1 はじめに
教育相談部会では,昨年度に引き続き,本年度の研究主題を「一人一人が生き
る援助指導の在り方と実践」とし,研修を進めてきた。まず一つは,各小中学校の
情報交換を通して,各学校の実情をとらえ,それぞれが抱えている児童生徒指導・
教育相談に関しての課題や問題点等を具体的に協議し,対応策を検討した。二つ
目は,大平南中学校に配置されているスクールカウンセラーの伊藤先生を講師とし
て招き,各学校で出された事例について研究協議した。以下,本年度の研究につ
いて具体的に掲載す るとともに,成果と課題について報告したい。
2 実践報告
(1)各学校の児童生徒指導上の重点課題について
・大平東小 「あいさつのできる児童の育成」に取り組む。
不登校を防ぐ。
・大平南小 年間を通して生活目標をあいさつとし,月ごとに重点項目を決めて,
「あいさつのできる児童の育成」に取り組む。不登校ゼロをめざす。
・大平西小 居がいのある学校・クラス。情報交換を密にして,「心が通い合う児
童指導」
一部教科担任制に似た形を取り入れ,多くの教師が変容を見守る。
・大平中央小 「いつでも どこでも だれにでも あいさつ」
人権教育の面からも重要・あいさつ強調週間の設定・教育相談の充実
・大平中 楽しい学校を作ろう … みんなが楽しい
規範意識の向上
自分たちで決めて,自分たちで実行 … 教師は支援
・大平南中 あいさつ・ローテーションで職員もあいさつ運動を行う。
「守らなければいけないことは守る」という規範意識の向上。
公共物を大切にする。
※ 本年度,各学校で取り組む児童生徒指導上の重点課題について,上記のような内容で
取り組んでいくことを発表し合い確認した。
(2)児童生徒指導・教育相談に関しての各学校の現状や問題点等について
@児童生徒の生活実態の把握
各小中校とも,児童指導委員会・生徒指導委員会の設置により,定期的に校内
研修を推進している。さらに,事例研究会,定期教育相談,各種教育調査・アンケ
ート,調査カード等を作成して連携を図るなど,生活実態の把握に努めている。 また,
月に1回は下校指導を実施したり,長期休業中には学区内における校外補導を行っ
たり,校外生活の実態の把握にも努め,児童生徒指導に生かすようにしている。
A子どもの心を受け止め,温かい手をさしのべる教職員の態勢づくりについて
事前にアンケート等を実施し,全校体制で定期教育相談の週を設定し,問題の
早期発見・解決に努めている。また,いつでも児童生徒が利用できる教育相談用
のポスト(心のポスト・人権ポストなど)を設置し,いつでも教育相談を受けられるよ
うに配慮している学校もある。さらに,日記指導を通して生活の変容や心の変容を
察知し,援助指導を行っている。また,スクールカウンセラーや心の教室相談員・
教育相談員からの情報の提供,助言なども大変有効であった。
職員間でも,児童生徒指導において一人で悩まず,みんなで指導していこうとい
う態勢になってきた。特に,中学校においては相談室等が,生徒にとって精神的な
支えになっている場合がある。
B家庭や地域との連携の強化について
学校・学年・学級だより等を発行して学校の様子を伝えている。また,学校だよ
りを保護者だけでなく,地域の全世帯に配布し,学校の様子を伝えている学校も
ある。長期休業前には,長期休業用の生活のたよりを通して,留意点などを通知
して協力を求めた。さらに,保護者会や授業参観・面談等を通して学校の現状を
知らせるとともに,連携の強化を図った。その他には,民生委員さんとの話し合い
や地域ぐるみ児童生徒指導連絡協議会が,情報の交換並びに情報の収集の場
となり,児童生徒指導に役立っている。また,キッズステーション(子どもの相談所)
では,児童生徒との直接的なかかわりがあり,日常的に地域との交流・連携が図
られている。
3 スクールカウンセラーの伊藤晴子先生を交えての事例研究会
事例研究会で大切なこと
(1)研究会に参加していた人たちが何かを得ることができればよい。
(2)事例研究を行うことで別の見方ができればよい。
(3)担任の指導を問うのではない。
(4)その子に合った指導を見つけられるとよい。
(5)まず,その子のイメージをつかむこと。
@小学校の事例 (6年男子)
集中力がなく生活習慣が身に付いていないため,学習能力が低い。また,放課
後は遊んでもらえる友だちが少ないためか,ゲームセンターに入り浸っている。母親
に内緒でお金を持ち出してしまうなど罪の意識は薄く,指導してもすぐに問題と思わ
れる行動を起こしてしまう。今後,本児へのかかわり方はどのようにしていくべきか。
また,家庭での指導が行き届かないようなので,どのように対処したらよいか。
