きゅうちゅうかん


 最近コオロギの飼育を始めた。別にコオロギに興味が涌いた
訳ではない。我が家にコオロギを喰うヤツがいるからだ。なんと
も面倒臭いものだ。
 コオロギは洋物。逃がしたら大変である。45Lの衣装ケース
に300頭ほど飼っているのだが、これがまた捕まえるのが大
変なのである。そこで、ハッ!っとひらめいた。吸虫管を使えば
いいじゃん!。虫屋ならではの発想である。
そういえば、ついこの間、某先生がフィルムケースで簡単に作
れますよ、と言っていたのを思い出した。
 恥ずかしながら、虫屋などと自称していながら、吸虫管なるも
のを持っていない。なのでよく形もわからない。とりあえず作っ
てみようと言う事でできたのが、この吸虫管である。


 我ながら名案!と思ったのが、エアーポンプに使うエアースト
ーンをフィルターとして使うことだ。
 結構苦しいんじゃないの?(^^;;
と思うだろうが、案外そうでもないのだ。では早速ということで、
コオロギを吸ってみる事にした。
 なんであれそうだが、”初めて”はドキドキするものである。目
ぼしいコオロギに狙いを定めて、チュウ〜。・・・なんだか虚しく
空気だけがやたらと肺に入ってくるだけだ。
 コオロギの大きさは4〜6mmと言ったところ。充分先に取り
付けた管を通るはずだ。今度は”プッ!”という感じで一気に
吸ってみることにした。狙いを定め、プッ!。スコッ!という小
気味良い音とともにコオロギが吸い込まれた。・・・これは快感
!調子に乗って次々に吸って行く。しかしある異変に気がつい
た。吸い込んだコオロギが動いていないのだ。
 このフィルムケースの欠点は2つ。ひとつは中が見えないこと
。もうひとつはフィルムケースの高さが低いこと。
つまり、吸い込まれたコオロギは、管を経由して吐口からフィル
ムケースに吸い込まれ、いきなりもうひとつ重ねてあるフィルム
ケースの底に激突して脳震盪(のうしんとう)を起こしてしまうの
だ。これはイカン!(^^;; あえなくこの計画は終わりを迎えた。


 ・・・しかしその数日後、再びこの吸虫管の出番がやってきた
。300頭ものコオロギを飼っていれば、当然、死んでしまうコオ
ロギもいる訳で、こいつなら吸っちゃっても大丈夫!と思いつい
たのである。これらの掃除に吸虫管を使おうと言うのである。こ
れは名案!(^^;; しかし、これが不幸の始まりであった。意気
込んで吸い込んだコオロギの死骸は、既に腐敗していたのであ
る。それを思いっきり吸い込んだのだから、これはたまらない。
なんとも言えない味と言うか臭いの様なものが、口一杯、いや、
喉一杯に広がったのである。
 ・・思えば、埋葬虫(シデムシ)の小便顔射以来の衝撃である
。やはりこんなものは、口で吸ってはいけないのだ。スネークマ
ンショウに出てくる○○壺小僧に等しいのである。聞けば、吸虫
管で糞虫を吸い取るツワモノもいるそうだ。やはり、虫屋という
のは、世間から受け入れられない存在なのであろうか。(^^;;