おひさまクラブに託す思い
     真 弓  稲田 康子  私が子供のころ、両親はとても忙しく、本を読んでもらったことなどほとんどあり ませんでした。あのころもっと本に親しんでいれば、大人への階段ももう少し上手に 楽に歩んでこられた気がします。 自分の子供ができた時、この子達には小さいうちからぜひ本の素晴らしさを味わっ てほしいと思い、図書館などを利用して本を借りてきては読み聞かせていました。ま た、そのころ、たまたま郵便局で見つけたパンフレットの「ぶっくくらぶ」という会 にも入会し、長女と次女のために年令に合った絵本などが毎日届けられるようになり なした。 それから9年。子供達はたくさんの本に囲まれながら大きくなり、いつの間にか私 自身も子供達の本にすっかり魅了されていたのでした。特に絵本の素晴らしさには感 激しました。最小限の言葉と絵で、私たちの心に響き、私自身何度も何度も読むたび ごとに、慰められ、優しさや勇気、そして、元気をもらいました。 次女が大平東小学校に入学して、2か月ぐらいたったある日のこと、家庭教育学級 の後片付けをしていた私たちのかたわらで、「お母さん達が絵本などの読み聞かせの サークルのようなものを作って、子供達に読んでくれると助かるのですが……。」と だれに言うでもなくポツリとおっしゃった校長先生の言葉が、帰宅後、3才になる長 男の昼寝前にいつものように絵本を読み聞かせていると、ふとよみがえり、これらの 本で子供達に大切なことがたくさん伝えられる気がしてきました。さっそく、校長先 生にその旨を伝え、思い当たるお母さん数人に話を持ちかけてみると、皆、快く賛同 してくれました。 新しいものを創り出す喜びを皆で分かち合いながら、「おひさまクラブ」というグ ループとして活動を開始し、1年生の各教室で絵本などを中心に読み聞かせを始めま した。緊張している私たちとは裏腹に、子供達はとても興味深そうにお話に聞き入り 快く受け入れてくれました。 楽しい場面は皆で大きな声で笑い、悲しいお話に涙し、科学的なお話には好奇心一 杯の眼差しで絵に見入り、様々なことを感じている様子がうかがえました。そして、 毎週水曜日をお互いが楽しみに待つようになり、あの時1年生だった子供達は3年生 になりました。新しい1年生が入学するたびに、何人かのお母さんが仲間に加わり、 現在は18人のお母さんが当番制で、1年生から3年生の各クラスに毎週1回、全学 年の各クラスに毎学期1回読み聞かせ会を行っています。 私自身も「おひさまクラブ」を通して素敵な友達に出会え、この友達が紹介してく れたたくさんの本にも出会うことができ、子供達のためと思って始めたことが自分の 栄養にもなっていく喜びを実感しています。 良い本は心の糧となり、あらゆる場面で心の支えになってくれます。また、様々な 人の生き方、考え方、その歴史を学ぶことは、自分の心をより豊かにし、広い視野で 物事をとらえることができるようになります。皆さんが、たくさんの良い本と出会い 目に見えない部分に根っこを一杯張って、太い立派な幹に成長し、素敵な花を咲かせ てくれることを願っています。