〈スクールカウンセラーより〉
・本人と母親から別々に話を聞くことが解決の方向につながる。
・まず,家庭の状況を明らかにし,本人の状態をきちんと認識していくことが大切。
・母親が小さい頃からきちんと育てていないのではないか。
・小さい頃,虐待されていたのではないか。今後,母親への暴力が心配である。
・教師が母親の味方になり,親を変容させることが大切。
・母親が本人にかかわる場や時間を見つけ出すことが必要。
・学校側で母親の分をカバーしていく必要がある。
・ゲームセンターに入り浸らないように約束させる。
A中学校の事例
不登校傾向の生徒。本人のわがままから授業,またはクラスに居られないことを
理由に,相談室に登校したいと申し出があり,少しの期間の約束で相談室で学習さ
せた。その後,教室に戻るように指導したが,休みがちになり,保護者から相談室で
学習させてほしいと申し出があったため,相談室登校を認めた。相談室では,相談
室にいる生徒とのトラブル等を起こしている。わがままな生徒に対しての指導方法は
どのようにしたらよいか。
〈スクールカウンセラーより〉
・本人の立場を理解していく必要がある。
・わがままなのか,本人なりの理由があるのか,いつも検討して見ていく。
・わがままだけでとらえないで,本人とのコミュニケーションをとる必要がある。
4 成果
(1)各学校の児童生徒指導上の重点課題についての取り組みなど情報交換ができて,
参考になった。
(2)各学校ともお互いに積極的に情報を提供し,指導の連携がとれた。
(3)町内6校の連携を図りながら,情報交換することで,問題と思われる行動の早期発見
やその指導に有効であった。
(4)スクールカウンセラーを交えての事例研究では,一つ一つの事例に対しての専門的な
アドバイスを受け,教育相談や校内における事例研究会で生かすことができた。
(5)教育相談員の先生方から,問題と思われる行動に対する対処の仕方,考え方,関係
機関の紹介等,解決に向けての指導・助言が得られ大変参考になった。また,適応
指導教室の現状も把握することができ,指導に生かすことができた。
(6)教育相談員の先生方が各学校の実情を把握し,尽力されていることに感謝したい。
5 今後の課題
(1)家庭に問題がある事例が多くなり,学校としてより積極的に家庭を変えていくようなケ
ースについても考えていきたい。
(2)本部会で研修したことを校内で効果的に活用していきたい。
(3)不審者に対する対応など,具体的に研修することが必要である。
6 終わりに
昨年度に引き続き,情報および意見交換を中心に進めてきたが,町内の小中学校の現状
や取り組み状況が把握でき,連携がとりやすくなってきた。今後は,課題にあが ったことを
含め,限られた時間の中で,よりよい成果があげられるよう研究を推進していきたい。
7 参考資料
14歳・地域に学ぶ5日間「マイチャレンジ推進事業」の取り組み
『栃木の子どもをみんなで育てよう』運動の地域実践版として、今年度、大平町では2つの
中学校が「マイチャレンジ推進事業」を実施しました。地域の人たちとの様々なかかわりを主
とした社会体験活動を通して、「心の教育」の推進が図れました。
大平中学校では、5月23〜29日の5日間、大平南中学校では、5月26〜30日の5日間
マイチャレンジ活動を実施しました。
マイチャレンジ活動とは、2年生全員を対象に地域の方々とかかわりを主とした様々な社会
体験活動のことです。例年、「職場体験」は実施してきましたが、今回はいかに地域の方々と
連携を密にするかが課題でした。まず、実施にあたり保護者の方々の協力で受け入れ可能な
事業所を探したり、学校側でもお願いをしたりしました。なかには生徒自身で受け入れ先を見
つけてくるグループもあり、ようやく三十数カ所の事業所が決定しました。その後はできるだけ
生徒に任せ、体験内容や事前打ち合わせも指導ボランティアの方々と連絡をとり自主的にで
きました。
当日生徒たちは、マイチャレンジ活動実施中のネームプレートやのぼりを掲げ、意気揚々と、
“初出勤”をしました。教師側も当日巡回させていただき活動の様子をビデオや写真に撮影し
ました。どの事業所でも、教室の中ではなかなか見られないような輝いた瞳で、元気にあいさ
つを返してくれました。生徒たちの感想からも「多くの人のやさしさにふれた」「清掃の大切さ
知った」「疲れたけど楽しかった」等々充実した活動ができたようです。また、受け入れ先でも
「どの子も生き生きとした表情が印象的だった」との感想をいただきました。
今後ともこのような貴重な体験を継続して多くの地域の方々とふれあい、様々な助言をいた
だく機会をつくっていきたいと思います。