iOptron iEQ30 pro    〜 静かな静かな自動導入赤道儀 〜   オーナー2


我が家の観望スペースは3階の8畳ほどのオープンバルコニーです。もちろん周囲は家が建て込んでいますが、視界は十分取れます(でもカノープスは見えません・・・)。ここに赤道儀を出しっぱなしにしているわけです。今まで出しっぱなしになっているのはG11でしたが、気分転換の意味もあり、iOptron iEQ30 proに入れ替えてみました。



iEQ30 proはドイツ式の小ぶりな赤道儀で完全電動です。本体は意外に小さく、感覚的にはビクセンのGPDとGPの間でGPD寄り、GM8よりもコンパクト感があります。デザインは上位機種のiEQ45 proと同じでアストロフィジックス製赤道儀をスケールダウンした印象です。なかなかかっこいいです。カールコードが2本(DEC→コントロールセンターとハンドコントローラー用)と電源コードのみなので思ったよりはスッキリです。そのうえGPSも内蔵されています。本体は7kg弱ですが、搭載重量は13kgと私の用途には十分です。

本体が軽いので、組み立ても楽。なんと言っても極軸合わせが楽です。すごく楽。ハンドコントローラーの画面に極軸望遠鏡の視野がシミュレートされます。そこにはスケールと北極星が図示されており、その画面のとおりに極軸望遠鏡の視野の中に北極星を導入すればOKです。電気仕掛けとは言え、赤道儀だけで完結するシステムでは、今までで一番簡単なセッティング法だと思います。

その後は基準星を導入してアライメントをするという自動導入赤道儀ではおなじみの手順になります。アライメントは2種類で、1スターアライメントと2スターアライメントがあります。基本的には2スターアライメントでしょう。導入精度はG-11 w/ Gemini2とは比べるべくもありません。まぁ、これは仕方がないです。ちなみに私は2スターアライメントに加えてもう1スターを導入・シンクロさせて導入精度を上げています。具体的には導入対象をこれから2時間は東半球を見る、その後に西半球を見ると分けて、3つの星によるアライメントを取るやり方です。これだとかなり精度が高くなります。0.5度の視野の中に十分導入できます。重星を見る場合、106/650の屈折だと最初のアライメントで25o程度のアイピース、その後はナグラー・ズーム3-6mmを付けっぱなしでOK。

積載能力は十分ですが、バランスにえらくシビアです。モーターのトルクのためか、それとも駆動系の特徴なのかわかりませんが、「バランス」を求めます。バランスが崩れたらいとも簡単に脱調しますが、バランスが取れている状態なら何ら問題はありません。快調そのもの。私の場合、最大鏡筒はC9.25ですが、観望時の中の重量変化を回避するためにハイペリオンかペンタックスのXWズームアイピースを付けっぱなしにしています。

この赤道儀で特筆すべきは「音」。高速回転中にもかかわらず、ともかく「静音」。その「静音」の特徴としてはギアの音と高周波成分が少ないのです。ベルトドライブの恩恵でしょうか。これはすごく助かります。とにかくうるさく感じることがありません。住宅地の自動導入赤道儀としてはうってつけです。大きな鏡筒を搭載しないならば、これだけで選択してもいいくらいです。

モーターの反応もストレスを感じることはないし、ハンドコントローラーの操作性はよく考えられています(ハンドコントローラーは氷結防止ヒーター付き)。Park telescopeとZero position設定はわかりにくいけれど・・・。まだ使い込んではいませんが、欠点を上げるなら付属のバランスウェイトだけでは心許ないこと、バランスにシビアなこと、基準星の名称がマニアックでよくわからないこと、程度です。ウェイトはビクセンのウェイトが使えるし、星の固有名はお勉強をすることで解決できます。
いずれにしてもiOptron iEQ30 proは、軽めの10cm前後の屈折や20cmシュミカセクラスの自動導入の小型赤道儀を住宅地で使う場合、最有力候補だと思います。






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