W 県外研修視察
1 学校教育からの取り組み(二宮町)
   今年度の人権教育に関する,学校教育からの取組について,調査研究部会は二宮町立長沼南小学 校を視察した。
  同校は平成14年度・15年度の2カ年にわたり,栃木県教育委員会・二宮町教育 委員会より人権教育研究学校の指
  定を受けて人権教育の研究・実践に努め,平成15年10月21 日,研究発表に至ったものである。研究の概要及び研
  究発表の様子は以下のとおりである。
 
(1)研究主題及び主題の捉え方
          【互いに認め合い,助け合い共に生きる子どもの育成】 〜様々な人たちとの交流を通して〜
   この主題に示されている子どもを,同校では「人権の大切さがわかる,物事を公平にとらえ意思決定ができる,相手を
  思いやることができる,相手に自分の気持ちを伝える,相手の気持ちになって共に生きることができる子ども」と捉えてい
  る。そして,この実現のために学級経営を基盤に,国語,社会,道徳,特別活動を中心に一人一人を大切にした学習活
  動の在り方を研究し実践した。

(2)研究の内容
  ○人権にかかわる学習の系統や関連性の明確化
  ○一人一人を大切にした授業の工夫
  ○様々な人たちとの交流を通した活動の工夫
  ○児童保護者の人権に関する意識調査の実施と分析
  ○教育環境の整備と保護者・地域への啓発活動の工夫
  
(3)公開研究授業の様子
    当日は,2年生の国語,3年生の道徳,6年生の社会の研究授業が公開された。本稿では,すべての授業の様子を
   伝えることはできないが,同校の研究の特色が,よく示されていると捉えたことを中心に紹介する。
  @2年生 国語  教材名「お手紙」
    本教材は,がまくんとかえるくんとの心の交流を描いている。悲しんでいるがまくんを喜ばせようとするかえるくんの優
   しさと,他者とのふれあいを求めてやまないがまくんの気持ちは2年生なりに感じ取っており,登場人物になりきって想
   像を広げながら音読の工夫をしたりしていた。地域人材活用では,読み聞かせボランティア3名が各グループに入って
   音読の仕方などのアドバイスをし一人一人の良さを引き出して授業を展開していた。
  A3年生 道徳 主題名 ほんとうの友達 資料名「なかよしだから」
    本資料の「ぼく」は,算数の宿題をうっかり忘れてしまう。昨日,仲良しの実君にカーブの投げ方を教えてあげたから,
   そのお返しに教えてくれるだろうと思って頼む。しかし,実君は,「なかよしだから,なお教えられないよ。」と言って断る。
   実君のことがしゃくにさわっていたが,家に帰って,自分で宿題ノートをやっているうちに実君が断ったことが段々と分か
   ってくるという話である。「ぼく」の心の葛藤を通して,友達だからこそ相手の事を考え,相手にとってよいと思った行動を
   とる大切さについて話し合う授業を展開していた。役割演技を通して「ぼく」と実君の立場になって考えたり,見ている児
   童も演技している友達の考えを比べたりして価値に迫っていた。
 B6年生 社会 小単元名 「世界に歩み出した日本」
   日清・日露戦争後の日本の朝鮮に対する植民地支配の様子を調べ,朝鮮の人たちの気持ちを考え学習していた。地
  域人材の活用では,日清・日露戦争後の日本の朝鮮に対する侵略(韓国併合やその後の植民地支配)の様子を,在日
  韓国人の方から話を聞くことで,朝鮮の人たちに大きな損害を与えた事実を正しく認識させ,朝鮮の人たちの気持ちをよ
  り共感的に捉えられるよう展開していた。