『居残り佐平次さへいじ』のトリビア

 以下は、『落語手帖』(矢野誠一/駸々堂/1988)から。

胸の病を持つ佐平次という遊び人。あの病気には、海の近い品川がいいと、友達と連れだって品川の女郎屋へあがる。さんざん飲み食いをして居つづけをしたあげく金はないといい出す。友達はすでに帰してあるとあって、自ら志願して蒲団部屋へ。ところが、この佐平次、座もちのうまい所から客の評判になり、祝儀を稼ぎ出すので、ほかの若い衆から苦情が出るしまつ。しかたなく妓楼の主人は、二十円に着物をつけて佐平次に暇を出すのだが、あちこちの遊郭で居残りを商売にして歩いていた男だったと知れ、「畜生、どこまであたしをおこわにかける」とぼやけば、小僧が「へへへ、旦那の頭がゴマ塩でございます」

 大曲である。