韓国語講座(女子プロゴルフ編)
李 ナリさんと李 ○○さん ・・・でん
ゴルフファンにも語学が必要?
李 定垠( イ ジョンウン)さん
李 定垠( イ ジョンウン)の’07年のLPGA登録名は「ナール」でした。でも、あだ名の「ナール」も日本語表記するのが大変、韓国語においては、子音で終わる言葉が沢山あり、彼女のあだ名は、「ナール」でも「ナーリ」でもなく、正確にはR音の後に「ゥ」や「ィ」などの母音を伴わない「ナーr」なのですが、 ・・・ まあ、ともかく「ナール」でLPGA登録しました。
李 ナリ さん
ナリ(나리) は、韓国語の固有語で、日本語の固有語いわゆる大和言葉の「ゆり」に相当する言葉で、韓国語においては日本語のように漢字「百合」を日本固有語(大和言葉)で「ゆり」と訓読みするような習慣がないため、漢字で表記できません。この名前は、日本の女の子でいえば感覚的には「百合ちゃん」にあたります。宋ボベプロの「ボベ」(日本語の大和言葉で「たからもの」に相当)と同様、漢字で表記できない部分です。 日本人の女性でも、しばしば漢字表記ではなく平仮名やカタカナの名を持つ人がいますが、それと同じ感覚での命名です。横峯さくらプロの名前を、漢字の「オウ」(「櫻」ないし「桜」)で表記しようがないのと同じですね。中国人は、表音文字を持たないので、固有語を用いた日本人名や韓国人名その他各国人名を各国固有語であっても無理矢理漢字にあてはめて表記してしまいますが、これは中国語に表音文字がない以上しかたないことです。
李 ナリ(Na-Ri Lee)さん と リ エスド(Esther Lee)さん
李 ナリ(Na-Ri Lee)さんと、李 知Rさん(Esther Lee)のみが韓国人であるにもかかわらず、「イ」ではなく、わざわざラテン語転写読みの「リー」を使っているとの、でんさん の疑問ですが、さきほど、私が書き込んだコメントにおいては「本人の感覚と言うか、自意識から生じた」ものではないと断言しましたがやっぱり「感覚的」なものがあるかもしれません。 李知R(イ・チヒョン)さんは、JLPGAで、発音がバッティングする選手は居ないんですが、あくまで「あだ名」を用いて、英語「Esther」の韓国語読みの日本語転写「エスド」で登録しましたね。「Esther」は、日本語の英語転写では「エスター」とすることがほとんどなんですが韓国語における英語転写においては日本語の英語転写につかう「er」=「アー」ではなく「er」を「オー」と転写し、「th」音は濁音で転写します。つまり「エスドー」となるわけで、それを日本語カタカナに再転写して「エスド」となったわけです 李 ナリさんは初めからハングル表記の「韓国固有語」 リ エスドさんは「ニックネーム」を使っています。本名を使う韓国出身の「李」プロたちは、各選手全て韓国語読みの「イ」で、「韓国固有語」と「あだ名」を登録名にしている2人のみが「Lee(リ)」の発音で登録している。 このへんが2人がラテン転写表記の「リー」を使う動機になっているんじゃないでしょうか。
感覚的にわかりました ・・・でん
同姓同音名のイ・ジョンウン(이정은)プロ
イ・ジョンウン(이정은)プロたちの件ですが、その後、私なりに詳しく調べてみたら、やはり でんさん の解釈どおり、選手間で同姓同音名のバッティングをさけるために登録名を調整しあってますね。
LPGA登録選手名の変遷
韓国の同姓同音の呼び名事情
今日、韓国のゴルフファンサイトをいくつか見てみましたが、同姓同音が多く、現在では漢字をほとんど使わず漢語をほとんど表音文字のハングルで表記する韓国においてはプロ・アマを問わず、同音名の混同を避けるために同音名の当事者間では、年少者が年長者に対して「オンニ」(姉さん)年長者が年少者に対してニックネームの呼び捨て、第3者はニックネームで選手を呼ぶことが非常に多いようです。 来日している選手たちも、その感覚で登録名称を譲り合っているんでしょう。
任 恩娥さん
任 恩娥 プロ (KLPGA正会員:316号、JLPGA:TPD非会員登録)( イムウナ / 임은아 ) 任 恩娥さんの改名登録の件ですが、日本政府(外務省など)が公式に示している韓国人名の日本語(カタカナ)転写ガイドラインにおいては、各語の発音を個別に発音したときの原語の音に近いもので表記することになっています。そこで、政府ガイドライン上は任(イム)恩(ウン)娥(ア)が、正式な韓国人名日本語(カタカナ)転写表記法となります。これに従って、JLPGAツアー参加当初は「イムウンア」で登録していたのでしょう。 ところが、無音の子音で終わる言葉が多い韓国語においてはあとに続く母音ではじまる言葉との間で頻繁に連音化(リエゾン)現象を起こします。実際の韓国語会話の発音では、韓国語ネイティブであっても3秒くらいかけて、一字一字(漢字1文字は必ずハングル1文字で表記されます)ゆっくりと発音してもらえば、確かに「イム・ウン・ア」に聞こえるのですが、通常の会話やニュース報道等では「イムウナ」、いや、むしろもっと連音化して「イムナ」にしか聞こえません。そこで、実際の発音とかけ離れた「イム・ウンア」の発音に違和感を持った本人が実際の発音により近い「イムウナ」に改めたのだと思われます。 他の有名人でも、タレントの尹孫河(ユンソナ)さんやプロサッカー選手のMF・金南一(キムナミル)選手など、当初日本で紹介された際には、政府ガイドラインの転写法に従って、それぞれ、「ユン・ソンハ」、「キム・ナムイル」と紹介されていましたが日本人の間でも、いつの間にか自然に、リエゾンする原語読みにならって「ユンソナ」、「キムナミル」とよばれるのが一般的になっています。
