星の散歩道          RENEW 2000/3/5

1 星の散歩道へようこそ!
 最近の都市部では光害が甚だしく、星空が見にくくなってきています。
 でも、冬の寒い夜、ふと夜空を見上げると満天の星の輝きに、ハッと思った人も多いでしょう。
 現代のあわただしい中では星を見る機会も少なく、光害の影響や学校でも十分な天体の学習がされておらず、残念です。
 私ごとですが、「栃木科学教育協会」をベースに地域の天文施設等で長年天体指導を行っている中で、星について知りたい人が大勢いることに心強く感じています。指導の折り、子供達のみならず引率の保護者までもが自作の望遠鏡で初めて月や土星の輪を見て歓声をあげるのに触れ、「科学する心」の必要性を強く確信します。
 このページはサーバ容量が少なくお話が中心ですが、比較的よく聞かれることが多い事柄についてまとめてあります。わかりやすさを第一に、私見も混じえてますので、不十分、不適切な部分があることはご容赦下さい。なお、星に関する質問やご相談、ここで取り上げて欲しいことも歓迎しています。

2 星ってどんな種類があるの?
 夜空に見える「星」といっても、いろいろな種類の星があります。
 皆さんが知ってる星はどんな星でしょうか? 色で分けたり、明るい暗いで分けたり、色々な分け方があります。
 学術的には色々な分類方法がありますが、基本的には「惑星」と「恒星」に分けられます。
<惑星>
 「惑星」は太陽のまわりを回る天体です。現在9個発見されています。太陽に近い順から、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星となります。
 これらの天体は、太陽の光を反射して光っています。明けの明星、宵の明星と呼ばれるのは金星です。これを望遠鏡や倍率の大きな双眼鏡で見ると、三日月の形をして輝いています。赤い色の火星や、輪で有名な土星、縞模様のある木星なども、自分で光を出しているのではなく、太陽の光に輝いているだけなのです。えっ?と思うでしょうが、我々の住む「地球」も立派な惑星なのです。
 惑星の色は、それぞれの天体の状態により、見える色が違います。たとえば金星には二酸化炭素と硫酸と硫黄を含む大気があり、そのため黄色に輝いて見えます。一方、火星には大気はほとんどないですが、対地の色が褐色に近いため、全体として赤っぽく見えます。また、木星や土星は大気に覆われており、大気の質や密度が部分的に異なるので、縞が見えると考えられます。
 先日、スペースシャトルから見た地球の映像が新聞等に掲載されていましたが、全体に青く見えていました。もう40年近く前、ソ連のガガーリンが人類史上初めて宇宙旅行をした際、「地球は青かった」と話したそうです。海の色もあるのでしょうが、地球には大気があるので、そのせいでも青く見えるのでしょう。(昼間の晴天は青いですね)恐らく、地球からもっと離れて見ると、青っぽく輝いて見えるのかも知れません。
<恒星>
 地球から見える惑星は8つ(地球は除く)ですが、恒星は無限にあります。
 「恒星」は自ら光を出して光っている星のことです。惑星は8つしか見えませんから、夜空に見える星は、ほとんど全部が恒星と言ってもよいでしょう。
 恒星の光る仕組みは、核融合反応によるものです。恒星が輝く核融合反応の中心は、水素によるものです。核融合反応をしている代表的な星は「太陽」です。
 太陽を作っている物質はほとんどが水素です。この水素の原始4個が融合し1個のヘリウムに変わりますが、このとき膨大なエネルギーが放出されます。
 でも現在の技術では実験室の中でこの反応は起こすことはできません。なぜなら水素がヘリウムに変換する核融合反応が起きるためには、極度の高温と高圧状態が必要だからです。ちなみに太陽の表面温度は6000度、圧力は0.1気圧(地球の10分の1)ですが、太陽の中心部では水素大気の圧力が加わるため、温度は1600万度、圧力は2500億気圧にも達し、水素原子が融合しヘリウム原子に変換してしまうのです。詳しくは<16 核融合>でお話します。
 このような状態の天体が、宇宙のいたるところに存在し、これが恒星として輝いているのです。いわば宇宙のあちこちに太陽があるものと言えます。また、天の川や星雲と呼ばれるものも、ほとんどは恒星の集団です。
 太陽以外の恒星は、あまりに遠くにあるので丸くは見えず、望遠鏡で見ても点にしか見えません。
<見分け方>
 惑星と恒星の簡単な見分け方があります。比較的風の強い夜、またたいているのは恒星です。またたかず、のっぺり見える星があれば惑星と考えられます。惑星は地球に近いので面積があり、表面の光が地球に届きやすいからです。
 なお、恒星がまたたくのは星の光が地球の大気を通ってくる間に、上空の密度のアンバランスにより複雑に屈折して地上に届くからです。夏のかげろうと似た現象です。
<その他の星>
 惑星でも恒星でもない星に、流星や月があげられます。ハレー彗星でおなじみの「彗星」もありますが、これは太陽の光や熱を受けて光っているので、あえて分類すれば惑星の仲間に入るでしょう。
 流星は、彗星が宇宙空間にまき散らしたチリのそばを地球が通るとき、チリの一部が地球の引力に引かれて落下し、地球の大気圏に突入した際、空気とチリの摩擦熱で燃え尽きるため光を出すものです。自分で光っていると言えますが、核融合反応ではないので、恒星ではありません。最近では、しし座の流星群が思い出されます。
 月は地球の周りを回る「衛星」です。衛星とは惑星の周りを回る天体であり、木星のガリレオ衛星も有名です。地球は太陽の周りを回り、その地球の周りをさらに月が回っている、何とも不思議なものです。その他、土星や木星等にも衛星(月)がいくつか発見されています。宇宙探査の技術が発達すれば、今後も発見される衛星は増えていくものと思われます。

