表紙仏教的生き方 200のヒント
 書 名 仏教的生き方 200のヒント
 出版社 日本文芸社
 発行年 平成16年11月初版発行
 大きさ 四六判、253ページ
 価 格 1,200円(税別)
 目 次 第1章 生きているのは何のため?
   ●つまずきは人生の出発点
第2章 一人立ちに活路を見いだす
   ●自分をよく見つめる
第3章 なかよく暮らす秘訣とは
   ●共に生きる素晴らしさ
第4章 生き甲斐のある人生とは
   ●輝かしい未来のために
第5章 悔いのない人生を生きる
   ●大自然に自分を投げ込む
【まえがき〜
  『世界に注目されている仏教の役割』より】

 最近、世界で注目を浴びているのが仏教である。
このアジアの片隅に生まれた、一見、古臭い宗教が識者から見直されているのである。仏教といえば、われわれ日本人にとってはあまりにも身近にあるせいか、それほど問題意識されることもないだろう。葬式か法事のときにしか用のない、抹香くさい宗教であるとしか考えられないものを、どうして世界の識者が評価するのか、いぶかしく思うにちがいない。
 私自身、仏教をかつては化石化した遺産か歴史的風景くらいにしか考えていなかった。しかしながら、僧侶が読む、一見煩雑で難解な仏教経典をひもとくと、そこには世界の思想史上、すばらしい宝の山が埋蔵されていることに一驚した。欧米ではすでに十九世紀以来、歴史学者アーノルド・トインビーや物埋学著アルベルト・アインシュタインなどが注目し、多くの宗教学者や言語学者が欧米語に翻訳、紹介している。ひとりわが国だけが「燈台下暗し」で、従来、仏教学者や僧侶が仏教経典を「教えるべからず、依らしむべし」として金科玉条化し、国民はその内容を知る機会を逸して来たようだ。
 最近になってようやくその弊害に気づき、仏教経典の現代語訳や注釈がなされ、仏教界だけでなく多くの思想家や文学者が再評価するようになって来たことはまことに喜ばしいことである。
 しかしながら、その取り上げ方はややもすると一面的で、宗派中心の「わが仏のみ尊し」とする解釈が幅をさかせており、世界の思想史的観点に立って、仏教経典の全体像を一般の方々に客観的に理解させ納得させているとは言い難い。これでは「木を見て森を見ず」でかえって人々を迷路に陥れかねない。
 私は日頃、わが国の仏教学者や思想家の誰かが一般向けに、仏教や仏教経典の全体像をわかりやすく周知徹底させるような出版物が上梓されることを待望して来た。しかしながら、一向にその気配がないことを痛感し、あえて大方のそしりを覚悟の上で、浅学をも顧みず、自らそれを手がけることを決意した次第である。
 本書はその手始めとして、膨大な仏教経典の中から名僧の書き記した、現代人のわれわれに意味と価値があると思われる金言名句を抜粋して私釈したものである。なお、その一部はわかりやすくするために現代語に書き改めたことをお断わりしておきたい。
 はたして、こうしたつたない試みがどの程度、読者諸兄姉に理解されるか、心もとない気がするが、いささかでもわが国の文化や伝統の根幹をなす仏教の何たるかを知り、自らの依って立つ思想に誇りと自信をもっていただける、よすがになればしあわせである。(一部抜粋)



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