表紙生きる知恵108
 書 名 名僧に学ぶ
  生きる知恵108
 出版社 山海堂
 発行年 昭和63年9月初版発行
 大きさ B5判、241ページ
 価 格 1262円(税別)
 目 次

 抜 粋 
第1章 心の悩みごとから解放されるには?
   ・自分が何者かわからない人に
   ・言いたいことがうまく言えない人に
   ・自分に才能がないど思い込んでいる人に
   ・勇気や自信がえられない人に
第2章 対人関係のトラブルを解決するには?
   ・部下の気心や性格をつかめない人に
   ・上司にめぐまれない人に
   ・周囲と協調できない人に
   ・説得カの欠けた人に
第3章 仕事上のスランプから立ち直るには?
   ・現在の仕事がおもしろくない人に
   ・よいアイデアが浮かばない人に
   ・いくら努カしてもダメな人に
   ・セールスの実績が上がらない人に
第4章 事業や経営をよくするには?
   ・一所懸命働いても儲からない人に
   ・損ばかりして生き方の下手な人に
   ・競争や勝負ごとに負けた人に
   ・よい人材が見いだせないで困っている人に
第5章 世間との関わり合いをよくするには?
   ・社会での信用が得られない人に
   ・感情の起伏の激しい人に
   ・趣味や遊びを知らない人に
   ・ひと嫌いな人に
第6章 新しい時代をよりよく生きるには?
   ・国際的ビジネスを志す人に
   ・自己嫌悪に陥った人に
   ・自分の持ち味を生かせない人に
   ・神仏を信じられない人に
【本書「推薦文」より】
 人は困ったり悩んだりするからこそ、教えを聞こうという気持ちになる。その当人に対して、松濤弘道さんのことばは、じかに心を打つものがある。松濤さんは海外の事情にも熟達し、文明の進路を真剣に考えている頼もしい宗教家だと思っていたが、この本を見ると、人生に立ちはだかる色々な問題についてのさばきはすばらしい。
 読者はこの本を読んでも身体は変わらず、もとのままだろうが、心はきっと転換するであろう。
       (東京大学名誉教授/東方学院院長)故 中村 元先生
【本書「まえがき」より】
 いつの時代でも世紀の移り変わり目には、ちょうど竹が成長するにしたがってその節目で一大飛躍をするように、新しい時代に向かって人々の精神的改革が行なわれ、生活の様相が一変してきたようです。果たして二十一世紀にかけてそうした変革がどのようなかたちでなされるのか予測はむずかしいにしても、私たちの生活のあらゆる分野でなにか変わらざるをえない萌芽はすでに醸成されつつあるように感じます。そこではもはや、国家や個人が培った戦力や権力や財力の多寡を競争するのではなく、各国家・個人がそれらの競合関係から解放されて、お互いが地球国家の一員として共生し、それぞれの能力や才能をわかち合って幸せになる生き方に価値を見いだす時代にならざるをえないようです。人類存亡の危機に際して国際間の政治の世界では米ソ首脳が核兵器の削減・撤廃に向けて努力する時代になってきているというのに、経済・産業の世界だけが依然として国家や会社や個人のエゴを丸出しにみずからの利益保全のための保護政策を取り続けているのは時代逆行もいいところです。国際化・情報化時代にあって「自分のところだけうまい汁を吸えれば、ほかはどうなってもかまわない」という利己的な考え方のうえに立った国家や企業や個人は早晩、他からひんしゅくを買い、自滅の浮き目にあうことは必定です。
 二十一世紀に向けて、羅針盤や海図のない不透明な大梅に船出するにあたって、いったいどうした心がまえでビジネスに携わらなければならないか、ということは前人未踏の分野であるだけにむずかしい設問で、確固たる解答が用意されているわけではありません。ただ過去の失敗例を試金石として「こうしたならば新しい時代に対応したビジネスができるのではなかろうか」という老婆心から、「古きをたずねて新しきを知れ」で、わが国や中国の先哲の残された言葉を紹介し、私のようなビジネスにまったくの門外漢が「めくら蛇におじず」で、あつかましくも注釈したのがこの書です。
 こうしたビジネスと宗教という一見、関係がなさそうな問題に取り組むきっかけになったのは、昨年度、東京三田にある仏教伝道協会の八階ホールで毎月一回行なわれた「仏教を経営に活かす会」の講演に招かれ、前年度の南無の会会長・松原泰道先生と当時東大教授の鎌田茂雄先生の後釜として、列席の多くの会社経営者を前に、つたない話をさせていただいたことによります。私のような人生経験も浅く、学識もない青二才が経験豊かな経営者を前につたない話を披瀝するのですから毎回冷汗もので、いつも「早く終わってくれればいいな」と考えながら無我夢中で壇上の人となりましたが、終了後の懇談の席上で、いろいろな方々から質問やら感想をうかがい、それが私にとってよい勉強になりました。そこで話題にのぼった問題を整理し、恥をしのんでここに私なりの解釈を試みたものです。したがって、おそらくビジネス界や宗教界の先達から「そんなことは常識だ」とか「的はずれな解釈だ」とのお叱りを受けそうですが、私としては精いっぱい、ない知恵を出したものです。もし、このなかからいささかでもビジネスの第一線に立たれる読者諸賢のこれからの生き方のご参考になれば望外の幸せです。



BACK E-mail Address:kinryuji@mb.infoweb.ne.jp