パソコンの効果的な活用及び情報モラルの研究
パソコン研究部
1 はじめに
全国の学校のすべての教室にコンピュータを整備し,インターネットにアクセスできる環境を実
現するというミレニアム・プロジェクト(教育の情報化)を受け,本町でも条件整備が行われ,パ
ソコン(インターネット)を活用した授業や児童生徒の活動が行われるようになってきました。一
方,インターネットの急速な普及の陰で,ネットワーク犯罪も急増しており,ネットワーク社会が,
安全で真に価値のある社会基盤として発展するために,学校教育という段階での情報モラルの育成
が重要となってきています。
今年度のパソコン部会は,各小中学校でのパソコンを効果的に活用した授業実践の紹介や,児童
生徒の情報モラルをいかに育成していくかという話し合いを中心に研修を進めてきました。
以下に今年度の研修の様子を報告いたします。
2「情報モラル等の指導の普及フォーラム」からの報告
主催:財団法人コンピュータ教育開発センター 共催:栃木県教育委員会
平成17年9月16日,栃木県総合教育センターにて行われた「情報モラル等の指導の普及フォー
ラム」より,学校における情報セキュリティと個人情報の取り扱いについて報告いたします。
2004年の学校関係の漏洩情報には児童生徒の氏名,住所,電話番号,生年月日,受験番号,成績,
合否判定資料,試験の点数,生活指導記録,家族構成,写真,進路希望調査,緊急連絡網,答案用
紙,健康診断表などがあります。漏洩原因とその経路及び事例は下のとおりです。
・事務所荒らしでノートPCが盗難被害。
・車上荒らしでノートPC(通知票・フロッピー)の入った鞄が盗難被害。
・自宅から個人情報の入ったノートPCが盗まれた。
・通知票の入った鞄がひったくりに会った。
そこで,情報の携行に対するセキュリティを強化する必要があります。しかし,学校だけでなく家
庭でも仕事をしなければならない現実,ノートPCなどの校外持ち出しを禁止して規則を破らせる
より,適切なコントロール下で持ち出しを許す場合の方が良い場合があります。例えば,
・ノートPCや書類等の持ち出しは,承認を必要とする。
・電車内では,ノートPC等の入った鞄を網棚に置いたまま座席に座らないこと。
・自動車で移動時は,ノートPC等の入った鞄を車中に放置しないこと。
・携帯するノートPCや記録媒体(CD−ROM等)は,内部のデータをパスワード保護するか暗号
化すること。
・外出時は,必要な情報のみを携行すること。
などの決まりをつくることが考えられます。
また,卒業生名簿や連絡網についても次のような点を留意する必要があります。
・利用目的を明確にする。
・配布の範囲を限定する。
・記載する情報を最小限にする。
・記載情報を収集する際,本人に利用目的を通知または公表する。
・個人情報を提供されない場合に本人に与える不利益を通知する。
・どのように取り扱ってほしいかを明記する。(卒業者名簿)
・相談窓口の設置。(卒業者名簿)
・廃棄の方法を決定する。(連絡網)
さらに,児童生徒に対して次のような指導をしていく必要があります。
ア 個人情報が悪用されることを認識させる。
・架空請求,なりすまされる,掲示板に記載される
イ 加害者になる可能性を認識させる。
・家族や友人の個人情報を不必要に公表しない。
・中傷メールや掲示は犯罪になる可能性がある。
ウ 個人情報の保護を徹底させる。
・予測が簡単なパスワードを利用しない。
・ID/パスワードは他人に教えない,共有しない。
・ID/パスワードを入力するときに覗かれない,覗かない。
最後に,情報セキュリティの強化,情報モラル・マナーの高揚を図るために,次のようなことが
挙げられます。
・情報漏洩,ウイルス被害などへのインシデント(事件・事故)への対応。
・システムの導入,規定策定,教育,訓練。
・電子メール,掲示板など新しいコミュニケーションの方法への対応。
・ITだからといって特別なことは無く,常識を基準にした作法の教育やしつけをする。
3 情報モラル教育の実践
(1)大平東小学校の例
大平東小学校では,外部講師を招き児童がコンピュータを使う上で必要な情報モラルの向上を目
指して,講習を行いました。以下,その実践例を紹介します。
ア 目的
児童に,メールやインターネットを利用する際のマナーやルールを教えるとともに,より効率
的に授業でパソコンを利用できるような技術の習得を図る。
イ 内容
○6年生
@ インターネットで得られる情報の信頼性,著作権についての理解。
A インターネットを使っての,情報の検索方法およびその利用について。
B メールを利用したコミュニケーションの方法。
C ワープロソフトを利用して,情報を自分の手で加工する方法。
ネットから得られた情報や画像を,ワープロソフトに貼り付けることについても,情報の二次
利用としてふれる。
D ネットを通したコミュニケーション手段としての,掲示板の利用について。
○3・4・5年生
@ インターネットで得られる情報の信頼性,著作権についての理解。
A インターネットを使っての,情報の検索方法およびその利用について。
