SEO-COOLED40D

「SEO-COOLED 40D Rev.2 冷却一眼デジタルカメラ」を趣味人から買いました。さっそく、40Dの付属ソフトを自宅のパソコンにインストールして、付属のUSBケーブルでつなぎ、パソコン側からカメラをコントロールしてみました。問題なく予定通りに動きました。FUJIのS3やS5の場合、同じことをやるためには、別売の19,425円のソフトを購入する必要があります。CANONはそれが無料で付いてきます。さらに、FUJIのソフトはバルブのときの露出時間を設定できませんが、キャノンはマウスやキーボードから入力できます。できて当然ですが...
なお、カメラの説明書等はキャノンが付けたものだけで、「冷却」の部分は一切説明書なしです。また、電源は冷却部のACアダプターからカメラ本体にも電気が供給されるといいなと期待していたのですが、カメラ側は別電源でした。カメラ屋に40D用のACアダプターを注文しました。


自宅では問題なく動いたので、天文台に行ってテスト撮影してみました。天文台のパソコンにも同じソフトを同じようにインストールし、ε180EDに「強化マウント」でカメラを取り付けました。さあ、動かそうと思ったら、「あれっ!?」 パソコンがカメラを認識しません。パソコンとカメラの距離が離れているので、間にUSBリピーターケーブル( * 長いケーブルの付いた1ポートのUSB・HUBです)を挟んで接続したのですが、これが良くないのかなと思い、ノートパソコンをε180EDの近くに持っていって、付属のUSBケーブルで直接つないでみました。でも、やはりだめです。USBケーブルを別なものと交換してみました。そうしたら動きました。付属のUSBケーブルが断線? 理由を解明するのは後にして、とりあえず動いたのでテスト撮影しました。
後日、自宅で
カメラとパソコンをつないでいろいろやってみましたが、やはり突然接続が切れます。USBケーブルのせいではないようです。1回切れると、その後カメラの電源を切って再接続しようとしても二度と接続できません。パソコンを再起動すれば接続できるようになります。しかし、接続できても、またしばらくすると切れます。説明書の「こんなときは」に「カメラとの通信が途中で切れる」という項目がありましたが、その中のどれにも該当しません。趣味人に問い合わせメールを出しました。

趣味人から半日後に返事が来ました。同じパソコンに「MaxImDL」がインストールされていると動作不良を起こすそうです。MaxImDLをアンインストールして動かしてみると、問題なく動きました。EOS UtilityかMaxImDLがお作法に反するプログラミングをしているわけです。原因がMaxImDLだったとしても、これで問題解決とはなりません。MaxImDLとEOS Utilityは共存できない! 
キャノンのソフト側に問題があったとしたら動きは鈍そうです。MaxImDLであれば、早めに対応してくれそうな気がします。私のMaxImDLはVersion 4.61
ですが、これには「Added support for the Canon EOS 40Dと書いてあるんですが、これはRAWデータだけのことなんですね。
当面、必要なパソコンにMaxImDLありとなしのデュアルブート環境を作らないといけないのかなと思います。2台はそれをやらないといけなそうです。

EOS40Dは、パソコン画面上でライブビューができるのがいいところです(普通の冷却CCDは当然できます)。拡大表示にすると別Windowが開き、拡大画面が出ます。ピント合わせはこれだけでできるかなと思ったのですが、1個の星で正確にピントを合わせるのは難しいようです。これは普通の冷却CCDと同じことです。正攻法でピントを合わせるには、ライブビューで大まかにピントを合わせて、その後、ピントを微妙にずらしながら露光を繰り返して、正確なピント位置を見つけるということになります。しかし、今回のテスト撮影ではそれは面倒なので、眼視で100倍ぐらいでかろうじて分離できる二重星を探して(明るくて密集した散開星団のほうがいい)、それをカメラの真ん中に入れ、星が2個に分離するピント位置を探しました。今回は、パソコン画面をルーペで拡大して見てピントを合わせましたが、もっとスマートにビデオドライバー側の機能で拡大表示するべきでしょう。偶然もあったと思いますが、これで結構よくピントが合いました。

右上の写真はε180+SEO-COOLED40Dで撮影した網状星雲の一部拡大写真です。ご覧の通り、この程度の明るさの星でも二重の(よく見ると四重以上の)ゴーストが出ます。もっと明るい星だと輪の数が、さらに外側に増えます。これは赤外カットフィルターを交換したためです。標準よりもゴーストの出やすいフィルターなのでしょう。このカメラを使う限り、これは避けようがありません。気にいらない場合は、画像処理でゴーストを消すしかありませんが、それでは偽造写真です。

右下はトリミングなしの画像をハイコントラストにしました。下が暗いのはミラー切れです。左右も多少けられているように見えます。ε180はイメージサークルが小さいので、周辺減光が見られます。フラット補正が必須です。しかしながら、カラーのフラット補正は難しいです。
付属の温度計によると、外気温−25℃程度に冷却され、夏でも0℃以下になります。CMOS温度が0℃以下なら、5分程度の露出ならノイズはほとんどなくなり、ダーク減算が不要です。20分ぐらい露出しても、ダーク減算すればきれいな写真になります。
私としては、1時間の固定撮影をしてみたいのですが、全然晴れなくてまだその機会がありません。できたらまた報告します。


40Dには付属ソフトとして、Digital Photo Professionalが付いてきます。これは優れたソフトで、キヤノン製レンズならすべての特性データを持っていて、歪曲や周辺減光、色収差などを補正してくれます。モザイク処理するとき、画像が歪曲していると重ならないわけですが、それを補整してくれます。もちろん、キャノンのレンズを使うときだけで、望遠鏡の直焦点撮影の場合は何の役にも立ちません。ミラー切れ補正もありません。














 写真データ 2008/08/07 23:31  ε180ED(f=500,F2.8) SEO-COOLED40D(ISO800) 300秒露出
   左:カメラから出力されたままのJPEG画像 (ホワイトバランス 太陽光)
    右:ステライメージでバックグラウンドの色調整、レベル調整、(
ダーク減算なし)

普通に画像処理するとこうなります。バックの赤さと共に、赤い星雲の中の淡いところも消えます。画像処理のやり方次第で、淡い部分をもっと出せますが、全体がきたなくなります。



強烈なゴーストの写真をもう1枚。SEO-COOLED40Dでは、明るい星があるところの写真は撮らない方が良いということです。


 写真データ 2008/09/11 3:26  ε180ED(f=500,F2.8)
          SEO-COOLED40D(-13℃)
          ISO800 300秒露出




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