具 倫希プロについて ・・・やまとのとのさま
■たいへん勉強になりました
講師の「しつこくて申し訳ないんですが・・・」さん? こんにちは(^O^)/ 韓国選手の登録名等に関する分析、たいへん勉強になりました!ありがとうございます。私が応援している選手の一人が具倫希プロなのですが、ク・ユンヒとカタカナ表記されますが、キャディバッグにはUNIと刺繍されています。 どうやら、「ユニ」と発音するのが韓国読みに近いのでは?ということに気が付いてからは、「ユニ!」と声をかけるようになりました。 ギャラリー仲間のHさんは、イ・ジウプロを応援していますが、「ジョンウンちゃん」と呼んで仲良くしていますが、「ジウ」と呼ばれるほうが本人は親しみを感じるのかもしれませんね。
具 倫希さん
やまとのとのさま 殿 ユニ選手のファンなんですか、美形プロですしね。JLPGA初優勝で池にダイヴしたシーンを良く憶えています。 具倫希プロは、いわゆる日本語での韓国人名カタカナ表記転写法にしたがえば「ク・ユンヒ」と表記することになっています。(でんさんが活用している、当「アメーバブログ」上では、ハングルは表示できないようなので、該当のハングルは書けず、カタカナのみの説明で勘弁してください) ネイティブ韓国語話者に、『具倫希』を3〜5秒くらいゆっくり時間をかけて発音してもらうと確かに、「ク・ユン・ヒ」とはっきりと聞こえます。しかし『倫(ユン)』は韓国語読みでは無音の子音「n」音(縦書き文章における下カギ括弧のような形をしたハングル文字、「ニウン」と呼ばれる音価)で終わる発音です。通常会話においては、後に続く『希(ヒ)』の「h」音(マルに鍋ブタが付いたようなハングル文字、「ヒゥ」と呼ばれる音価)で始まる音との間で、連音現象(リエゾン)かつh音の弱音化現象を起こします。やまとのとのさま 殿 がおっしゃるように、通常会話や報道ニュースなどのスピードでは、完全に「ユニ」にしか聞こえません。韓国語の「h」音は、語頭ないし単独では、はっきりと「h」音として聞こえるのですが、文中に混じると、@リエゾンかつ微音化、Aリエゾンかつ激音化、を頻繁に起こします。@の例を挙げるとすれば、上記の通り、倫希プロの発音です。「n」無音子音の後に「h」付の有音母音が続いた場合、「h」音が後続の母音に呑み込まれてほとんど弱音・欠落、前の無音子音「n」音と連結し、「ユニ」となる現象です。ほかにも、韓熙圓(JLPGA登録上名:ハン・ヒウォン)プロ、李恩惠(JLPGA登録上名:イ・ウンヘ)プロなど、通常の韓国語で発音される場合、「ハニウォン」、「イウネ」としか聞こえません。この現象は、「m」音で終わる無音子音の後に「h」音付の有音母音が続く場合にも起こります。A「k」無音子音、「t」無音子音などの後に、「h」音付きの母音が続いた場合には、純粋な「h」音は消失して、代わりに破裂音的な激音化現象を起こします。韓国料理の肉刺身メニューである「ユッケ」は、ハングルどおりにゆっくり発音すれば、「ユク」(肉)「フェ」(刺身)と、「ユク・フェ」なのですが、「k」音と「h」音が隣りあっているため、通常会話では「ユッケ」にしか聞こえません。この場合の「ケ」は、ちょっと古いですが明石屋さんまさんの「知っとるケ!」の「ケ」のような破裂音です。韓国語は(漢語読みを除く)固有語においては、日本語と発音が全く違うのに文法は日本語と気味が悪いくらい似ています。敬語表現や卑近語表現も、日本語と同様非常に発達しています。尊敬語の「〜ムニダ」(〜でございます)、丁寧語の「〜ヨ」(〜です)のような、丁寧な語尾を付けない『パン(「半」の韓国語読み)マル(「ことば」を意味する韓国語固有語)』(丁寧な語辞をつけない半端でぞんざいな日常会話用法)を、友達・恋人・夫婦・家族間など親しい間柄同士では用います。ゴルフファンのギャラリーの声援も日本人ファンであっても、あえて韓国語パンマルを使って声援するとユニプロもグッとくるのではないでしょうか。パンマルでは相手の名を呼ぶときに、敬称ではなく、子音で終わる名前では「ア」を、母音で終わる名前には「ヤ」を付けて呼称します。この場合、直前の音節にアクセントをつけて発音します。倫希プロは、母音で終わる名前ですので、パンマルで呼ぶなら『ユニヤ』です。「n」子音で終わる名前のジョンウンプロは「ア」を付けた上リエゾンして『ジョンウナ』ですね。この場合、アクセントは「ニ」に置きます。 日本語で言う励ましの言葉「ファイト!」は、韓国語では日常会話に至るまで「ファイティン!」を多用します。ユニプロに対しても、貴方もギャラリーの間から、『ユニヤ〜! ファイティンッ!』と韓国語で声援をかけてみてください。本人も、日本で韓国語の声援を聞けて、きっとグッと来ることでしょう。※ パンマルで名前のみの呼び捨てのこの場合、「ニ」にアクセントを置きます しかし、パンマルはあくまで親しい者同志のぞんざいな言葉。