『物理定数とは何か』(講談社)で紹介されている物理定数

記号 名前 数値 単位 概略
G 万有引力定数 6.67259×10-11 Nm2kg-2 距離rだけ離れた質量mとMの物体の間に働く引力を求める際に使われる。引力F=GmMr-2
g 重力加速度 9.80665 ms-2 地球上で物体が落下するときの1秒あたりの速度の変化率。地球上で場所によって変化するので、実は定数ではない。
- 大気圧 1.01325×105 Pa いわゆる1気圧のこと。天気予報で使われるhPaの“ヘクト”とは100を表す接頭語。場所や気候によって変動するので厳密には定数ではない。
J 熱の仕事当量 4.2 Jcal-1 仕事(摩擦)を行ったときに発生する熱量を換算するための定数。
vS 音速 3.315×102 ms-1 これも厳密には定数ではない。摂氏t度のときの大気中の音速は331.5+0.6tで求められる。だから、左の値は摂氏0度のときのもの。
c 光速度 2.99792458×108 ms-1 光源の運動に関わらず一定などという特性があるので、ついに1mの定義は光速度によってなされることになった。1/299792458秒に光が進む距離が1mだって。
e/me 電子の比電荷 1.75881962×1011 Ckg-1 電気素量とは電子の電荷。比電荷とは、電気素量を電子の質量で割ったもの。
e 電気素量 1.60217733×10-19 C
NA アボガドロ数 6.0221367×1023 mol-1 1モル(分子量にグラムをつけた量:例えば水素なら2g、酸素なら32g、水なら18g)に含まれる分子の数。
R リュードベリ定数 1.0973731534×107 m-1 高温気体からはいろいろな波長の線スペクトルが放出されるが、その逆数はR(m-2-n-2)で求められる(ただしm,nは任意の整数)。
h プランク定数 6.6260775×10-34 Js 陽子とか中性子とか電子とかいったミクロな世界になるととたんに出てくる物理定数。なんかよく分らないんだけど^_^;、熱放射(高温の物体が出す電磁波)の研究から出てきたらしい。
k ボルツマン定数 1.380658×10-23 JK-1 気体分子1個の運動エネルギーを絶対温度から求めるための定数。しかし、古典熱力学および統計力学におけるエントロピー概念にも登場する。

 しかしそれにしてもエライ精度になってますな。11桁っていうと、身長が100pm(ピコメートル:10-12m)まで分ってるということですもんね(かなり無茶な譬えではあるが)。これは、だいたい水素原子の大きさですよ。
光速度の測定方法の変遷を読むと、昔の人も頭働かせたなぁと思う。例えば僕が測ってみろって言われたら途方にくれちゃうもんな。

 おまけとして「単位」の話。
長さ・質量・時間・電流・熱力学温度・光度・物質量が“基本単位”として採用されている(これら以外は“組立単位”と呼ばれる)。長さと質量に、メートル・キログラムを採用したMKS単位系と、センチメートル・グラムを採用したCGS単位系があるが、近年はMKS単位系が採用されている。なお、長さと質量以外は共通で、順に、秒・アンペア・ケルビン・カンデラ・モルである。
で、上表に出てきた単位を補足すると――

記号 読み方 概略
N ニュートン 力の単位。1Nとは、質量1kgの物体に作用して1ms-2の加速度を生じさせることのできる力の大きさ。kgms-2
J ジュール 仕事・エネルギーの単位。1Jは、1Nの力が作用してその方向に1m動かす間にその力がなす仕事。kgm2s-2
C クーロン 電気量の単位。1Aの電流が1秒間に運ぶ電気の量。As。
Pa パスカル 圧力の単位。1m2に1Nの力が作用するときの圧力。kgm-1s-2
K ケルビン 絶対温度。固体でも原子レベルでは振動している(熱運動)。温度が高いほど激しいが、摂氏マイナス273.15度になると完全に静止すると考えられており、低い温度の方の限界となっている(絶対零度)。ここをゼロとし、摂氏温度の目盛間隔を採用したのが絶対温度。温度は通常t/Tで表されるが、小文字が摂氏で大文字は絶対温度というのが慣習。したがって、T=t+273.15の関係にある。