テーマ 「学ぶ力」を育てる学習指導の充実と評価の工夫
道徳指導部会
1 はじめに
大平町道徳研究所では平成15年に道徳部会を新設して以来、各小中学校の道徳教育の
実態や課題についての協議をしてまいりました。1校のみで道徳の研究をしていくのでは
なく、町単位で研究を深められる環境を設けていただいたことは非常に有意義だと感じ、
本年度も、道徳の授業実践のための指導案の検討や、「心のノート」の活用の工夫・改善
のために学校教育全体との関連表の作成を中心に活動してまいりました。
そこで、今回の研究紀要では、平成17年度に行われた大平南中学校での道徳の授業実
践の記録を紹介いたします。
また、「心のノート」については、小・中学校、それぞれに活用表を作成しましたので
掲載いたします。活用表では、「心のノート」と道徳の授業との関連はもちろん、特別活
動、教科、学校行事との関連を明らかにし、児童生徒が生き方を考え、自ら道徳性を育め
るよう「心のノート」の活用方法を例示しましたので、参考にしていただければ幸いです。
私達は、このような活用表の作成を通して、「心のノート」が、単に道徳の授業で使用
していくだけではなく、各学年・各学校の学校行事や教科指導の内容と十分関連を図って
活用していくことが有効であることを改めて実感いたしました。
と同時に、「心のノート」を使っての保護者や地域との関わり方も工夫できたり、掲示
物としての使用も広めたいと考えるようになりました。また、小学校で2年間(6年間3
冊)、中学校では3年間同じノートを使用することで、自分自身の変化や成長をとらえる
こともできる等、「心のノート」の可能性や有用性を理解できたのも研究の成果だと感じ
ています。
平成17年11月25日(金) 第2校時
第1学年4組31名(男子15名 女子16名) 授 業 者
1 主題名 「相手を思う心」 2−(2)人間愛
2 資料名 「小さな勇気」 ( 『 道しるべ 』 正進社 発行 )
3 主題設定の理由
(1) ねらいとする価値について
この題材は学習指導要領の2−(2)「温かい人間愛の精神を深め、他の人に対し感謝と
思いやりの心をもつ」を受けている。
私たちは多くの人々との関わりの中で生活している。困ったときや苦しいときに親切に
され、ありがたいと感じた経験は誰にでもあるだろう。そのような経験から、他の人への
接し方について考え、温かい人間愛の精神を身に付けることは極めて大切なことである。
しかし中学生の時期には、周りの目を気にしたり、他人任せな態度をとるようになること
が多くある。そこで人間は支え合い、助け合いながら、社会生活を送っていることに気づ
かせたい。周囲の人々に感謝と思いやりの気持ちをもつことで、人はより豊かに生きてい
けるということを考える機会としたい。
(2) 生徒の実態
入学して半年以上たった本学級は、仲の良い団結力のあるクラスである。運動会や文化
祭といった行事のときには、クラス皆で力を合わせ、協力的に活動している。しかし、そ
の反面、普段の生活の中では他の人を思いやり、親切な行動をとれているのは一部の決ま
った生徒である。
生徒の日記から、友達に親切にしてもらい感謝している生徒は多い。しかし友達に親切
にしたいと思いながらもなかなか行動に移せない生徒も多いようである。本時の授業を通
して、人間の本来持つ温かさに触れ、相手を思いやる気持ちをはぐくむ態度を培いたい。
(3) 資料について
駅の階段で重い荷物を抱えて登るおばあさんを見ながら、手助けできなかった筆者。電
車の中で老人に「どうぞ」と席を譲った幼い女の子を見て、「自分も勇気を出さなくては」
と思う。筆者は相手を思いやる大切さに気づかせてくれた女の子に感謝し、別の電車で席
を譲るという行動ができるようになる。
思いやりに対して感謝の気持ちをもち、また、その感謝の気持ちから新たに思いやりの
輪が広がっていくことを、筆者の行動を通して気づかせたい。
(4) 学校課題との関連
本校の今年度の学校課題は、「わかる・できる授業の創造 〜基礎・基本の定着を図り、
成就感を味わうことのできる指導法の工夫〜」である。道徳の指導においての「わかる・
できる授業の創造」とは、自分の考えをまとめ、発表することと捉えた。課題に迫るため
に資料を通して筆者に共感させながら、自己の内面へと目を向けさせたい。そして、発表
をすることによって、授業への成就感を味わわせたい。
(5) いきいき栃木っこ3あい運動との関連
「相手を思う心」は温かな人間関係を築くことにつながる。この人間関係は3あい運動
の「学びあい、喜び合い、励まし合い」の基礎となるものである。
4 その他の教育活動との関連
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(学級活動) 係を決めよう 席決めをしよう 1番を目指そう |
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(道徳) 相手を思う心 2−(2) |
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(学校行事) 運動会 みなみ祭 マラソン大会 合唱コンクール |
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(日常生活) 週番活動 教科係活動 委員会活動 |
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(本時) 小さな勇気 2−(2) |
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(学年行事) 校外学習 |
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5 本時の指導
(1) ねらい
親切をする・思いやりの心を持つ・人のことを考えるといったことが、みんなの心を、
そして自分の心を温かくすることに気づかせ、そのように行動する態度を育てる。