ギャラリー群集からの声援ではファンパワーとして効力を発揮しますが本人と直接は親しくないうちには、本人と一対一で話す場合、(サインをもらったり写真に写ってもらう場合など)韓国語で話す場合には、せめて丁寧語尾の「〜ヨ」付きで、クユニソンス! スゴヘッソヨ! (具倫希選手! お疲れ様です!)※ 姓を付けてフルネームで呼ぶこの場合、「ユ」にアクセントを置きます。などと、礼儀をわきまえた上で接しないと嫌われます。でも、「常連ファン」として本人に認識してもらえており、本人と親しい場合には、思う存分、「パンマル」でしゃべり倒すのがGoo!です。前述の言葉も、親しい仲の会話では、ユニヤ! スゴへッソ! (ユニ! おつかれ!)の、パンマルの方が堅苦しくなくて好まれます。 ギャラリー群集からの見知らぬ人からの「ユニ頑張れ!」の声援が本人の元気の素となる反面、一対一の会話で見知らぬ人から「ユニ、サインしてくれ!」などとぞんざいに話されると本人が不快な思いをするのは韓国語でも日本語でも、同じ感覚です。しかし、仲良くなると、逆にぞんざいな言葉で話しかけられたほうが、特に韓国人は100%親しみを感じるようです。まあ、これは、どの言語においても共通なことですけど ・・・ 一対一で「パンマルで話し合う間柄」のプロ〜常連ファン関係を築けるよう応援活動頑張ってください。あくまで、一対一での会話は、初めは丁寧語で、仲良くなってからパンマルですよ。
イ ジウプロについて ・・・Hiroshi
■こんにちは。
講師の「しつこくて申し訳ないんですが・・・」さん こんにちは、大変勉強になりました。 今年から「李 延恩プロ」が、イ・ジョンウンからイ・ジウに名前が変わったのですが、ジウと言うのは当て字か何かで本名ではない為、ずっとジョンウンと呼んでいました。でも本人はジウと呼ばれる方が良いのでしょうか?最近ではジョンちゃんと勝手に呼んでいて、本人もわかっていてすぐに振り返ってくれますが・・・あとは、ヨルシミハセヨ!はラウンドの途中で掛ける言葉としては適していないのでしょうか?また、ホールアウトした後に、スゴハショスムニダも適していないのでしょうか? 是非お教えて下さい。
李 延恩さん(ニックネーム:イ ヂウ)
Hiroshi 殿 なんか、この記事へのコメント欄が、韓国語会話勉強スレッドみたいになってしまって、でんさん も、さぞかし呆れていることかとは存じますが、私なりにHiroshi 殿 の疑問へ、順不同にお答えをしてみます。 残念ながら、当アメーバブログでは、ハングルや発音記号はたとえコメントに書き込んでも表示できないようですので、カタカナやアルファベットを使った奥歯に物がはさまったような説明しかできませんが、ご容赦下さい。まず、前提として、いくつか書かせていただきます。 上のほうでも何回も書いているんですが、韓国語の「m」音は、日本語の一般的な「ム」のように「m」に母音の「ウ」を伴なう「mu」の音ではありません。上のほうでは「無声子音」という表現をいたしましたが、語学的な解説では、正確には「鼻音」といいます。ただ、この音は、日本語会話に皆無という事ではなくて、実は存在します。よく私たち日本人が悩んで考え事をするときに発する独り言「うーむ」の「む」は、唇を閉じたまま発声し、鼻から息が漏れる音ですよね。この音が、韓国語の「m」音に近い音で、これをもう少々しっかり唇をしめて発音すると完全な韓国語の「m」音になります。しばしば女子高生などが仲間内で、わざと若者言葉で「うーむ」の「む」を、あえて母音つきの「む(mu)」で発音している光景を見かけますが、これとは違います。以下、「ム」とは書きますが、こういう音なんだとご承知おきください。 また、一般的には日本語カタカナにおいては区別せずごちゃ混ぜに「ン」と書かれますが、2通りの「ン」があって、韓国語においては厳密に区別して発音されます。ひとつは、舌を上の歯茎にしっかりと押し当てて発音する「n鼻音」で、「カンヌ映画祭」の「ンヌ」を発音するときに舌が上歯茎にしっかりくっついて鼻から息が漏れますよね。あの音です。もうひとつは、舌を歯茎にくっつけずに発音するもので、日本語の一般的な「ん」にほぼ近いものです。以下、ここでは便宜上、歯茎に舌をくっつけるn鼻音を「ン」、舌をどこにもくっつけない音を「ん」と表示して区別させていただきます。「ン」=舌を上の歯茎にしっかりと押し当てて発音する「n鼻音」「ん」=舌を歯茎にくっつけずに発音するもので、日本語の一般的な「ん」に近いもの 李 延恩さんの「延」は歯茎にくっつかない音、「恩」は歯茎にくっつく音ですので、ここでは、以下発音区別の便宜上、「イヂョんウン」さんと書かせていただきます。それから、韓国語においては、「k」音 (日本語でいえば 「カキクケコ」 のk音)「t」音 (日本語でいえば 「タテト」 のt音)「p」音 (日本語でいえば 「パピプペポ」 のp音)「ch」音 (日本語でいえば 「チ」 のch音)の4つは、単独ないしは語頭では濁らず、文中や、前に語句がくっついた場合には濁って発音します。
上記の理由で、「李 延恩」プロの発音は、名前単独では「チョんウン」姓つきのフルネームでは「イ ヂョんウン」となり、同プロのニックネームで、今季からの登録名は、名前のみでは濁らずに「チウ」 苗字の李をつけて呼ぶと濁って「イヂウ」と発音します。
申 智愛( 申 ジエ)さん
全 美貞さん
韓国人名アルファベット転写法
ネイティブ韓国人の発音
ヨルシミハセヨ!