3 星は何で季節で変わるの?
 星座の見え方は季節により異なってきます。これは、星座の形が変わるのではなく、地球が太陽の周りを回転(公転といいます)するため、太陽の反対側(地上の夜側)の景色が変わるため、その季節の夜の星座が順番に見えてくるからです。
 地球は太陽の周りを395.25日かけて一周します。従って、1年後に見える星座は1年前の星座と同じく見えるのです。
 皆さんご存じの、星占いでもよく聞くいて座とかさそり座がありますね。例えば、占いの射手座の月は12月になってますが、12月の夜空を見ても、いて座は見ることができません。この時期にはちょうどいて座は太陽の方角に位置しているからです。
 何となく妙に思えるかも知れませんが、占いでいう星座の月は、昼間、太陽がある位置にきている月をいうのです。占い月の星座の見頃は、占い月の逆の月(いて座なら6月頃)に太陽の反対側(地球の真夜中)に見えます。
 太陽が星座の上で見かけ上通るところを「黄道」といいます。この黄道は占いでいう12個の星座の上を通っています。その星座の部分を太陽は西から東に向かって毎月少しずつ動いていきます。一周は360度ですから、1ヶ月では30度動くのです。毎月詳しく星座を観察していると、同じ時刻なら今見えている星座が1ヶ月後には30度西の方に傾いていることがわかります。
 ちなみに、星占いで出てくる星座は12個あり、これを黄道12宮と言います。

