ZEISSデザイン/バーダー製作 「究極双眼装置」

ななつがたけ北天文台のオーナー2は、以前から眼視派で、それも両目で見る双眼望遠鏡を重視しています。オーナー1も両目で見ることの優位性は以前から認識しています。しかし、高性能の双眼望遠鏡は持てなかったので、テレビューの双眼装置を使っていました。
このたび、モデルチェンジした「ZEISSデザイン/バーダー製作 『究極双眼装置』」というやつの名前に目がくらんで買ってしまいました。

双眼装置(右の写真は国際光器Webサイトより)を天文台で使ってみました。双眼装置+1.25倍リレーレンズ+天頂プリズムでTEC140に取り付け、XW20mmを2つ付けてみました。リレーレンズがなくても合焦しますが、これを付けた場合、2インチ天頂ミラーとほぼ同焦点です。また、リレーレンズを付けた方が星像が良くなる方向に動くようです。覗いてみると視野の隅まで非常にクリアでシャープな星像でした。TEC140とXWの組み合わせが元々シャープでクリアなのですが、その性能を落とすことがありません。双眼装置一式が間に入っていることを感じさせない星像です。単眼で普通に見る場合に比べて、当然、多少暗くなりますが、それよりも、両目で見るメリットの方が遙かに大きくなります。とにかく覗きやすく安定した視界で、片目で見るよりも大きくはっきり見えます。また、宇宙空間が立体的に見えます。たとえば、明るい二重星が手前にあって、その奥に小さな星がちりばめられているように見えたり、球状星団の中心近くにあって分離して見える星が手前にあり、その奥に、星には分離しない球状の星のかたまりがあるように見えます。また、手前に恒星があって、その奥に銀河があるように見えます。実際、その通りの位置関係にあるのですが、理論的にそのように見えるはずのないものが見えてしまうことが不思議です。

双眼装置をそのままTOA130に取り付けても印象は同じです。赤道儀を大きく動かすと接眼部の向きが変わってしまいますが、クイックリリース機構のおかげで簡単に回せます。ただ、固定ねじの位置がつまみにくいところに行ってしまい、ちょっとやりづらかったのが残念でした。

本当は、双眼装置を一番付けたかったのは35cmニュートン焦点です。しかし、1.7倍リレーレンズを付けても合焦しません。パラコアを挟んだり、別なバーローレンズを入れたり、いろいろな組み合わせをやってみましたが、すべてピントが合いませんでした。残念! リレーレンズに2.6倍というのがあるので、これを入れると合焦するかもしれません。

この双眼装置は非常に良くできた製品ですが、値段が高い(場合によっては鏡筒よりも高い)のと天プリ&アイピースを含めた総重量が重いため、小口径望遠鏡にはオーバー品質、オーバーウエイトです。丈夫な接眼部でないと、光軸がずれたり、重さでずり落ちたりします。丈夫な接眼部というのは、新FSQやTOA130F、3.5インチクレイフォード接眼部などかそれ以上のものだと思います。

その後、究極双眼装置用の2.6倍リレーレンズを入手しました。これを付けてみたところ、35cmニュートン焦点でもピントが合いました! やれやれ...というところで、これでやっと35cmでも両目で見られるようになりました。しかし、35cm鏡は焦点距離が1400mm、2.6倍で3640mm、20mmアイピースを付けて182倍。とりあえずの最低倍率がこれです。M13を見てみましたが、中心部に分離して見える恒星がさびしく光り、バックにうっすら光る星雲状のものが重なって見えるだけで、これなら13cmで見たほうがきれいです。35cm+2.6倍リレーレンズ+双眼装置は、惑星と惑星状星雲、二重星専用ですね。でも、それ専用だとしても十分価値があります。

双眼装置を35cmだけでなく、どの鏡筒に付けても、同倍で同じアイピースを使って単眼で見るときよりも大きく見えます。観望対象天体が大きく見えるという意味でもありますが、見かけ視界の外周の円がずっと大きくなります。ですから、見かけ視界が広くなったように感じます。ナグラーなどの広視界アイピースで星を見てしまうと、それ以外のアイピースは使えなくなるという話はよく聞きますが、双眼装置も同じです。覗きやすさと視界の大きさは両目に勝るものはありません。だったら、ナグラー+双眼装置なら・・・。いっそそれよりも、双眼望遠鏡+ナグラーなら・・・。ここに先に行き着いてしまったのがオーナー2でした。そしてその後、ナグラーだったのがイーソスに変わりました。





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