「ヨルシミへ!」の適切な語法
応援の言葉
スゴハショスムニダ
ジョンウンさん
韓国語パンマル
感謝 ・・・Hiroshi
講師の「しつこくて申し訳ないんですが・・・」さん 本当にありがとう御座います。大変勉強になりました。 現在、JLPGAツアー会場のクラブハウスにおいても、練習場においても、韓国語飛び交っているのが現実です。そして今年から、日本語の出来ない外国人選手は、通訳を帯同しなければなりません。そんな中で李延恩プロの1ファンと言う立場ですが、延恩プロはもちろんの事、色んな選手とコミュニケーションが取れ、何かの際にそれが役に立てばと思っております。レベルはまだまだ、「ガナダラマバサアジャチャカタパハ」の世界ですが(笑)、基礎から頑張って勉強したいと思います。
韓国語講座(女子プロゴルフ編)
李 ナリさんと李 ○○さん ・・・でん
しかし、日本での音表記は李 ナリ(リ ナリ・Na-Ri Lee)さんと李 知R (リ エスド・Esther Lee)さんだけがリ、他の李 ○○さんはイです。
この相違はあくまで本人の感覚と言うか、自意識から生じたのでしょうか。
李 ナリ (リ ナリ・Na-Ri Lee)の紹介記事を読む
イと音表記する女子プロゴルファー
李 五順 (イ オスン・Oh-Soon Lee)
李 定垠 (イ ジョンウン・Jeong-Eun Lee)
李 知姫 (イ チヒ・Ji-Hee Lee)
李 英美 (イ ヨンミー・Young-Me Lee)
李 恩惠 (イ ウンヘ・Eun-Hye Lee)
李 廷恩 (イ ジウ・Ji-Woo Lee)
ゴルフファンにも語学が必要?
単に、あくまで韓国語読みの発音を日本語転写するか、ラテン文字転写表記を日本語転写するかの選択だけによります。
「李」姓は、漢字文化圏である中国語読み、日本語読み、ベトナム語読み、北朝鮮地域の読み等においては、おしなべて「リ」ないし「リー」です。
ただ、韓国語読みでは、「イ」となります。
韓国語においては、漢語(漢字語)を読む際に、語頭の「R」音ないし「L」音ないし「N」音が欠落して読まれる習慣が頻繁にあり、本家の中国語はもちろん、日本語等においても、おしなべて「R」や「L」や「N」付きで発音される漢語において、冒頭の「R」、「L」、「N」音の欠落が多く見られます。
苗字の発音で言えば、韓国語読みでは、「李」が「イ」(中国語や日本語読み等では「リ」ないし「リー」)、イム・ウナさんの「任」は「イム」(中国語ないし日本語読みでは「ニム」ないし「ニン」)、「林」さんは「イム」(中国語ないし日本語では「リン」ないし「リム」)、「柳」さんは「ユー」(中国語ないし日本語では「リュー」)などとなります。
韓国籍の「李」さんは、ラテン語標記においては中国読みの「リー」(Lee)が一般的ですので、横文字で表記する場合には、ラテン転写韓国語表記法として各選手とも100%アルファベットで「Lee」(発音:リー)を用います。
野球のイ・スンヨプ一塁手が、発音が「イ」なのに、横文字の背番には「Lee」を使っているのは、いわゆる語学表記上の「常識」なわけです。
また、「魏」姓などは、日本語読みでは「ギ」と読まれることがほとんどですが、「魏」の字を、台湾出身のウェイ・ユンジェ選手が台湾語読みの「ウェイ」、ミッシェル・ウィー選手が韓国語読みの「ウィ」を用いるなど、各国語読みに即した運用をしています。
李 定垠( イ ジョンウン)さん
李 定垠( イ ジョンウン)の’07年のLPGA登録名は「ナール」でした。
でも、あだ名の「ナール」も日本語表記するのが大変、韓国語においては、子音で終わる言葉が沢山あり、
彼女のあだ名は、「ナール」でも「ナーリ」でもなく、正確にはR音の後に「ゥ」や「ィ」などの母音を伴わない「ナーr」なのですが、 ・・・ まあ、ともかく「ナール」でLPGA登録しました。
李 ナリ さん
ナリ(나리) は、韓国語の固有語で、日本語の固有語いわゆる大和言葉の「ゆり」に相当する言葉で、韓国語においては日本語のように漢字「百合」を日本固有語(大和言葉)で「ゆり」と訓読みするような習慣がないため、漢字で表記できません。この名前は、日本の女の子でいえば感覚的には「百合ちゃん」にあたります。宋ボベプロの「ボベ」(日本語の大和言葉で「たからもの」に相当)と同様、漢字で表記できない部分です。
日本人の女性でも、しばしば漢字表記ではなく平仮名やカタカナの名を持つ人がいますが、それと同じ感覚での命名です。横峯さくらプロの名前を、漢字の「オウ」(「櫻」ないし「桜」)で表記しようがないのと同じですね。
