今の世の中「自分の身は、自分で護る。」という考えなしには生きていけません。ここで、「クラ吹きのための護身術講座」を開きたいと思います。またここでは「クラ吹き」ならできると思われる技も紹介いたします。
この道場のモットーは「人を傷つけず、己も傷つかず。暮らしに生かす護身術。」です。それでは、レクチャーを始めましょう。このページは空手道四段、柔術師範のマメがお送りします。
手首をつかまれたとき
普通、手を握られるとこぶしを握って手を伸ばし、握った相手から離れようとする。そして引き離そうとして振る。そうすると、相手の手が握ったこぶしに引っかかりよけい強く握られる事になり離れない。握られた手と反対の足を半歩進めて、半身となり握られた手の肘を直角に曲げ脇に付け手を開く。足を進めるとき重心を低くするとより効果的だ。そのまま手首を自分のほうにひきつけると相手の手は外れる。手をひきつけると言うより体ごと反り返るようにする。
この足を踏み込むのが重要で、近づいてくるはずがないという相手の心の隙をつくのだ。熟練すると一瞬でつかまれた手をはずせる。はずれる寸前には相手はしっかり握ろうとして重心が崩れてくるので、次の技を掛けることもできる。力はいらない。(クラ小僧の冒険高校前編の一部より。)
どちらの手でも良いので、他の人に手首を握ってもらいます。握られた手首を注意して見ると、手首はやや楕円形をしていて、薄い部分と太い部分があるのがわかります。全体的に丸い人や、棍棒のような手首の人は護身術を覚えなくても良いような気がします。
握っている人の指を見ると親指と他の4指の間に隙間があるのがわかると思います。
肘を曲げながら、手首を回転させて握った人の親指と他の4指の隙間に薄いほうの手首を通すようにします。すぐに外れると思います。急に外そうとしてもうまく行きません。握られた手を開き手首を一瞬太くします。この太くするのが重要で、これによって握った手がほんの少し緩むのです。そのあと肘を曲げながら相手に一歩近づき、手首を回転させ、親指の方向にはずすのです。




もう一つは、握られた手首を手のひら側に曲げてはいけません。「死に手」といい力が抜けてしまいます。指を一杯に開き手首を手の甲側へ自然に反らせます。八光流では八光に開くといい、大東流では刀印を切ると言うようです。開き方は微妙に違います。
どんな形に握られても、基本的なことは一緒です。両手で握られても同じです。振りほどくように外すと、お互いの指や、手首を痛めることになりモットーに反します。ゆっくり優しく外してください。
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朝顔の状態に開いた手の形です。流派によって少し違った形のようです。上の写真は道場に通ってきている子供たちの手です。最初のうちは手を目一杯開くように教えます。そのあとで力の抜き方や理想的な形を教えていきます。
このとき、息を吸って丹田部を意識して止め丹田から脇の下を経由して、腕の内側から指先(5本の)へ向かって氣の流れを確認して欲しいです。最初のうちは血液の流れを意識しましょう。その後、指先から風のようなものが出ていると自己暗示をかけてみて下さい。それだけでも氣が働くようになります。その時間は瞬間的なもので、あまり長くとめていると苦しくなるので、ほんのちょっととめたら、ゆっくり息をはいて下さい。 |
これを最初に習うので「手ほどき。」の語源にもなっています。
胸倉をつかまれたとき
たいてい「このやろう」といって胸倉をつかんでくる事が多いようです。つかんできた手がどんな状態でも、相手の脈を取ってあげるように自分の手を当てます。相手の脈を感じたら脈を打っているところに指先を立てるようにして、相手の手首を内側にまげて行きます(相手の手を前記の死に手にするのです)。相手の指が緩んだら、体を離します。体を離すときも相手の次の動きに注意してください。
この脈を打っている部分辺りには、肺系の経絡が走っているので、圧迫されると我慢できない痛みを感じます。
歩法について
すり足とか、何足、かに足と武術の世界では色々あります。しかし、一朝一夕ではできるようになりません。普通に歩くのです。緊張したり、恐怖におびえたりするとひざが震え歩く事すらできなくなります。いつでも、自然に歩く事ができるようにしてください。ソロコンサートの舞台に上がるときでも、自然に歩いて上がれるようにしたいものです。
ここで、クラ吹きが得意の腹式呼吸で深呼吸してへそ下3寸にあるといわれる丹田に気を沈め、落ち着きを取り戻しましょう。
「自然に歩く。」これが武術の世界でも重要な事とされていて、口伝で伝えられている流派も中にはあるようです。
相手の手を解きしずかに何事もなかったかのようにその場から去りましょう。少し離れたら、思い切り走って逃げましょう。
36計逃げるが勝ちといいます。酔っ払いが相手の場合、歩くだけで十分だと思います。
最終的には、危ない場所に近づかないのが一番の護身術ですが、そうも言っていられません。
パンチについて
パンチといっても佐○さんではありません。殴りかかってくるときの角度の事です。
まっすぐなものはストレート、直突き、横からまわってくるのはフック、廻し打ち、鈎突き、下から来るのはアッパー、揚げ突き、その他にも斜め下から打ち込むスィング、ジョルトフックなどが挙げられるでしょうか。
上から、横からの大振りのパンチは冷静に見ればよける事が可能です。しかし、肘を脇から離さずにのびてくるストレートやフック、アッパーなどは動きも小さくすばやいので、もらった瞬間に星が飛んだり、息が苦しくなったりします。
こちらも実際の殴り合いにならないと相手がどのようなパンチを出してくるのか分かりません。切れのいいのをもらって動きが鈍くなったところへ、パワーの載ったパンチをもらってはひとたまりもありません。
構えたときに、小さく隙がない相手なら要注意です。戦わないほうが得策です。
蹴りについて
蹴りは空手やキックボクシング、テコンドー、サバットなどの武術では良く見られます。技も派手だし、威力もあります。その反面、片足で立つことになり重心が不安定になり危険です。蹴りを恐れない相手に、蹴りを出す瞬間に体当たりされたら吹っ飛んでしまうでしょう。「そんな遅い蹴りは出さない。」という人が中にはいると思いますが、古流の空手は前蹴りが重要視されていて、しかも蹴る位置はへそより下の部分(金的や太ももの急所を狙う)というのを知ると、高い蹴りは不利だというのが分かると思います。
相手が蹴ってきたときは、恐れず前に入って力が乗る前に止めるのが良いのですが、恐怖が先に立って逃げようとすると、一番強い蹴りを受ける事になり、足よりも手の方が弱いので骨折や打撲に見舞われます。
相手がまわし蹴りをしてきたら、一歩前に進み「ごめんなさい。」をするように、合掌しながらお辞儀をしてください。合掌した両手刀の部分を相手の首辺りに当てながら体ごと進んで押すようにするだけで、相手はのけぞって倒れます。 相手が倒れたらすぐに逃げましょう。相手のひざには十分注意してください。熟練したまわし蹴りは、膝から入って来るので膝蹴りをもらってしまう可能性もあります。
争いになって、けりを出してくるような相手の場合、格闘技の経験があると考えたほうが良いでしょう。
誰かに仲裁を頼んで、その場を丸く治めるようにしたほうが得策です。何よりも争わない事が大切です。挑まず、逆らわず。プライドがジャマなら捨てましょう。命をなくすよりはましです。
予測がつかない動き
相手が何をしてくるか分からないのは、本当に危険です。「適を知り、己を知れば、百戦しても危うからず。」という言葉は有名ですが、たいてい知らない人と口論になって、争いになって、運が悪ければ命を落とす事になります。
最近、私の町でも酔っ払い同士の喧嘩で命を落とした人がいます。こうなってしまう前に自分をセーブしなければなりません。セルフ・ディフェンスと言いますが、自分の身を護り、尚且つ相手の身もかばってあげる事が大切です。
そのためにも人を知る事です。小さな飲み屋さんの場合色々な話が聞こえてくると思います。どんな人が飲んでいるのか、言葉の端々にその人の性格は現れるはずです。酔い加減も分かるでしょう。なき癖、怒り癖なども見て取れるでしょう。そのようなことにいつも注意を払っていれば、最悪の事態は避けられるはずです。
不注意は、自分を傷つける事になります。
クラ吹きにも出来そうな技
ここまでは相手が使ってきそうな技を紹介してみました。このほかにも、格闘技の技はたくさんありますが、普段使われそうな技の紹介にとどめました。相手が使う技を知ればそれに対処する方法も考えられるからです。
拝み(合掌)打ち
この技は蹴りに対する方法のところでも書きましたが、顔の前で両手を合わせお願いをするように上体を前に倒し、両手刀と前頭部を相手に浴びせる技です。脇を締めた両手刀が防御の役目もかってくれます。前頭部を打ち込む狙い目は相手の顔面、しかも鼻の頭です。
下の連続写真は、応用です。
相手に蹴られる前に
、前に踏み込んで蹴りのポイントをずらし、相手の体勢が崩れるようにします。前足の膝の力を抜くようにすると、簡単に前に動く事が出来ます。



