オサホリ


 今日はこども二人連れでオサ掘りである。と言うか、手伝ってもらったと言うのが、本当のところだったりする。所詮は家に置いてきたところで、ゲームしかすることがないのだろうから、ムシでも採らせておいた方が、数倍有意義な時間を過ごせると言うものだ。
 
 こどもたちには可哀想かも知れないが、我家ではTVゲームが禁止なのである。こどもたちは口々に言う。
『お父さんは、こどもの頃ゲームしなかったの!』
 たっぷりやらせて頂きました。
 その頃、大人達は口々に言った。
『TVゲームはこどもたちに悪影響である!』
 我々は、それに対しこう反論した。
『ゲームは悪影響ばかりじゃないよ!反射神経がよくなるし頭の体操にもなる。』
 そんな事を言っていたこどもたちが大人なって、口々に言う。
『TVゲームはこどもたちに悪影響である。』

 ちまたではゲームの新作がどうのこうのと言って、こどもたちが競ってそれを手に入れているそうである。
『持っていないのはボクだけなんだよ。(T-T)』
 良かったじゃないか、少年。君たちが、今覚えなくてはいけないものは、キャラクターの種類や進化なんかじゃない。現実に生きている虫や、樹や魚や鳥たちの名前であり、その生態なのである。ゲームのキャラなんて目じゃないほどの大自然なのである。
 いやいやながらも、連れて来てしまえば、こどもたちは大はしゃぎで採集をはじめた。やれ大きなムカデがいただの、ハエが土の中で冬眠していただのと、次々に発見しては逐一報告してくる。
 どうだね、こどもたちよ。ゲームなんかよりも楽しく、発見の喜びに満ちた世界が、君たちのすぐ側あるのだ。隠れキャラや裏技なんか探してる場合じゃない。
 こどもたちは目をキラキラさせながら、エサキオサムシとアオオサムシの名前を覚えた。そして私は、せっせとそれらを回収するのであった。
う〜ん、一人で来るより沢山採れたぞ。これをギブ&テイクと言うのである。また一つ勉強になったじゃないか、少年。
 かくして、私はいつもの半分の労力で、倍のオサ掘りが出来たのである。そして余裕の出来た時間で、クワガタの採集をたしなんだりするのであった。う〜ん、今年の初クワガタは良い虫になったぞ。
 はやくも2月である。もはや新緑の季節は目の前である。