中国人は、表音文字を持たないので、固有語を用いた日本人名や韓国人名その他各国人名を各国固有語であっても無理矢理漢字にあてはめて表記してしまいますが、これは中国語に表音文字がない以上しかたないことです。
李 ナリ(Na-Ri Lee)さん と リ エスド(Esther Lee)さん
李 ナリ(Na-Ri Lee)さんと、李 知Rさん(Esther Lee)のみが韓国人であるにもかかわらず、「イ」ではなく、わざわざラテン語転写読みの「リー」を使っているとの、でんさん の疑問ですが、さきほど、私が書き込んだコメントにおいては「本人の感覚と言うか、自意識から生じた」ものではないと断言しましたがやっぱり「感覚的」なものがあるかもしれません。
李知R(イ・チヒョン)さんは、JLPGAで、発音がバッティングする選手は居ないんですが、あくまで「あだ名」を用いて、英語「Esther」の韓国語読みの日本語転写「エスド」で登録しましたね。
「Esther」は、日本語の英語転写では「エスター」とすることがほとんどなんですが韓国語における英語転写においては日本語の英語転写につかう「er」=「アー」ではなく「er」を「オー」と転写し、「th」音は濁音で転写します。
つまり「エスドー」となるわけで、それを日本語カタカナに再転写して「エスド」となったわけです
李 ナリさんは初めからハングル表記の「韓国固有語」 リ エスドさんは「ニックネーム」を使っています。
本名を使う韓国出身の「李」プロたちは、各選手全て韓国語読みの「イ」で、「韓国固有語」と「あだ名」を登録名にしている2人のみが「Lee(リ)」の発音で登録している。
このへんが2人がラテン転写表記の「リー」を使う動機になっているんじゃないでしょうか。
感覚的にわかりました ・・・でん
韓国の方のお名前は同音がおおいようですから、その混乱を回避するため、選手間で調整しているのではと推測しています。
同姓同音名のイ・ジョンウン(이정은)プロ
イ・ジョンウン(이정은)プロたちの件ですが、
その後、私なりに詳しく調べてみたら、やはり でんさん の解釈どおり、選手間で同姓同音名のバッティングをさけるために登録名を調整しあってますね。
JLPGA公式サイトの「会員紹介」を見ただけでも7名の選手が確認できます。
USLPGAやELTの登録選手を確認れば、さらに沢山の「イ・ジョンウン」プロが居るんでしょうね。
デビューが古い順に、
@ 李 姃垠 プロ (KLPGA正会員:168号)
A 李 定垠 プロ (KLPGA正会員:201号、JLPGA正会員:70期)
※ 2008年より、ニックネームの「ナール」から本名の「ジョンウン」に登録変更
B 李 廷恩 プロ(KLPGA正会員:314号、JLPGA:TPD非会員登録)
※ 2008年より、本名の「ジョンウン」からニックネームの「ジウ」に登録変更
2006年のJLPGA のQTトップ者として有名ですね、今回改名したニックネームは女優の崔志宇(チェ・ジウ)さんのジウと同じ発音ですね。(充てる漢字も同じかどうかは分かりませんが)
C 李 定殷 プロ (KLPGA正会員:466号)
D 李 政恩 プロ (KLPGA正会員:478号)
E 李 姃銀 プロ (KLPGAS会員:S282号)
F 李 庭銀プロ (KLPGAS会員:S291号)
LPGA登録選手名の変遷
上記Aの李定垠プロがニックネームの「イ・ナール」で登録し、
Bの李廷恩プロの「イ・ジョンウン」の本名登録と同音バッティングしないよう譲り合っていたところ、
今度は、下記の本名「イ・ナリ」選手がJLPGAに参加して本名登録する運びとなったため
Aの李定垠プロが紛らわしいニックネーム「イ・ナール」を回避して、本名の「イ・ジョンウン」に登録変更、
同音バッティングすることとなったBの李廷恩プロが、ニックネームの「イ・ジウ」に登録変更した。
というのがだいたいのいきさつだと思います。
韓国の同姓同音の呼び名事情
今日、韓国のゴルフファンサイトをいくつか見てみましたが、同姓同音が多く、現在では漢字をほとんど使わず
漢語をほとんど表音文字のハングルで表記する韓国においてはプロ・アマを問わず、同音名の混同を避けるために同音名の当事者間では、年少者が年長者に対して「オンニ」(姉さん)年長者が年少者に対してニックネームの呼び捨て、第3者はニックネームで選手を呼ぶことが非常に多いようです。