4 星の明るさが違うのはなぜ
<星の等級>
 星(恒星)の明るさは色々なものがあります。天文学では星の明るさを「等級」で表し、1等星から6等星の6段階に分けています。よく晴れた暗い空なら6等級の星まで見えるそうです。
 また1等星は全天で約20個ありますが、厳密には同じ1等星でも明るいのと暗いのが混じっています。
 等級の正確な考え方は、1等星は6等星の100倍明るいということです。等級ごとの差は2.5倍になります。
 恒星のなかで最も明るく見えるのは大犬座にあるシリウスという星です。等級はマイナス1.5等です(マイナスの数値が大きいほど明るい)。惑星ではもっと明るいのもあり、金星ではマイナス4等以上にもなります。参考に、満月はマイナス12等、太陽はマイナス27等にもなります。
<絶対等級>
 我々が見ている星の明るさは、必ずしもその星の絶対的な明るさではありません。たとえ明るい星でも非常に遠くにあれば暗く見えてしまいます。
 全天で一番明るい星(太陽系は除く)はシリウスですが、これが宇宙で一番明るいわけではありません。シリウスまでの距離は8.7光年(光の速度で8.7年かかる)ありますが、宇宙の距離としては非常に近い部類に入ります。
 天文学ではこれでは不便なので、「絶対等級」という物差しを使います。これはすべての恒星を32.6光年の距離にあるものと見なした明るさを言います。これでいくと、シリウスの絶対等級は1.4等になり一番明るい星ではなくなります。ちなみに太陽では5等になってしまい、ずいぶん寂しい見え方になるのです。
 絶対等級でも星それぞれに明るさの違いがあるのはなぜでしょうか。これは2つの理由があります。
 一つは星の大きさです。星が大きいほどその表面積も大きく、同じ光を出している面積が大きいほど多くの光を放出し、明るく見えるのです。
 二つ目は星の表面のまぶしさです。まぶしさは「輝度」といい、星の表面の温度が高いほど明るいのです。輝度の例として電球をあげますが、同じワット数の電球でも、艶消し電球と透明電球ではまぶしさが全然違います。同じ光の量を出していても、小さい面積から出ている方がまぶしく、その部分は明るいのです。
 なお、星までの距離はこれらの関係を計算して求めることができます。
 
5 星はいくつあるの?
 星はかすかに見えるものほど数が多くなっています。肉眼で見えると言われる6等級までの星で約6000個と言われます。さらに暗い星は望遠鏡等で見られますが、それでも限界があり、地球上では23等級位が限度と言われており、星の数にしてざっと100億個です。
 これ以上暗い星もありますが、地球には大気があり、太陽からの光の屈折や上空のオーロラ等により、見ることはできません。
<全宇宙の星>
 それでは全宇宙の星はいくつくらいあるのか疑問に思われますが、実のところはっきりとは確定していません。
 夏に天の川が見えますが、これは我々も属する「銀河系」のごく一部を真横から見ているにすぎません。銀河系の星の総数は約2000億個と考えられています。
 ところが宇宙には銀河系のような島宇宙が多数存在するこが知られています。聞いたことがあるかも知れませんが「アンドロメダ大星雲」も銀河系と同じような恒星の大集団です。これと同じような銀河が宇宙の至る所に存在しており、少なくとも1000億個以上あるとの報告もあります。これを計算すると、2000億×1000億=表示できないほどの無数の星が存在することになります。
 
6 星はどうして生まれたの
 代表的な恒星は太陽ですが、今光り輝いているのは水素が核融合反応を起こしていることは既に述べたとおりです。それではその水素はどこからやってきたのでしょう。
 水素はあらゆる物質の最も基本的な構造をしています。水素原子は、原子核1個の周りを電子が1個ぐるぐる回っています。これ以上物質を減らすことはできない構造となっています。
<星の誕生>
 原始宇宙にはこの水素原子が充満していたと考えられます。この原子同士があるきっかけにより(詳しくは解明されてない)宇宙のいたる場所で集合し、ガスの集団を作っていったようです。そのガスの集団は、近くのガスをますます引きつけ、大規模なガスのかたまりとなっていきます。そうするとガスの中心では大きな重力がかかり、温度や圧力も非常に高くなっていきます。
 ある程度のガスの集団の大きさになると、中心部で水素原子が核融合反応を開始し、ヘリウムに変化し、その際大きなエネルギー(熱)を出すのです。
 ガスの集団が光り出すまでの期間は、集団の大きさにより異なっています。比較的小さな集団では、内部の圧力があまり高くならないので、ゆっくりと燃えていきますが、大きな集団になると内部も超高温、高圧になるため速く燃えるものと思われます。
 最近では、オリオン座の小ツ星の近くに、まさに誕生しようとしている星が発見されています。
 それでも、速くても数十万年、遅いものでは何億年もかかって光り出すといわれています。
<星の色>
 星の色はその質量(重さ)により光り方が違います。
 重い(たくさんのガスがある)星ほど激しく光り、温度も高くなります。軽い星はゆっくり燃えるので温度は比較的低くなります。
 温度が高くなるに従って、赤、オレンジ、黄(太陽)、白、青白、青、紫と変わっていきます。赤い星は約4000度で、黄色の太陽は6000度、白く見える星は約8000度、青や紫に見える星は数万度以上に達しています。
 星の色は厳密には「スペクトル」で表し、スペクトル(色)がわかれば、その星の温度がわかり、さらにはだいたいの大きさもわかってしまうのです。「4 星の明るさ」で触れましたが、星までの距離はこの方法で求められます。
 なお、あらためて「星の寿命」で述べますが、激しく燃える星ほど寿命は短くなります。

