クラリネットの音色について
「私の独り言」のページにもクラリネットの音色について書きましたが、ここに独立させてもう少し深く考えて見ることにします。特に吹奏楽の中でのクラリネットの音色について考えてみたいと思います。
このページについても私個人の考えなので、万人に共通する事ではありません。
私が出したい音色はこのようなものです。
高校、大学、卒業後と吹奏楽の中でクラリネットを吹いてきましたが、私の求める音色を周りの人になんだかんだ言われたことはありません。
私がレッスンに通ったり、自分で納得のいくまで個人練習しているのを周りの人が知っている為だと思います。しかし、自分の世界に没頭するあまり、指揮者が創りたい音楽と違ってしまう事もありましたが、そこは話し合いで何とかしてきました。
私は高校に入ってから、クラリネットの練習と言えるものを始めたのですが、そのとき最初に聞いたレコードが、アルフレート・プリンツ氏のモーツァルトのクラリネット協奏曲でした。
その頃は、楽器の違いなど分からず、「プリンツのような音を出したい。」と思い練習していました。大学に入り、楽器の違いを知り、「5RVとクランポンではそんな音は出せない。」と考え求める音色をギィ・ドゥプリュ氏の音に切り替えました。それから卒業してしばらくはその音を追求して行ったのです。
その後、R・マルセラス先生の音色、カール・ライスター先生の音色と求める音が変わっていき、マウスピースどころか楽器そのものも変えていく結果になりました。
私の求める音色はこんなに変わってきたのです。この先また変わるかもしれません。
このように誰にでも自分が出したい音の目標があるはずです。なのに吹奏楽のクラリネットは音が汚いと言われてしまいます。なぜでしょうか。
*注釈 プリンツ氏、ドゥプリュ氏とマルセラス先生、ライスター先生。(マルセラス先生は鈴木先生の先生。ライスター先生は木幡先生の先生。)
吹奏楽とオーケストラでのクラリネットの役割の違い
学生バンドと学生オーケストラを比べてみます。
学生バンドではクラリネットの人数がたくさん必要になります。上級生は上手。下級生はちょっと。と言う状態だと思います。新入生でそこそこ吹ける人がいたとしても、そのバンドのカラーが分かって吹けるようになるには1年ぐらいはかかるでしょう。上手な人も、ちょっとの人も一緒に吹いているのが現状ではないでしょうか。
次に、金管楽器への対抗意識です。クラリネットとトランペットの音量は比べるまでもありません。金管楽器に負けない為には、音色で勝負するしかないのに、パワーで勝負を挑むから音色無視の汚い音と言われてしまいます。金管が休みで、クラリネットパートだけになったときに全員がまとまって響かせる事ができたら、最高なのではないでしょうか。アタックも汚いと言われます。音の立ち上がりを目立つようにしているのでしょうか。「クラリネットここにあり。」と・・・。 金管楽器の人は無理して吹かなくても大きな音が出るのです。破裂音で演奏を始める人は誰もいません。
指の練習にとらわれるのも音色の追求の邪魔になります。ある程度良い音が出るようになってから、その音色を崩さないように指の練習をするのと、音色はそっちのけ、難しい指使いを克服するのに精一杯では求める音色もへったくれもありません。そして絶対に吹けないと思えるものを無理して吹く。二人で分けて吹けばよいのにプライドが許さないのでしょうか。また、人数の関係でそれができない団体もあるでしょう。
クラの音色を無視したような演奏でも、木管全体の響きが弦をこすって出したような音色になっている団体があるのに驚かされます。
学生オーケストラではせいぜい使ってもダブルキャストで1番2番奏者にアシストがつくくらい。小編成では完全に2管で吹くことになり、弦楽器の後ろの高いところから吹くのでたいていは無理しなくても聞こえます。フォルテのところはもちろんフォルテで吹きますが、たいてい金管楽器もかぶってくるので、後ろの列にお任せです。全体の響きに溶け込むフォルテを目指します。「私の音を聞いて!!」というフォルテではありません。
美味しいソロがいたるところにちりばめられていて、本番までどのように吹いたら曲に合うか、自分の個性をどこまで出せるかという勝負になります。個性が強すぎて音楽を変えてしまってもいけないし、音楽に埋もれて「今のソロだったの?」と言われるのも悲しいです。この二つの間をいかにうまく綱渡りしていくかがオケのトップのおもしろいところです。2番奏者はデュオの部分はトップにつけなくてはいけないし、自分たちの世界に没頭してもいけないのでコレも大変です。完全なソロのときは「勝手にやって。」でいいのですが、トップの下で和音で動いたり、ロングトーンをしているときなどは、トップがオケから幽体離脱していかないように、つなぎとめる紐のような役割とでも言ったら良いのでしょうか。大切な役割です。