来日している選手たちも、その感覚で登録名称を譲り合っているんでしょう。
任 恩娥さん
任 恩娥 プロ (KLPGA正会員:316号、JLPGA:TPD非会員登録)( イムウナ / 임은아 )
任 恩娥さんの改名登録の件ですが、日本政府(外務省など)が公式に示している韓国人名の日本語(カタカナ)転写ガイドラインにおいては、各語の発音を個別に発音したときの原語の音に近いもので表記することになっています。
そこで、政府ガイドライン上は任(イム)恩(ウン)娥(ア)が、正式な韓国人名日本語(カタカナ)転写表記法となります。
これに従って、JLPGAツアー参加当初は「イムウンア」で登録していたのでしょう。
ところが、無音の子音で終わる言葉が多い韓国語においてはあとに続く母音ではじまる言葉との間で頻繁に連音化(リエゾン)現象を起こします。
実際の韓国語会話の発音では、韓国語ネイティブであっても3秒くらいかけて、一字一字(漢字1文字は必ずハングル1文字で表記されます)ゆっくりと発音してもらえば、確かに「イム・ウン・ア」に聞こえるのですが、通常の会話やニュース報道等では「イムウナ」、いや、むしろもっと連音化して「イムナ」にしか聞こえません。
そこで、実際の発音とかけ離れた「イム・ウンア」の発音に違和感を持った本人が実際の発音により近い「イムウナ」に改めたのだと思われます。
他の有名人でも、タレントの尹孫河(ユンソナ)さんやプロサッカー選手のMF・金南一(キムナミル)選手など、当初日本で紹介された際には、政府ガイドラインの転写法に従って、
それぞれ、「ユン・ソンハ」、「キム・ナムイル」と紹介されていましたが日本人の間でも、いつの間にか自然に、リエゾンする原語読みにならって「ユンソナ」、「キムナミル」とよばれるのが一般的になっています。
具 倫希プロについて ・・・やまとのとのさま
■たいへん勉強になりました
講師の「しつこくて申し訳ないんですが・・・」さん? こんにちは(^O^)/
韓国選手の登録名等に関する分析、たいへん勉強になりました!ありがとうございます。
私が応援している選手の一人が具倫希プロなのですが、ク・ユンヒとカタカナ表記されますが、キャディバッグにはUNIと刺繍されています。
どうやら、「ユニ」と発音するのが韓国読みに近いのでは?ということに気が付いてからは、「ユニ!」と声をかけるようになりました。
ギャラリー仲間のHさんは、イ・ジウプロを応援していますが、「ジョンウンちゃん」と呼んで仲良くしていますが、「ジウ」と呼ばれるほうが本人は親しみを感じるのかもしれませんね。
具 倫希さん
やまとのとのさま 殿
ユニ選手のファンなんですか、美形プロですしね。
JLPGA初優勝で池にダイヴしたシーンを良く憶えています。
具倫希プロは、いわゆる日本語での韓国人名カタカナ表記転写法にしたがえば「ク・ユンヒ」と表記することになっています。
(でんさんが活用している、当「アメーバブログ」上では、ハングルは表示できないようなので、該当のハングルは書けず、カタカナのみの説明で勘弁してください)
ネイティブ韓国語話者に、『具倫希』を3〜5秒くらいゆっくり時間をかけて発音してもらうと確かに、「ク・ユン・ヒ」とはっきりと聞こえます。
しかし『倫(ユン)』は韓国語読みでは無音の子音「n」音(縦書き文章における下カギ括弧のような形をしたハングル文字、「ニウン」と呼ばれる音価)で終わる発音です。通常会話においては、後に続く『希(ヒ)』の「h」音(マルに鍋ブタが付いたようなハングル文字、「ヒゥ」と呼ばれる音価)で始まる音との間で、連音現象(リエゾン)かつh音の弱音化現象を起こします。
やまとのとのさま 殿 がおっしゃるように、通常会話や報道ニュースなどのスピードでは、完全に「ユニ」にしか聞こえません。
韓国語の「h」音は、語頭ないし単独では、はっきりと「h」音として聞こえるのですが、文中に混じると、@リエゾンかつ微音化、Aリエゾンかつ激音化、を頻繁に起こします。
@の例を挙げるとすれば、上記の通り、倫希プロの発音です。「n」無音子音の後に「h」付の有音母音が続いた場合、「h」音が後続の母音に呑み込まれてほとんど弱音・欠落、前の無音子音「n」音と連結し、「ユニ」となる現象です。ほかにも、韓熙圓(JLPGA登録上名:ハン・ヒウォン)プロ、李恩惠(JLPGA登録上名:イ・ウンヘ)プロなど、通常の韓国語で発音される場合、「ハニウォン」、「イウネ」としか聞こえません。この現象は、「m」音で終わる無音子音の後に「h」音付の有音母音が続く場合にも起こります。
