表紙仏教の常識がわかる小事典
 書 名 仏教の常識がわかる小事典
     歴史から教義、宗派まで
 出版社 PHP研究所
 発行年 平成14年7月初版発行
 大きさ 新書判、271ページ
 価 格 780円(税別)
 目 次 序 章 日本人にとって仏教とはなにか
第1章 仏教という大河の流れ
    1.開祖・釈迦とはどんな人か?
    2.仏教の基本的な教えとは?
    3.インドから日本への仏教の流れ
    4.わが国の仏教の歴史
第2章 日本仏教の各宗派
    1.南都六宗のあらまし
    2.天台宗系のあらまし
    3.真言宗系のあらまし
    4.浄土宗系のあらまし
    5.浄土真宗系のあらまし
    6.臨済宗系のあらまし
    7.曹洞宗のあらまし
    8.日蓮宗系のあらまし
    1.新仏教教団系のあらまし
第3章 仏教と信仰のあり方
    1.ほんものの宗教と疑似宗教の見分け方
    2.日本仏教宗派の行方
【本書「あとがき」より】
 とかく宗教というと、現代人のわれわれは、過去の残渣か遺産で不必要かつ人を惑わす以外のなにものでもない、といった態度をとりがちである。世界の歴史をひもといてみただけでも、キリスト教やイスラム教、ユダヤ教といった一神教の世界では、宗教の名において異端者迫害、虐殺、十字軍、魔女狩りが公然と行なわれ、わが国のオウム真理教(現アレフ)でも無差別殺人が決行されてきた。現に今も世界各地で宗教がからんだ相克や紛争が続いており、私自身、もし宗教が非人間的行為を犯すのが目的なら、だれよりもいち早く、そんな宗教からは遠ざかりたいと思っているくらいだ。
 しかしながら、宗教はそうした反社会的側面を持つのが本来の目的ではなく、過去や現在の多くの人々の安心立命のため、精神的救いやいやしを与え、文化の向上に貢献していることも事実である。古くはローマ帝国時代の詩人レクレチウスの言葉を待つまでもなく、宗教は人々の貧・病・老・死に対する不安や恐怖心をとり除く介添え役としての役割を果たしてきた。今日ではその大部分は生活保障や医療行為にとって代わられつつあるが、どんなに科学文明が発達しても依然として解決不可能なのは自分の死である。
 いくら宗教に無関心を装い、揶揄し、無宗教や脱宗教を標榜したところで、いざ自分が死に直面したとき、泰然自若としてそれを受けとめられればけっこうだが、たいていはあわてふためき、死の事実を忘れるべく乱ちき騒ぎに身をやつすか、狂気に陥るのが関の山ではなかろうか。そうしたときにどうしたらよいか。そこでたとえ気休めでもよいから、なにかに頼りたくなるのではないか。はたして仏教がその期待に沿える宗教であるかどうかは、それぞれの受けとめ方次第であり、ここではその材料を提供するだけで、あとは各自がみずからの知識と体験で検証するよりしかたがない。この書が今後の読者諸兄姉の生き方のなんらかのよすがとなれば幸いである。



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