タカハシ PM-1

この赤道儀は往年の名機P2を彷彿とさせるような赤経モーター内蔵小型赤道儀で、しかも合体・変身が可能です(適合鏡筒はFSQ-60/85、Sky90)。つまりオプションパーツを使うことで、ドイツ式赤道儀からフォーク式赤道儀、2形態の経緯台などユーザーの必要に応じて形態を変化させることができます(まさに秘密基地にピッタリ)。この赤道儀の基本形はドイツ式なのでしょうが、個人的に興味があるフォーク形態(プラネタリーフォーク)について少しだけ情報を提供いたします。

まずは外観(図1)。比較的小振りの赤経体に頑丈そうなフォークとドイツ式から分離した赤緯体が載っています。写真の鏡筒はTV-76で、この組み合わせてはほほ水平から天頂付近までは楽に鏡筒を向けることができます。また、バランスの調整もフォークのオフセットを変えることで可能となっています。通常はSメタル三脚を組み合わせるわけですが、Hさんの好みでビクセンのHAL三脚に自作アダプターを介して搭載されています。
このフォーク式赤道儀の鏡筒側からの構造は以下のごとくです。
鏡筒→アリミゾ→赤緯体→フォーク→赤経体→三脚架頭→三脚アダプター→三脚

1) 赤緯体→フォークアリガタ(図2)
赤緯体は今までのタカハシと同様にクランプ・微動部も一緒に回転するタイプです(私は好きではありません・・・)。同部にはタップが立っており、(純正は発表されていませんが)モーター化も可能でしょう。この赤緯体にイモネジ3本で銀色のアダプタープレートが固定されています。そしてこのアダプタープレートを4本のM6ネジでフォークのアリガタに固定されます。

2) フォークアリガタ→フォークアーム(図3)
赤緯体はフォークアリガタ・アリミゾシステムでフォークアームに固定されます。クランプは面押しではなく通常のネジです。ネジの先端は球形でもチップがあるわけでもなく、先端までネジ山が切ってあります。このネジ山が直接アリガタの斜面を押す構造です(ネジ山でアリガタが削れています)。通常はアリガタの底面とアリミゾの側面・底面に力が加わり固定されるわけですが、この赤道儀では違います。ネジによりアリガタが押し下げられかつ横方向に押され、アリミゾ上面と側面に力がかかり固定されます。つまりアリガタの底面は浮いています(隙間が見えます)。もちろんしっかりと固定されています。

3) フォークアーム→赤経体(図1)
フォークアームは赤経体にM6ネジ2本で固定されます。
つまり、(鏡筒+赤緯体)→イモネジ3本→アダプタープレート→M6ネジ4本→アリミゾ・アリガタ→M6ネジ2本→赤経体の順で固定されるわけです。

4) 赤経体→三脚架頭(図4,5)
この赤道儀は赤経体を垂直に立てることで経緯台になることが特徴です。したがって、赤経体は架頭から分離することが可能です。その固定は図4,5を参照して下さい。赤緯体の固定とほぼ一緒です。つまり、赤経体にイモネジ3本で銀色のアダプタープレートが固定されています。そしてこのアダプタープレートは3本のM6ネジで架頭に固定されます。さらに、赤経体は架頭の北側の赤経体受け(赤経体枕?)で保持される赤経です。この部分にはネジなどの能動的固定やミゾはありません。
つまり、(鏡筒+赤緯体+フォークユニット)→M6ネジ2本→赤経体→イモネジ3本→アダプタープレート→M6ネジ3本(+赤経体枕)→三脚架頭の順で固定されるわけです。
(注 「○○ネジ□本」という部分は、それの左側にあるパーツすべての重さをそのネジが発生する締め付け力で支えているという意味になる。たとえば、鏡筒+赤緯体+フォークユニット+赤経体、これらすべてをイモネジ3本の力で支えている。)

経緯台形態時は三脚架頭は使用しないので当然ながら赤緯体枕はありません。赤経体→イモネジ3本→アダプタープレート→M6ネジ3本→三脚アダプター→三脚となります。

赤道儀の構造については上記のごとくです。強度については適合鏡筒では十分かもしれないですが、これは自己判断でしょう。
ただ、私はこの赤道儀の目的がよく分かりません。搭載鏡筒の大きさからすると日食遠征に照準を合わせているのでしょうか?また、プラネタリーフォークという名前があるので惑星観望も目的の一つだと思います。もちろん、ベランダでフォーク式赤道儀は便利ですが、この赤道儀に普通の10cm屈折は載りません。バランスウェイトを必要としない経緯台形態は仰角が50度くらいしか取れません(なんと俯角が取れます)。でも一式を担いで歩く鳥屋さんには重すぎるような気がします。バランスウェイトを必要とする経緯台形態もありますが・・・。

PM-1はシリーズ化されるのでしょうか?せめてEM-11程度の搭載重量でその構造に納得がいくのであれば、私は購入します。その時は経緯台仕様はスッパリとあきらめた方が良いかもしれません(いくらなんでもイモネジは改良されていると期待しています)。

 追記 PM-1赤道儀のPMは何の略なのだろう...
         P・・・Poo・・・ M・・・Mecha・・・
     これも気になります。




レポートトップへ