表紙日本の仏様がわかる本
 書 名 日本の仏様がわかる本
     仏像の正しい知識と鑑賞の手引き
 出版社 日本文芸社(日文新書)
 発行年 平成14年11月初版発行
 大きさ 新書判、238ページ
 価 格 705円(税別)
 目 次 第1章 仏様のなりわい(仏像)の基礎知識
第2章 本家生まれの元締役の仏様【如来部像】
第3章 分家生まれの介添役の仏様【菩薩部像】
第4章 敵を撃破するガード役の仏様【明王部像】
第5章 お客として招かれた補助役の仏様【天部像】
第6章 帰化した補助役の仏様【垂迹部像】
第7章 各国生まれの仏様【祖師像】
【仏像のこぼればなし】
【本書「まえがき」より】
 おそらくみなさんは今まで、国内各地の寺院仏閣や博物館・美術館、家庭内の仏壇、路上などで数知れない仏像に接してこられたと思う。これらの仏像は礼拝や観賞の対象物として親しまれているが、いったいそれがなぜつくられ、いつごろから、どういう経路でわが国に伝わり、一般に普及するようになったのか不思議に思われることであろう。また、どうしてこんなに数多くの種類の仏像がつくられ、それがどういう意味を持ち、ご利益があるのか、どこへ行ったら出会えるのか、知りたい方がおられることであろう。
 私自身、幼少のころから寺院のなかで育ち、朝な夕なに仏像に接してきてその種類の多さに圧倒され、いったいどうしてこんなにたくさんの仏像がつくられ、まつられてきたのか不思議でたまらなかった。東南アジアに伝わる上座部仏教の寺院仏閣などでは、わが国のように多種多様な仏像はまつられてなく、すべてが仏教の開祖である釈迦の像だけである。それがどうしてわが国に伝わる大乗仏教になるとたくさんの仏像がつくられるようになったのか、それらが相互にどういう関係にあるのか、私自身にも今までよくわからなかった。おそらくみなさんも私以上にわからないことであろう。
 最近、古寺ブームで、心のやすらぎを求めて多くの方々が寺院などに詣で、仏像に接する機会が多くなってきている。そこで、礼拝の対象としても、観賞の対象としても、それらの仏像の由来や、語ろうとしている意味を系統立って知ったならば、いっそう親しみが増すのではないかと考え、あえてここに一本をつけ加えさせていただいた。この書では仏像がわれわれの身近な存在として感じとれるよう、なるべくわかりやすく解説したつもりである。
 われわれは、仏像の礼拝の対象であるすべての仏像を一般に「仏様」と愛称で呼んでいるが、厳密には、如来の像だけが仏像といえる。ところが、わが国では時代が下るにつれて、その他の菩薩・明王・天・垂迹・祖師の像がつけ加えられるようになった。そして、各宗派で「わが仏尊し」と自分の宗派にふさわしい仏を選ぶ教相判釈が行なわれ、いろいろな仏像が各宗派別に序列化して、一般の人々にはそれらの相互関係がわかりにくくなったきらいがある。
 そこで、ここではそれぞれの仏像の由来やそのはたらきについて総合的・組織的に記述してみた。はたしてこの試みがどの程度みなさんの意にかなったものになったか心もとないが、いささかでも仏像理解の一助になれば幸いである。



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