かわらぬことのよぶあたらしさ。 はい、今回は少し足を伸ばして前橋市となります。 実は自分の住む館林市は同じ群馬県といえど、前橋や高崎とは生活圏が違うのですね。 主要幹線道路網や鉄道網の伸び方などが地域的にまったく異なってしまうので、ときに栃木県は足利足佐野市、埼玉県は羽生市、茨城県は古河市などの方が生活の場として身近であったりすることもあります。 今回はそんな中で、行政に関わる用事にて『県都前橋生糸の街』、そんな上毛カルタでしか記憶のない前橋に赴いたときの出会いです。 来々軒さん。 市道沿いに構えを持つお店でして、通りがかりですと「ちょっと気付かないかなあ」というくらいに地域の溶け込んでおるお店です。 正直に言いますと自分もそうでして、この地にて要件を済ませた帰り道だったのです。 昼下がりの午後は昼食を済ませておらず、車のカーナビにてグルメ検索をかけた出会いでした。 創業は昭和6年とのこと。長きに渡り続いてきたお店ですね。 あつらえられたメニューの札。お手製なのでしょうか、 それともその道の方がこしらえたモノなのでしょうか。 ひと札ひと札にこのお店の歴史を感じます。 ワンタンメン。650円。 評判、というか正直カーナビの情報にあったのはラーメンとワンタンのおすすめ。 なのでワンタンメンを。 鉢は小振りですね。小振りというか、平成の今から比較してみたら小振りに見えると言うことで、このお店では昔からこの寸法をもって標準として来られたのだと思います。 「ユー、手打ちですねー」 青竹打ちの太麺です。初めての食感。 自分にとって青竹打ちというと佐野系のいわゆる「ぴろぴろ麺」を想像するのでちょっと驚きです。コシがあり堅め。 スープは脂気のないさらっとしたもので今時のラーメンと比較してみるとすこし和蕎麦に近い印象があります。 うん、麺自体も印象はラーメンの麺というよりうどんに近いものがあるかなという印象で。 ワンタン。お店手作りとのことなのですが、これがまた薄め柔らかめでおいしいのです。レンゲに掬ってつるっといただくのですが、ワンタンは漢字で雲呑 「雲をのむ」との言葉どおりにいただけてしまうおいしさです。麺の太め堅めな食感と織りなした組み合わせに感じるおいしさもひとしおです。 このお店は、また来たくなります。 うん。 いわゆる「群馬のラーメンココが美味い! 巨匠○○が見極めた群馬のラーメン100選!」みたいなムック(今アドリブで誌名作りました)にて紹介されるようなタイプのお店ではないと思うのです。流行廃りとか、もてはやされとかそういう世界にないお店。このお店は今までもここにあって、これからもここにある。そんなお店なのではないかと。 食べ終わりのお鉢。 お店の名前もさることながら、電話番号がこのお店の歴史を感じますね。 ラーメンというものはその食べやすさからの手軽さがあるのですが、それゆえに時代の流行り廃りを受けやすい性質を持つのではないか、と思う自分です。 こちらのお店はそのような隆盛とは少し離れた場所にあって、 これまでも、 これからも、 この味でお客様のお腹を満たしてくれるのだろうなあと思うのです。 今回はやや偶然の出会いでもあったのですが、少し嬉しかった日のことでした。 ノスタルジックに浸りましょうとお誘いするわけでもないのですが、 ふと落ち着きたくなるおみせです。 群馬県前橋市、来々軒支店。 いかがでしょうか、 おすすめです。 |