カンチャナブリの思い出

Diary

カンチャナブリの思い出

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The Bridge on the River Kwai


一人旅に出てはみたものの、これからの旅の予定を全く立ててこなかった俺は、

一週間程バンコクでのらりくらりの生活を送っていた。そんなある日、ニュージーランドでの

ホームステイを終え「日本に帰国する前にタイでちょっくら遊んでくべ」と考えていたであろう

コウとは、バンコクの同じ安宿で知り合った。彼は関西の某D大学の現役4年生で

非常に真面目ながらも実は女性が嫌いではなく、そして俺同様無類のビール党であり、

また夜な夜なバンコクのディスコで一緒に爽やかな汗(!?)を流した仲でもある。

彼は純粋さであったり心優しい部分を持っていて、俺はそんなコウが好きだった。

コウの提案でカンチャナブリへ行かない?と誘われ、俺達はしばしバンコクに別れを告げ

2人バスでカンチャナブリに向かった。まだ、旅を始めて間もないこの時期は何もかもが新鮮で、

屋台でチャーハンを頼むことさえドキドキしていたのを憶えている。


バンコクからバスで北西に2時間程走ったところにカンチャナブリはある。第2次世界大戦において、

日本軍がミャンマーからタイに物資を運ぶ為、現地の人や捕虜たちを虐待しながら泰緬鉄道を

建設した場所であり、日本人にとっては今も忘れてはいけない場所である。恥ずかしながら

歴史背景をあまり勉強せず訪れてしまった事は後悔しているが、俺はこの自然溢れるカンチャナブリが

好きになりその後も何度か訪れた。この町の安宿の多くは、「戦場に架ける橋」のクワイ河沿いにあり、

いくつかのゲストハウスは水面に浮いている。俺達が滞在したシュガーケーンゲストハウスもそうだった。

クワイ河を臨む高台にある宿の食堂からは、河一面を見渡す事が出来てゆったりとした時の中で

俺達はタイビール片手に今までのこと、そしてこれからの夢について語り、そしてそれは尽きる事が無かった。

その宿では俺はたくさんのネコに好かれ、コウはたくさんの蚊に好かれた(笑)

カンチャナブリは然程大きな町ではないが、ある程度の観光化が進んでおり、町のいくつかの場所には

レンタルバイク屋があって250バーツ(700円程度)払えば、バイクを一日レンタルする事が出来た。

当然の如く2人はレンタルバイクを借り(本当は運転するには国際免許が必要です、念の為。)

向かった先は宿から100km程離れたエラワン国立公園。

日本では原付バイクしか運転したことが無かったが、マニュアルの中型バイクを異国で始めて運転し

(タイの交通ルールを知らなかったので、とりあえずヘルメットはかぶらなかった)且つ慣れてくると

調子に乗って100kmを出す始末。今考えれば死ななくて良かった~ である。

大自然たっぷりの国立公園は、まさにジャングルだった。木をつたう野生のサルや、体長1メートルを

超えるトカゲを見た!!コウはたまたまよそ見をしており、「タカの見間違えだよ」なんて笑っていたが、

俺は確かに見た。途中サソリの死骸も発見…。

しばらく山道を抜けるとそこにはエラワンの滝があり、非常に美しい光景があった。

感激!!帰りはクタクタになり、ガス欠の心配もあったが何とか宿まで戻る事が出来た。

その日は帰るや否や疲れきって寝てしまったのだが、翌日の早朝、疲れ知らずのコウは

「別な滝を見に行こうぜ」と言い出し、俺も俺で「行っちゃうか?」と2人、今度はバス停に向かったのだった。



ここで話を終わらす予定だったのだが、この先のアクシデントを思い出し、語らずにはいられなくなった。

「地球の歩き方」という本があるが、あれも実際は結構デタラメな本で、信用していたばっかりに

二人の乗ったバスは到着予定時刻を超えても目的地には着かず。あれっ、あれっ…という間に

実は乗換場所を過ぎ、全く違う場所に行ってしまっていた。後で調べたのだが、どうやらミャンマーの

国境付近で彷徨ってしまったらしい。観光地からは程遠く、タイの田舎ではほとんど英語をしゃべれる

人間がいない為、旅歴の短かった二人はもう終わったと思った。途方にくれ食堂に入り必死に

英語で語りかけると、親切な店の主人が英語を話せる美人な女性を連れてきてくえた。

「助かった~!!」

聞けば、彼女は日本で言う大学の博士課程を、タイの大学で取られた聡明な方だったのだ。感謝、感謝!!

気が抜けた2人も、とりあえず記念撮影をお願いするのを忘れなかった(笑)

俺達は、何とか無事宿に戻る事が出来たのである。


その後バンコクへ戻りコウは日本行きの飛行機に乗り、俺はマレーシア行きのバスに乗り込んだ。

コウは帰国後、無事大学を卒業し電車の運転手になったらしい。

今頃なにしてっかな。