7 星はなぜまたたくの?
 風の強い夜は星がまたたいて見えることがあります。また、地上では風が強くなくてもまたたいていることもあります。
 星のまたたきは、地球の大気によるものです。何光年もかかって地球にたどりついた星の光は、大気にあたるとわずかながら屈折して私たちの目に届きます。
 途中の大気が濃かったり薄かったりすると、光りの進み方に変化が起こり、同じ光りの量が届かなくなるのでまたたいて見えるわけです。
 地上約10キロメートルの付近にはジェット気流が流れており、空気の層が不均一になっています。その下の対流圏と呼ばれる空気の層も、上昇気流や気圧の関係で常に空気が流れており、地上にいる限りまたたく要素から逃れることはできません。
 特に天体観測ではまたたきが問題になります。あまりまたたきの強い日は観測に適していないのです。望遠鏡を使うということは、星を拡大して見ることであり、星の光がまっすぐ入ってこないと、望遠鏡で見た星の姿はゆらゆらと動いて見えてしまいます。地上で何気なく眺めているのには情緒があっていいのですが・・・。
 従って、大気のない宇宙空間へ行けば星はまたたかずに見ることができ、実際にアメリカではハッブル宇宙望遠鏡を宇宙空間に打ち上げて大気の影響の全くないシャープな天体写真を地上に送ってきています。

8 光らない星ってあるの?
 星はすべて光っていると思うのが普通です。光っていないと見ることはできませんし。
ところが星(天体)の中には光らずにいるものも多数存在します。もちろん惑星も光らない天体ですが、ここでは取り上げません。
 多くの人が「ブラックホール」の名前を知っていると思います。これは非常に強い重力があるため、光りでさえ外に出られず、その姿が見えないことから呼ばれています。
 宇宙にはブラックホールやその他の光らない星も多数存在しています。
<中性子星>
 星は大部分が水素ガスでできていることはご承知の通りです。この原子は原子核とそれを取り巻く電子からできています。さらに原子核の中には陽子と中性子があります。
 もし大質量の星があるとすると、お互いの重力でより強く引き合い、星の中心部ではぎゅうぎゅうに詰め込まれつぶれていきます。ある程度詰め込まれると、陽子、中性子、電子が隙間なくくっつきあっていき、ある一定の限界に達すると、陽子が電子を吸収して中性子になり、結局、中性子だけの星になっていきます。
 もし太陽が中性子星になるためには、今の質量を維持したまま半径約10キロメートルの大きさにならなくてはなりません。これは地球上の1300億倍の重力に匹敵し、1立方センチあたり5億トンの質量になります。
 なお、中性子星は、きわめて大きい重力があり、この状態を安定させるため高速で自転をしています。(パルサーと呼ばれ、中性子星の周りの磁場による電波が観測されています)
<ブラックホール>
 中性子星は全体が中性子で構成されていますが、もっと大きな星が中性子だけになると重力により星の収縮がますます激しくなっていき、中性子が重力に耐えかね、そのものがつぶれていくと考えられます。
 しかしそのような現象は、実際には観測は不可能です。実は、そうなる手前で光りが外に脱出できなくなるまで重力が強まるからです。
 中性子星も同様に重力が非常に強いので、光って見えることはありません。
 一度中性子星の重力圏内に入ってしまうと、あらゆる物質、光りでさえも吸い寄せられてしまい、その星と同様に外部からは見えなくなってしまう恐ろしい性質を持っています。
 実際の観測では、ブラックホールの周囲の密度の変化や、そこへ落ちていく物質から出される断末魔の悲鳴(電波やエックス線)を観測して、距離や大きさを計算しています。
 たとえ高性能な宇宙ロケットがあっても、誰もそばへは行かないでしょうね。また、ブラックホールや中性子星は、地球から何十万光年以上も離れていますので、地球が飲み込まれる心配はありません。
<星間物質>  宇宙空間には、これらの天体以外の物質も漂っています。恒星の原料となる物質で、恒星が燃え尽きた残骸や水素等のガスがあります。  これらは自分では光り輝くことはなく、むしろ星の光を遮ってしまいます。また、これらの物質は、宇宙にある全恒星の10倍以上あるとの報告もなされています。