B メールを利用したコミュニケーションの方法。
C ワープロソフトを利用して,情報を自分の手で加工する方法。
ネットから得られた情報や画像を,ワープロソフトに貼り付けることについても,情報の二次
利用としてふれる。
※使用ソフトは,インターネットとして「インターネットエクスプローラー」
メーラーとして「通信くんの電子メール」
ワープロソフトとして「一太郎スマイル」

掲示板として「通信くんの掲示板」
ウ 実践の様子
本講習は,東小においては過去3年間実践されているもの
で講師の方と児童が顔なじみであることもあり,計画通りス
ムーズに学習が進みました。
エ 講習後の児童の様子
インターネット利用の上のルールとマナーについて,情報の信頼性と著作権について児童が理
解を深めた様子がうかがえました。また,毎年実施していることで,昨年度の学習をふまえて掲
示板の利用に取り組む6年生の様子などは,本講習が東小に定着している様子をうかがわせるも
のでした。このような継続的な取り組みが,児童の情報モラルの向上に役立つものと考えます。
(2)大平中の例
情報モラルをどのように高めていくか −情報モラル教育の日常化を目指して−
【技術・家庭科の授業研究から】
ア 単元名 第2学年 情報基礎 「情報通信ネットワークの利用」
「情報伝達の安全性とマナーを考えよう」
イ 目 標
@ チャット(フリーソフト)を通し,マナーや態度について考える。
A 情報発信者には,自己責任が伴うことが分かる。
B 著作権等について発展して考えることができる。
C 学習したことを定着させる。
ウ 展 開
| 本時のねらい |
情報のモラルの必要性について考えることができる。 |
| 学 習 活 動 |
教 師 の 支 援 |
1本時の授業について
課題と解決の仕方の説明
2ソフトの設定と使い方の説明
3グループ作り
4話し合い「大平中サミット」
5情報のマナー・エチケットについて分かった ことの発表
6本時のまとめ
報告された事項の確認と解説
|
・ 学習課題の提示
・ 解決のための方策の指示
【スターチャット(フリーソフト)】
※丁寧な師範で全員に基本設定をさせる。
・グループに入れない生徒の配慮をする。
・希望生徒へのローマ字表の配布
※基本操作の巡回指導
・ネットセンドにより 困っている生徒の支援をする。
・生徒の意見を採り入れたまとめをする。
・学習の定着のために【自作 壁紙】 |
エ 学習の定着のための自作壁紙の利用
記載内容:学校という教育機関が教育目的で,教育効果を上げるために使用するということを
十分理解した上で使いましょう。
1 パソコン室は,担当の先生の許可を得た上で,指示に従って使用しましょう。
2 サイトを利用するときは,著作権・知的所有権・肖像権等に注意しましょう。
3 住所・氏名・生年月日等の個人情報をサイトに掲載しないようにしましょう。
4 他の人が不快に思うサイトを見ないようにしましょう。また音量にも注意しましょう。
5 悪口やうわさ,なりすまし等で他の人を傷つけないようにしましょう。
6 悪口や傷つくようなうわさ等が掲載された時は,すぐに先生に報告しましょう。
4 パソコンの活用状況と課題
(1)中央小学校の例
ア 学習指導における活用状況と課題(パソコン室での活用)
低学年においては,パソコンの使い方を学習するのに一太郎スマイルを活用して絵を描いたり,
生活科においてインターネットを活用し昔の遊びを調べるなど調べ学習に活用したりしています。
中・高学年においては総合をはじめ社会や理科などにおいてインターネットを活用し調べ学習を
するのに活用しています。インターネットを活用することにより,幅広くデータを収集すること
ができるとともに,理科の天気の学習においては,リアルタイムに雲の様子などを調べることが
できます。また,算数においては図形の提示や計算の反復練習などにも活用しています。
全体的には調べ学習において多く活用されていますが,作文や新聞を書いたり作品を作ったり
プレゼンテーションとして活用したりするなどパソコンを活用して表現する学習も見られるよう
になってきました。今後,児童のスキルの向上や活用しやすいソフトの導入(詳しくは,平成16
年度 大平町教育研究所研究紀要参照)により,これらの表現活動なども増えていくことが期待
されます。また,さらには,メールを使った通信にかかわるような学習の広がりも期待されます。
その反面,インターネットを活用する際,子どもたちにとって不適切なページを表示させない
ようにフィルターをかけたり,相手を誹謗中傷することのないようにネチケット(ネットエチケ
ット)を高めていく必要があると思われます。
<2年算数「かけざん」>
ゲームを通してかけ算を学習できます。
「かけ算ファイター」 http://homepage2.nifty.com/saganoia/Xfighter/
<5年理科「天気の変化」>
気象衛星ひまわりによる現在の雲の様子の画像(JPEG)や4日分の雲の動きを動画(MPEG)で
見られます。
「高知大学気象情報頁」http://weather.is.kochi-u.ac.jp/
<6年総合「地球を救おう」>