というように自分の色が出せて、音色の追求ができるのがオーケストラのクラリネットです。しかし、曲によって休みが長かったり、たまに出てきたら超絶技巧が要求されたりとここでも困った使われ方をしている事も知っていただきたい。自分を見つめる事はできても、自分をしっかり持っていないと腕は鈍る事になります。
オーケストラ、吹奏楽とクラリネットを取り巻く環境の違い、奏法の違い、個人の好みの問題など様々な要素があると思います。しかし、同じクラリネット奏者として捉えるとあるべき姿が浮かび上がってくると思います。
また、吹奏楽のクラ吹きが陥りやすい奏法もあるのは確かです。
全ての人に初心者の時代はあったはずです。自分が初心者のときどのようにして自分の求める音色を見つけたのでしょうか。どういうきっかけでベーベーという音から良い音(自分の好みの音色)に目覚めたのでしょうか。最初から良い音だったのでしょうか。
中には苦労をしないで良い音を出す子供もいます。しかし上手な子でも周りがひどい音で吹いていると、いつの間にかそういう吹き方になってしまいます。逆に周りに上手な人が沢山いるバンドでは、初心者でもとてもよい音で吹くようになります。
次に考えなくてはならないことは、どんなジャンルの曲も巧みに吹きこなせなくてはなりません。また、同じ曲でも指揮者によって求めるスタイルが変わってきます。そんなとき柔軟に対処できる能力も必要です。星野先生は「引き出しが沢山あるクラ吹きになれ。」とおっしゃっていました。「色々な吹き方が色々な引き出しに入っていて、指揮者の要求に合った引き出しを開ければ良い。」と言う事のようです。また、引き出しの組み合わせによって千変万化な音楽を作ることが出来るし、表現の方法も広がります。
掲示板より抜粋
以下の文章は掲示板のほうに書き込んでいただいた物の抜粋です。皆様、貴重なご意見有難う御座いました。
一人目のご意見
まず、オケについて。
吹奏楽におけるクラリネットは、合奏の中心であり主体ですが、オケでは管楽器セクションの
一員で、主役ではありません。そのため木管セクションとしての統一がまず基本となります。
オケの木管楽器はFl.Ob.Fg.Clからなっています。この中でクラリネットは発音が一番鈍く
また音が一番残りやすい特性があります。ですから発音に対してはとてもシビアになる必要が
あります。柔らかいタンギングも鋭いタンギングも必要で、正確さが要求されます。
また音が残りすぎないように音を止めることもときには必要です。
※オケのクラリネットは伴奏も旋律もこなす万能選手ですから、多彩な音色が求められ
オケに溶け込む音、オケから浮き上がる音、どちらも求められます。
柔らかい音だけを出すのがオケのクラリネットではありません。
吹奏楽について
オーケストラの弦楽器と同じく、合奏の主体であり中心的役割を持つため
楽器の特性(発音のタイミング等)を素直に生かして吹くことができるかもしれません。
ソロを除き、基本的には複数人でパートを形成しますから、ユニゾンではみ出ないことが
重要です。ですから(ぼけた音で埋もれてしまうのは困りますが)強い音やタンギングで
必要以上に浮き上がってしまうことは避けなければいけません。
と、おおよそこの程度だと思っています。少々気を配るだけでどちらの流儀にも
適応が可能だと思います。単に合奏形態による役割の違いを意識する程度です。
実際、オケのメンバーで吹奏楽をやって、コンクールにも
出た経験がありますが、特段困ったことはありませんでした。
演奏するジャンルに関しても、吹奏楽もオケも多彩です。
オケだって18世紀のドイツ音楽、20世紀のアメリカ音楽等々、大きく異なった
スタイルの作品が存在します。マーチもポップスもあります。その点吹奏楽もオケも
それほどかわりませんよね。柔軟に多種多様に吹ける必要があるのは何でも同じです。
ですからこの点でも吹奏楽とオケの違いを意識する必要はなさそうです。
私は中学、高校と吹奏楽をやり、大学以降はオーケストラに所属しており
両者を経験しています。
私自身は、奏法に関してオケと吹奏楽が二項対立の図式であらわされるようなことは
ないと思っています。
どちらも正確でシンプルな発音と、まっすぐで美しい音で吹くことが基本です。
この基本ができてさえいれば、どちらにも対応が可能だと思います。
アマチュアレベルでは吹奏楽団のクラ吹きとオケのそれとではずいぶん異なる
ような印象がありますが、実際にはオケ、吹奏楽のどちらかしか経験したことが