9 星までの距離は?
 星までの距離を求める方法は「6 星の誕生」で述べた、スペクトルに基づく方法が主流です。以前は、地球の公転を利用し、公転の直径と星の見かけの角度を三角測量の方式で求めていましたが、星までの距離が遠くなればなるほど精度が下がり、使いものにならなくなりました。
<ハッブルの法則>
 非常に遠い星までの距離は、1900年代はじめにハッブルが発見した理論によります。これは、宇宙は全体として膨張しているという理論です。
 風船に点を書いて膨らませると、それぞれの点の距離は少しずつ離れていきます。ハッブルは宇宙も同じように空間そのものが膨張していることを発見したのです。
 風船の例でいうと、遠くの点同士は近くの点よりも、お互い離れていく速度が大きくなります。宇宙でも同じことが言えます。
<ドップラー効果>
 多くの星からは光が出ており、それぞれスペクトルを持っています。しかし、星が高速度で離れていくときにはドップラー効果という現象のため、スペクトルの位置が赤い色にずれて見えるのです。
 ドップラー効果とは、救急車が走り去っていくときに経験があると思いますが、近づいてくるときは高い音なのに、遠ざかるときは低い音に変わってしまいますね。光りも同じような現象が生じるのです。
 遠くの星の距離は、ドップラー現象のスペクトルのずれを詳細に観測し、そのずれが大きいほど遠くにある星であるとしています。

10 宇宙はどこまであるの?
 宇宙に興味がない人でも宇宙のはてはどこまでだろう、と思ったことがあると思います。この問題は、生命の起源とならんで究極の科学の課題でしょうね。
 宇宙にはてがあるのかどうかですが、はてがあるとすれば、さらにそのはての先には何があるのかと疑問がわき出てきます。
<有限だがはてなし>
 さて、宇宙のはてですが、これはアインシュタインが「相対論的宇宙論」で解釈されています。簡単に言えば”宇宙は有限であるがはてはない”となります。
 何のことだかちんぷんかんぷんですが、地球の表面に置き換えて考えると、地表面は有限ですが、はてというものはありません。宇宙でもはてはないですが宇宙の体積は有限と考えられています。
 もし超高性能なロケットで宇宙のかなたに飛び立っていっても、ここで宇宙は終わりという場所は存在しないのです。なぜなら宇宙は絶えず膨張をしており、膨張の先端の外側は宇宙でない空間を取り込んでいるのでなく、存在のない「無」であるからです。
<空間の曲がり>
 まるで禅問答のようですが、もう一つの考え方があります、これは、宇宙空間が曲がっているとの考え方です。
 人類は地球という丸い天体の上に住んでいますが、地球が丸いことを実感することはまずないでしょう。ところが飛行機で世界旅行をするとき、地球のはてを求めて旅に出る人はいないはずです。
 船でも飛行機でも、どんどん進めばやがてもとの地点に帰ってきてしまいます。つまりは地球には果てはなく、どこでも出発点と到着点は同じになることができます。
 ところが地球表面、各国、各海洋の広さは一定で有限の世界です。
 もし地球にはてがあるかと聞かれれば、果てはないけどゆうげんである、と答えざるを得ないですね。宇宙空間についても基本的にこれと同じことが言えます。
 実際には、宇宙空間が曲がっていることを見ることができないので理解しにくいですが、超高性能の望遠鏡があって、これで宇宙のはてを覗くと自分の後ろ姿が見えても何ら不思議ではないということになります。
 なお、この宇宙空間が曲がっているという数学的理論を元に、アインシュタインは一般相対性理論を構築したのです。
 なお、現在最も遠くにある天体の観測から、そこまでの距離は先ほどのドップラー効果から計算すると約120億光年とされ、宇宙全体の広がりは半径150億光年程度ではないかと思われます。たとえもっと先に宇宙があったにせよ、そこでは光速より速く地球から遠ざかっており、光や電波でさえも永遠に届くことはないからです。

