラーレーザープリンタなども接続されており,指導する教師側の環境としては,とても充実しているのではないかと思われる。
                   


4 教室用ノートパソコンの現状
 
《保管・管理について》
 小学校では,教室での保管が防犯上困難であることから,職員室やその周辺,パソコン室等の施錠できる部屋にまとめて保管している。ノートパソコン専用のロッカーは高価なため,手作りの棚や既存のロッカー等を利用している。
  中学校では,原則として個人管理(担任保管)としている。一括で保管するよりも利用頻度が高まるが,個人データがクライアントに保存されたまま残されたり,設定が自由にカスタマイズされたりすることが懸念される。データの保護,マシンの保守という点が懸念される。
  《研修会等について》
 夏休み期間を利用し,半日の研修会を行った学校が一校,ノートパソコンを配布する際に校内研修を行った学校が一校あった。その他の学校では研修会が実施されていないが,必要に応じて個別に対応している。
 《活用状況について》
 利用頻度は学校によってかなりの差がある。前述のように,保管されている場所が教室ではないため,利用するたびに移動させなければならないという不便さが原因しているものと思われる。また,クライアントが児童用・教師用(事務用)の兼用として導入されたにもかかわらず,インストールされているソフトウェアが乏しいことも理由の一つと考えられる。
 今後は,ワードプロセッサ,表計算,プレゼンテーション程度のソフトウェアを導入し,活用を図るとともに,教育用コンテンツを開発し,授業での活用を進めていく必要がある。


5 大平中学校での研究授業について
 情報教育推進者研修で行われた理科の授業(島田教諭)を参観しました。今回の授業では「エクセルでの湿度や気温などのグラフづくり」と「動画を使っての雲の流れる様子を提示する」という場面でコンピュータを使用していました。また,全生徒に分かるようにということで液晶プロジェクターを介してスクリーンで見せるという工夫もされていました。この授業で感じたことは,情報機器を使うと効果的であるという場面を見極める必要があるということです。視覚的にうったえたいときやリアルタイムでその様子を観察したいときに有用性が出てくるものです。その準備には大変な労力と時間がかかりますが,その分だけ生徒の興味や理解力が増すものと考えられます。


6 おわりに
 上記の研修を行う中で今以上有効にパソコンを活用するための課題も見えてきました。二点について述べてみます。
  《児童生徒が使いやすい教育用ソフトとハードの充実》
 情報を収集するための機器はそろったが,情報を発信したり発表したりするための教育用ソフトとハードについてはまだ不足している。どのようなものが児童生徒にとって使いやすいかの研究も含めて,考える余地が大いにある。
  《セキュリティの向上》
 各校とも,児童生徒の教育用のネットワークと教職員の教材研究や学年学級事務用のネットワークをどう切り分けるかに苦労している。完全に別のネットワークを組んで利便性を犠牲にしてセキュリティを向上させるか,二つのネットワークを統合しネットワークに接続しやすくしながらパスワードでセキュリティを守るか,各学校で担当者が悩みながら設定しているのが実情である。児童生徒の教育用のネットワークのセキュリティを守るためにも,教職員へのノートパソコンの貸与とネットワークを管理するためのサーバーの設置が望まれる。

 新しいパソコン室を使う子どもたち,何ともいえないうれしそうな笑顔でキーボードをたたいています。情報を得る道具としてのパソコン,子どもたちにとってこれ以上ないようなすてきな道具なのでしょう。町内の各小中学校に一斉に同じ仕様のパソコン室を作り,各教室にノートパソコンを配布してくれた大平町に感謝いたします。
  今年度の我々の研究が,大平町のパソコン教育の向上に,少しでも役に立つことができたら幸いです。