無い人が多く、長く特定の演奏形式で演奏している故に「癖」がついてしまって
異なった吹き方ができなくなっているだけだと思います。
プロレベルでは吹奏楽しか吹けない人、オケでしか吹けない人というのはまず存在
しませんし、演奏形態によって極端に吹き方を変更するようなこともないと思います。
一つの例として、クリーヴランド管弦楽団の管楽器セクションとフレデリック・フェネル
とのレコーディングがあります。テラークレーベルから、ホルストの組曲のCDや
マーチ集(星条旗よ永遠なれ等)+リンカーンシャーの花束のCDがでています。
これらの録音で聴かれるのは紛れもなくクリーブランド管の管楽器の音であり、
クラリネットの音です。奏法や印象はオケとほとんど違いがありません。
でも極めて自然に「吹奏楽」の演奏をしています。
まあ、その程度の違いにすぎないのだと私は思っています。
もちろん、吹奏楽、オケ、木管五重奏、等演奏形態によってそれなりの約束事は
存在します。でもその約束事によって吹き方が180度かわってしまうようなことは
決してないと思います。
二人目のご意見
僕も基本的にはジャンルに対する音色、という考えのほうが気持ち的には合うのですが、やはり普段吹いている環境のバックグラウンドの影響があるように思います。誤解を恐れず極端に言えば、
吹奏楽
= 金管楽器の比率の多いバンド内で、時には屋外という条件下で、Tuttiの一部でありながらクラの音を立たせる必要がある
オケバンド =
主にホールの演奏で、ソロ楽器かそれに近い場面を中心に、楽曲の核として音を立たせる必要がある
ということから、
吹奏楽 =
劣悪な条件で音を聴かせるために、力強さ、勢いを持った音が必要になり、固くはっきりしたアタックになる
オケバンド =
音楽的な情緒感を必要とするために、しなやかさ、やさしさを持った音が必要になり、柔らかく穏やかなアタックになる
のかな、と思います。
ちょうど昨日、近所のバンドとのジョイントコンサートがあり、その打ち上げで「今日のプログラムだった、オリジナル色満載のアンサンブルと吹奏楽的なアンサンブル(星条旗)を、どう吹き分けるか」という話になったのですが、そのときオケも吹奏楽も指揮をしておられる方が「オケクラの人は星条旗は(曲として)まともに吹けない」といっておられました。で、いろいろ話をしてて↑のようなことを思ったわけです。やはりベースが吹奏楽だと、オケ的な音楽(という言い方はあまり好きではないですが)に接する機会が相対的に少ないのが原因なのかな、と思います。
このように皆様の意見が伺えてありがたく思っています。これからも充実したホームページにしていきたいと思いますので、掲示板での色々なご意見をお待ちしております。
音色を変えるための練習
これまでは、クラリネットの音色について書いてみましたが、ここでは色々なアンサンブルにあった音色を作っていく方法を考えてみたいと思います。
吹奏楽やオーケストラに関しては今まで考えてきましたが、木管五重奏やその他の管楽器とのアンサンブル、弦楽器が入ったアンサンブルなどではどんな音色が求められるのでしょうか。
最近、というか去年(2002年)の4月頃から、私はクラリネット、オーボエ、ファゴットという木管三重奏を通してレッスンを受けています。
そこで重視されているのが、それぞれの音の立ち上がりを似たような音で立ち上げる事です。
シングルリードの楽器とWリードの楽器は音の立ち上がりがまるで違います。それをあわせるのですから。Wリードが、クラリネットの立ち上がりのまねをするのは、不可能のような気がします。クラリネットが、雑に音を立ち上げてもWリードの出だしの音にはなりません。(失礼な事ですが、Wリードの音の立ち上がりは好きではないので、雑な立ち上がりとしか認識していなかった。)
タンギングやスタッカットにしても、クラリネットはベタベタしがちで、Wリードははっきり聞こえます。ここでは、クラリネットが苦労して、音を短くはっきり発音しなくてはなりません。
そればかりではなく、各楽器がメインでメロディーを吹くときは、その楽器の特徴を出さなくてはなりません。また、クラリネットは全体を包み込むような、柔らかい音色を求められるときがあります。
星野先生によると、「クラリネット吹き(管楽器奏者全般にも当てはまると思います。)は、たくさんの引き出しを持っていなくてはいけない。その場の状況や、指揮者の要求にすぐにでも対応できる様に。」と言う事でした。
今まで、たくさんの先生に教えていただいたおかげで、私の引き出しもだいぶ増えました。
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