A「k」無音子音、「t」無音子音などの後に、「h」音付きの母音が続いた場合には、純粋な「h」音は消失して、代わりに破裂音的な激音化現象を起こします。韓国料理の肉刺身メニューである「ユッケ」は、ハングルどおりにゆっくり発音すれば、「ユク」(肉)「フェ」(刺身)と、「ユク・フェ」なのですが、「k」音と「h」音が隣りあっているため、通常会話では「ユッケ」にしか聞こえません。この場合の「ケ」は、ちょっと古いですが明石屋さんまさんの「知っとるケ!」の「ケ」のような破裂音です。
韓国語は(漢語読みを除く)固有語においては、日本語と発音が全く違うのに文法は日本語と気味が悪いくらい似ています。敬語表現や卑近語表現も、日本語と同様非常に発達しています。
尊敬語の「〜ムニダ」(〜でございます)、丁寧語の「〜ヨ」(〜です)のような、丁寧な語尾を付けない『パン(「半」の韓国語読み)マル(「ことば」を意味する韓国語固有語)』(丁寧な語辞をつけない半端でぞんざいな日常会話用法)を、友達・恋人・夫婦・家族間など親しい間柄同士では用います。
ゴルフファンのギャラリーの声援も日本人ファンであっても、あえて韓国語パンマルを使って声援するとユニプロもグッとくるのではないでしょうか。
パンマルでは相手の名を呼ぶときに、敬称ではなく、子音で終わる名前では「ア」を、母音で終わる名前には「ヤ」を付けて呼称します。
この場合、直前の音節にアクセントをつけて発音します。
倫希プロは、母音で終わる名前ですので、パンマルで呼ぶなら『ユニヤ』です。
「n」子音で終わる名前のジョンウンプロは「ア」を付けた上リエゾンして『ジョンウナ』ですね。
この場合、アクセントは「ニ」に置きます。
日本語で言う励ましの言葉「ファイト!」は、韓国語では日常会話に至るまで「ファイティン!」を多用します。
ユニプロに対しても、貴方もギャラリーの間から、『ユニヤ〜! ファイティンッ!』と韓国語で声援をかけてみてください。本人も、日本で韓国語の声援を聞けて、きっとグッと来ることでしょう。
※ パンマルで名前のみの呼び捨てのこの場合、「ニ」にアクセントを置きます
しかし、パンマルはあくまで親しい者同志のぞんざいな言葉。
ギャラリー群集からの声援ではファンパワーとして効力を発揮しますが本人と直接は親しくないうちには、本人と一対一で話す場合、(サインをもらったり写真に写ってもらう場合など)韓国語で話す場合には、せめて丁寧語尾の「〜ヨ」付きで、クユニソンス! スゴヘッソヨ! (具倫希選手! お疲れ様です!)
※ 姓を付けてフルネームで呼ぶこの場合、「ユ」にアクセントを置きます。
などと、礼儀をわきまえた上で接しないと嫌われます。
でも、「常連ファン」として本人に認識してもらえており、本人と親しい場合には、思う存分、「パンマル」でしゃべり倒すのがGoo!です。
前述の言葉も、親しい仲の会話では、ユニヤ! スゴへッソ! (ユニ! おつかれ!)の、パンマルの方が堅苦しくなくて好まれます。
ギャラリー群集からの見知らぬ人からの「ユニ頑張れ!」の声援が本人の元気の素となる反面、一対一の会話で見知らぬ人から「ユニ、サインしてくれ!」などとぞんざいに話されると本人が不快な思いをするのは韓国語でも日本語でも、同じ感覚です。
しかし、仲良くなると、逆にぞんざいな言葉で話しかけられたほうが、特に韓国人は100%親しみを感じるようです。
まあ、これは、どの言語においても共通なことですけど ・・・
一対一で「パンマルで話し合う間柄」のプロ〜常連ファン関係を築けるよう応援活動頑張ってください。
あくまで、一対一での会話は、初めは丁寧語で、仲良くなってからパンマルですよ。
イ ジウプロについて ・・・Hiroshi
■こんにちは。
講師の「しつこくて申し訳ないんですが・・・」さん こんにちは、大変勉強になりました。
今年から「李 延恩プロ」が、イ・ジョンウンからイ・ジウに名前が変わったのですが、ジウと言うのは当て字か何かで本名ではない為、ずっとジョンウンと呼んでいました。でも本人はジウと呼ばれる方が良いのでしょうか?
最近ではジョンちゃんと勝手に呼んでいて、本人もわかっていてすぐに振り返ってくれますが・・・
あとは、ヨルシミハセヨ!はラウンドの途中で掛ける言葉としては適していないのでしょうか?
また、ホールアウトした後に、スゴハショスムニダも適していないのでしょうか?
