テレビから逃げて佐野市 高岩美津枝 変なことを言います。私は自分では少しも変ではないのですが、 皆さんに言うと変だと思うでしょうから、そういう言い方をします。 先に結論だけ言えば 「テレビを観てはいけませんよ」というだけのことです。きっと皆さんは、むっとしていま す。テレビなしには一日も過ごせないと。 私の関わっている子供達に、どれくらいテレビを観るのかと聞いたことがあります。部活 もない雨の休みの日などは、朝起きてから夜寝るまで、テレビのスイッチが切れないという のです。そして、家族旅行に行っても、「宿でテレビを観ていた」というのです。びっくり しました。せっかく海辺に旅に行って、貝も拾わず、海の朝日も日没も見なかったのでしょ うか。忙しくて、好きな番組が観られなかったという場合には、ビデオに撮って観るそうで す。自分の部屋にテレビがあるので、親が寝てしまってから深夜までも観ている子もあると ききます。 では、どうしてテレビを観てはいけないのか。勉強時間が少なくなるからなんてことは言 いません。そうではなく、ぼっと何もしないで、空を見上げたり、地面の草や昆虫をただ見 ていたりする時間がないからです。人間の脳は、人為的な刺激のない時空でこそ自分らしい 思索をするからです。テレビは、目、耳に同時に刺激的に入ってきます。こうなると、人は 何も考えられません。そして、テレビで見せるものは、低俗な大衆受けのするものです。人 気番組というのは、安っぽい涙を、性的な興奮を、人の悪口までも売り物にした俗悪に満ち ています。それで、感動したの面白かったのと人は言っています。人の精神を低いところに 引きずり込んでしまいます。教養番組も本当の意味では、教養などにはなりません。薄甘い 味付けをして、皆に飲みごこちのいい味付けがしてあります。 イギリスでは、普通の家庭では子供にチャンネル権を渡さないそうです。親が見せるもの だけを子供は観る。アメリカでは、見せた くない番組は、スイッチが切れてしまう部品があるそうです。スペインとフランスでの経験 を言えば、番組がない。やっていないのです。日本ほど、のべつまくなしに、放映している 国はないのではと思いました。 私はテレビを持っていません。私の友人も三人持っていない人がいます。子供が大学が終 わったのでテレビを買ったのよ、という友人がいます。友人達も私も、テレビを見ないで本 を読みます。本の中に、思索の芽があり、過去の偉大な知識の財産があります。本は受け身 では読めません。自分の身の丈にあったものだけが理解できます。ちょうど気の合う友人の ようです。テレビは下らなく面白い。ですから、本気でテレビから逃げなければ、テレビの 虫になっしまいます。テレビに費やし続ける人生の時間の多さに、ぞっとしてください。こ れから成長をするあなたたちに、テレビから逃げて、自分という人間を見詰め、自分の考え を持てる人になってくださいと、祈りと愛を込めて願っています。![]()