環境問題を調べるのにインターネットのホームページを活用しました。
「エコ教室」 http://www.qbiz.ne.jp/eco-ok/study/
「地球を守る」http://kankyo.jsf.or.jp/
「みんなのエネルギー広場」 http://www.tokyo-gas.co.jp/kids/index.html
など,環境に関わるホームページはたくさんあります。
イ 各教室における活用状況と課題
掲示板を作って各クラス間での情報交換をしたり,日直からの連絡事項や一日の出来事などを
書くなどの学級日記的な使い方をしたり,パソコンをミュージックサーバー的に活用し朝の会で
歌を歌ったりしている学校やクラスが見られます。その反面,各クラスに二台しかないと,なか
なか活用の仕方が難しいので,全部集めて第二パソコン室として活用したいという意見もありま
す。各教室にあるパソコンの活用については,今後検討の余地があると思われます。

ウ 校務上の使用状況と課題
現在,ほとんどの教職員がパソコンを活用し,文書や教
材を作成したり成績処理をしたりしています。現在ノー
ト パソコンは担任をもっている教職員には貸与されています
が,担任をもっていない教職員には貸与されていないので,
全教職員へのパソコンの貸与などの整備が望まれます。ま
た,個人情報を保護するなどのセキュリティを高めるため
には,データを学校から持ち出さない,または,データを
暗号化したものを持ち出すなどの対策が必要だと思われま
す。
(2)大平南中の例
ア パソコン室の利用状況と課題
現在の大平南中学校では,国語・社会・技術・総合的な学習の時間などの授業でパソコン室を
活用しています。
国語の授業では,方言についてや興味のある詩人についてなど,自由な発想での国語に関する
調べ学習をしています。社会の授業では,「駅弁マップをつくろう」と題して,日本の地域社会の
特徴を調べる授業を展開しています。総合的な学習の時間では,例えば環境問題に着目し,日本
と海外でのゴミに関する認識の違いなどを調べたりしています。技術の授業では,教科としての
必須内容になっているのでコンピュータの構成や基本的な操作,ソフトウェアの活用などを学習

しています。1年生では,他教科でのコンピュータ活用
に生かせるように早い段階で基本操作と情報モラルにつ
いて学びます。2年生では,ワープロソフト・図形処理
ソフト・表計算ソフトなどを中心に,実際に作品をつく
りながらソフトウェアの利用の仕方について学びます。
3年生では,情報通信ネットワークの利用ということで
情報収集の仕方や電子メールでの情報交換のやり方など
を学び,最後に文字・絵・写真・音声・動画などの多様
な情報伝達形式を使って,プレゼンテーションソフトで
「3年間の思い出アルバム」をつくります。
もっと多くの教科で使用してもらいたいと思う反面,総合的な学習の時間のようにすべてのク
ラスがブッキングする場合があるので,パソコン室の割り振りなどが大変になってくることがあ
ります。それを考えると,使用頻度の少ない教室用のパソコンを一つの教室に集めて第2パソコ
ン室つくってしまう方がより効果的に使えるのではないかと思います。
イ 教室に配布された2台のパソコンの利用状況と課題
教室に置いてあるデスクトップパソコンは,総合的な学習の時間での調べ学習以外では使用さ
れていないのが現状です。生徒指導やセキュリティの関係上,いつでも電源が入っている状況に
はしておけないので使用頻度も少ないのだと思います。ノート型のパソコンは,担任保管という
ことで各担任の先生方が使用しています。このパソコンの方は校務に使用されている場合が多い
ようです。しかし,担任の先生分しかないためそれ以外の先生方は個人用のパソコンを持ち込み,
有線のLANケーブルを用いて使用しています。そのように考えると先生一人に一台のパソコン
を割り当て,「個人用のパソコンはいっさい持ち込まないし学校のパソコンを持ち帰らない」よう
な状況をつくっていくのがセキュリティ面を考えると必要であると思われます。
5 終わりに
インタ−ネットへの接続環境の整備や校内LANの整備が急速に進んでいます。間もなく,イ ンターネットは教育活動において,なくてはならない,そして,あたりまえの道具となるでしょ う。学校においては,情報活用能力の育成という目標の中で,情報手段や情報を効果的に活用す る能力とともに,情報モラルを含めた情報社会における望ましい態度の育成についても,児童生 徒の発達段階を考慮しながらバランスよく指導していかなければなりません。
また,「教育の情報化」が発展する一方で,コンピュータウィルスや不正アクセス,ネットワー ク利用犯罪といった脅威が増大しています。情報セキュリティに関する対策の必要性が注目させ る中,学校のセキュリティレベルを向上させていかなければなりません。個人情報保護法が施行 され,われわれ教職員も情報の管理には十分気をつけなければなりません。
今年度の我々パソコン部会の研究が,大平町の情報メディア教育の向上に,少しでも役立つこ とができたら幸いであります。