(2) 授業の観点
A 価値の追求と把握
本時のねらいとする価値に迫る中心発問を『筆者が小さな女の子に教えられたこ
とは何だったのだろう。』と設定し、次のような手だてをとったが有効であったか。
・小さな女の子は勇気を出したのか、考えさせた。
・自分が席を譲られたらどういう気持ちになるのか、考えさせた。
・事前にアンケートを実施し、自分の行動を考えさせた。
B 価値の内面的自覚
本時のねらいとする価値について、本時の授業を振り返って考えさせた。このこ
とは適切であったか。
(3) 人権教育との関連
小さな女の子の行動が、周りの雰囲気までも穏やかなものにした。思いやりの心をもち、
互いに助け合うことの良さに気づかせ(感受性)、いかなる場面でもそのように行動しよ
うとする態度を身に付けさせたい(実践力)。
(4) 展開(別紙)
(5) 資料(別紙)
(6) 評価と事後指導
周りの人や自分自身を温かい気持ちにするために、周囲の人々に対しどのように接して
いきたいかを考え、思いやりの心をもって行動しようとする意欲が持てたか。学校行事だ
けでなく、普段の生活の中で生徒の様子を観察し、事後指導に役立てたい。
5(4) 本時の展開
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展開 |
時間 |
資料分析 |
学習活動と主な発問 |
教師の支援 |
導 入
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5
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◎中心価値 ○関連価値
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1 事前にアンケート調査した結果をまとめた
ものを発表する。
「今までに人のためになるようなことをし
たことはありますか。また、しようとして
できなかったことはありますか。」 |
・アンケートの結果を参考に、 生徒一人一人の心情を把握す る。
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展開
価 値 の 追 求 ・ 把 握
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35
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○3−(3) 弱さ醜さの克服
◎2−(2) 人間愛
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2 資料を読んで、次のことを考える。 |
・迷ってしまったわたしの心情 に共感させながら、考えさせ たい。
・小さな女の子が残していった ものから、わたしが何を教え てもらったのか十分に考えさ せたい。 ・中心発問にせまるために補助 発問として、「おじいさんが 幸せそうな顔をしてたのはな ぜだろうか」や「周りの人の 雰囲気はどうだったか」など を考えておきたい。 |
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@ 「わたし」はなぜおばあさんに声をか
けるべきか迷ったのか。 |
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・勇気が出なかった。
・恥ずかしい。 ・周りの人も声を掛けてないから・・。
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A わたしが小さな女の子に教えられた
ことは何だったのだろう。 |
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・勇気を出すこと。
・親切にすることの大切さ。 ・思いやりの心。
・ほんの小さな親切から、とても大きな幸
せが生まれるということ。
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価 値 の 内 面 的 自 覚
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7
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◎2−(2) 人間愛
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3 今日の授業を振り返って、自分を見つめさ
せる。「心のノート」P45に記入。 |
・今までの自分の態度を振り返 らせ、その中から今後はどの ような態度をとって行くべき 考えさせたい。 ・周囲の人に対して感謝と思い やりの気持ちを持とうとする 態度を育てたい。
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B 今日の授業を振り返って、感じたこと をまとめてみよう。 |
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・一人が温かくなると、周りの人も温かく
なる。
・思いやりの行動をとって、みんなが幸せ
な気持ちになれるようにしたい。
・自分も小さな女の子みたくなりたい。 ・親切はみんなに喜びを与えてくれる。 |
終 末 |
3
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4 教師の説話を聞く |
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「小さな勇気」
1年 組 番 名前
1 今までに人のためになるようなことをしたことはありますか。
また、しようとしてできなかったことはありますか。
2 「わたし」が小さな女の子に教えられたことは何だったのだろう。