オホホ崩し
この技は自分をなよなよしく見せながら相手に体当たりをしていく技です。左手を右頬の前にかざし「オホホ」と笑うような格好をします。右手は手のひらを下に向けて下腹部をカバーしながら肘を張るようにします。
右頬を右肩につけるようにして、左手で右顔面をカバーしながら右肩、右ひじを同時に相手に当たるようにします。自分の体を使うので相手はよけようもなく吹っ飛びます。



手足を使っての攻防より、体全体を使ってその場を対処して逃げ切りましょう。
ちょっと待った突き
「ちょっと待った。」と言いながら、利き手を開いて肩幅肩の高さに突き出します。利き手側の足も一歩踏み出すとより効果的です。指先より手首側(掌底部分)が当たるようにしてください。相手の出鼻をくじき、腕がつっかえ棒の役割を果たして、ひいてはカウンターになるという理想的な技です。当たる瞬間に腕が伸びていることが大切です。
相手が自分より大きくて、突進してきたときは使わないでください。腕が折れるか、肩を脱臼しますので。
古流では、「掌打」といい一番威力のある突きとされています。中国拳法(武術)では、身体のひねりや、間接の連動、地面を踏み込む力などを統合して打ち込みます。
こぶし(拳骨)にご注意
ある日先輩が、「外の巻きわらを100回突いてこい。」と言った。巻きわらと言うのは、空手でこぶしと手首を鍛える為に叩く器具だ。太い棒状のものが地面から出ていて、肩ぐらいの高さに縦30センチ、横15センチ位の皮製のパットがくくりつけてある。太い棒も、先になるにつれて細くなっていて、ショックを吸収するようにできているとそのときは思った。実際は手首をショックから守りながら、鍛えていく為のようだ。硬いものを叩いていては、こぶしを強くする前に手首が参ってしまうそうだ。先人の知恵と言うものは、本当に素晴らしい。(クラ小僧中学時代より抜粋。)
上記のように拳骨が強い(堅い)物だと思っている人は考え直していただきたい。手首と拳頭を鍛えて初めて使えるようになる。なれない人がこぶしでぶん殴ると手首を傷めるか、突き指をするか、軟骨を痛める。そのために「掌打」のほうが安全なのです。