 以下、鋭意作成中
 
11 宇宙の寿命はいつまで?
12 宇宙人っているの?
13 星座を知りたい
14 星座早見盤の使い方
15 望遠鏡の話
16 やさしい核融合論
17 やさしい相対性理論

18 2月29日の問題
 今年はじめの2000年問題は予想されたほどの混乱もなく、無事に過ごすことができましたが、先日の2月29日には、郵便貯金のオンラインが停止したり、気象庁のアメダスが狂ったりと影響がありました。
 これはご承知の通り、2000年は400年に一度の極めて希な閏年にあたるためで、日付のソフトに起因する問題でした。この400年に一度の特別な閏年について説明します。
<正確な1年とは>
 地球は太陽の周りを公転しており、ちょうど1周する時間を1年(1太陽年)としています。この周期は天文台等で正確に観測されており、365.2422日(365日と5時間48分46秒)と半端な数値になっています。
<ユリウス暦>
 紀元前45年にローマのユリウス(シーザー)がユリウス暦を定めました。これは正確な1年を365日とすると1年につき約6時間もズレが生じるので、4年に1回、1年を366日とし、ズレを少なくしようとしたものです。
 この方法で1年を平均すると、365.25日となります。正確な1年の365.2422日との差は約11分しか違わず、長くヨーロッパ諸国で使われましたが、16世紀になるころには11分の差が積もって、実際の気候と10日ほどの違いが出るようになってきました。
<グレゴリオ暦>
 現在世界中で使われている暦は「グレゴリオ暦」と呼ばれ、1582年にローマ法王グレゴリオ13世が定めたものです。
 16世紀には既に正確な1太陽年が観測されており、128年の間に31回の閏年を当てはめれば太陽年に近くなることがわかっていました(1年につき1秒の差)。
 しかし、どこに閏年を入れるかが非常にわかりずらく、従来の閏年の考えを延長しつつ「閏年は、西暦が100で割れない年は4で割れる年、100で割れる年は400でも割れる年」としたものです。何だかややこしい言い方ですが、わかりやすく言えば「閏年は、西暦が4で割れる年。しかし100で割れる年は閏年とはしない。但し400で割れる年はやっぱり閏年」となり、まさに2000年は例外の例外の年に当たるのです。
<検証>
 もし、100で割れる年は全て閏年にしないで計算すると、1年は365.24日となり、0.0022日(3分10秒)のズレが生じます。ここで400で割れる年だけを閏年にすれば、1年は365.2425日となり、0.0003日(26秒)と格段に太陽年に近づきます。
 それでも1年で26秒の差(差と言えるのかどうか)があるので、約3300年で1日のズレが生じますが、私たちが使う暦としては十分でしょうね。
<閏秒>
 地球は太陽の周りを365.2422日かけて公転していることは述べましたが、実はこれも変動しているらしいのです。極めてわずかずつですが時間が延びているようです。
 しかし、これを暦で補正しようとすると今のグレゴリオ暦がさらにややこしくなり、また特に問題となる時間数でもないので、時々、「閏秒」を挿入して正確な太陽時にあわせています。
 以前は閏秒というのはありませんでしたが、近年、極めて正確な「秒」を計測する技術が確立し(原子時計といって、セシウム原子の振動数を検出して1秒を決めている)、地球の公転の方がふらついていることがわかってきたからです。
 この閏秒の挿入は、12月31日や7月1日に入れますが、毎年入れるわけではありません。原子時計による正確な時間と天文台で観測した地球の公転軌道のズレを計り、ズレが大きくなった時に限って、閏秒を入れることになっています。
 でも、各国で勝手に入れていたのでは混乱するので、フランスにこの関係の機関があり、ここでいつ入れるかを決めています。
 日本ではこの指示を受け、郵政省電波研究所で日本標準時を決め、時報として使われています。また福島県に標準時の発信施設があり、市販の電波時計で全国で受信することができます。
 なお、2000年は閏秒はない模様です。
 
 

Copyright & meilto:m-suto@cc9.ne.jp

Supported:SEAT(Science Educational Association of Tochigi)栃木科学教育協会

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