是非お教えて下さい。
李 延恩さん(ニックネーム:イ ヂウ)
Hiroshi 殿
なんか、この記事へのコメント欄が、韓国語会話勉強スレッドみたいになってしまって、でんさん も、さぞかし呆れていることかとは存じますが、私なりにHiroshi 殿 の疑問へ、順不同にお答えをしてみます。
残念ながら、当アメーバブログでは、ハングルや発音記号はたとえコメントに書き込んでも表示できないようですので、カタカナやアルファベットを使った奥歯に物がはさまったような説明しかできませんが、ご容赦下さい。
まず、前提として、いくつか書かせていただきます。
上のほうでも何回も書いているんですが、韓国語の「m」音は、日本語の一般的な「ム」のように「m」に母音の「ウ」を伴なう「mu」の音ではありません。上のほうでは「無声子音」という表現をいたしましたが、語学的な解説では、正確には「鼻音」といいます。ただ、この音は、日本語会話に皆無という事ではなくて、実は存在します。よく私たち日本人が悩んで考え事をするときに発する独り言「うーむ」の「む」は、唇を閉じたまま発声し、鼻から息が漏れる音ですよね。この音が、韓国語の「m」音に近い音で、これをもう少々しっかり唇をしめて発音すると完全な韓国語の「m」音になります。
しばしば女子高生などが仲間内で、わざと若者言葉で「うーむ」の「む」を、あえて母音つきの「む(mu)」で発音している光景を見かけますが、これとは違います。
以下、「ム」とは書きますが、こういう音なんだとご承知おきください。
また、一般的には日本語カタカナにおいては区別せずごちゃ混ぜに「ン」と書かれますが、2通りの「ン」があって、韓国語においては厳密に区別して発音されます。
ひとつは、舌を上の歯茎にしっかりと押し当てて発音する「n鼻音」で、「カンヌ映画祭」の「ンヌ」を発音するときに舌が上歯茎にしっかりくっついて鼻から息が漏れますよね。あの音です。
もうひとつは、舌を歯茎にくっつけずに発音するもので、日本語の一般的な「ん」にほぼ近いものです。
以下、ここでは便宜上、歯茎に舌をくっつけるn鼻音を「ン」、舌をどこにもくっつけない音を「ん」と表示して区別させていただきます。
「ン」=舌を上の歯茎にしっかりと押し当てて発音する「n鼻音」
「ん」=舌を歯茎にくっつけずに発音するもので、日本語の一般的な「ん」に近いもの
李 延恩さんの「延」は歯茎にくっつかない音、「恩」は歯茎にくっつく音ですので、ここでは、以下発音区別の便宜上、「イヂョんウン」さんと書かせていただきます。
それから、韓国語においては、
「k」音 (日本語でいえば 「カキクケコ」 のk音)
「t」音 (日本語でいえば 「タテト」 のt音)
「p」音 (日本語でいえば 「パピプペポ」 のp音)
「ch」音 (日本語でいえば 「チ」 のch音)
の4つは、単独ないしは語頭では濁らず、文中や、前に語句がくっついた場合には濁って発音します。
上記の理由で、「李 延恩」プロの発音は、名前単独では「チョんウン」姓つきのフルネームでは「イ ヂョんウン」となり、同プロのニックネームで、今季からの登録名は、名前のみでは濁らずに「チウ」 苗字の李をつけて呼ぶと濁って「イヂウ」と発音します。
申 智愛( 申 ジエ)さん
前に苗字がついて智(チ)が文中に入ると、濁って発音され、「シン ヂエ」となります。
日本語でも、旧かな遣いでは「ヂ」と「ジ」は明確に区別されていたのですが、最近の新かな遣いでは、「ヂ」と「ジ」を区別せずごちゃ混ぜに「ジ」の表記を使いますので、申選手の登録名も「申 ジエ」になったのでしょう。
日本人の姓名も同様で、旧かな遣いを用いていた頃は、「加司」さんは「かじ」さん、「加治」さんは「かぢ」さんと正確にふりがなをつけて区別されていたのですが、今ではごちゃ混ぜでどちらも「かじ」さんと書かれてしまいます。
正確な区別の方法は、濁らない場合にその字をどう読むかによります。
全 美貞さん
よって、濁らずに「チョン」と発音します。
名前の中の「貞」は単独では「チョん」ですが、前に「美(ミ)」がついているので文中扱いとなって発音は濁り「ヂョん」となり、その結果、「チョン ミヂョん」と発音されます。
韓国人名アルファベット転写法
例えば、「ch」音の実際の発音は、濁らない時には「チ(ch)」音、濁るときには「ヂ(z)」音なのですが、アルファベット転写法では単独・文頭・文中を問わず全て「j」と転写します。
何でかけ離れているかには一応根拠があって、ハングル字母を分解してそれぞれ無理矢理アルファベットに転写しているためで、申智愛選手の「愛(エ)」もハングル字母を分解して「Ai」と英語転写します。
まあ、際限がなくなるので細かい英語転写法に関してはここでは一つ一つくわしくは述べませんが ・・・
韓国人名のアルファベット転写法を真に受けてローマ字読みして、「シンジアイ」、「ジャンジョン」、「ジョンミジョン」などと発音している日本のテレビ局のアナウンサーをたまに見かけますが、これは誤りで「張晶」の発音は「チャんヂョん」、「全美貞」の発音は「チョンミヂョん」、「申智愛」の発音は「シンヂエ」です。
ネイティブ韓国人の発音
たとえば「でんさん」をネイティブ韓国人に発音してもらうと、文頭または単独では「テンサン」となってしまいます。
ところが、「LPGAに詳しいでんさんが〜」と文中に入れて続けて発音してもらうと、自然に「エルピイジイエイ ニ クワシイ『デンサン』ガ〜」と濁って発音されます。
ヨルシミハセヨ!
上のほうで、韓国語と日本語の文法は、気味が悪いくらい似ていると書きました。
日本語には、『する』という便利な動詞があります。単独でも「行う」という動詞として使うほか、名詞のあとに付けて「野球する」という風に動詞化したり、名詞に目的格の助詞を付けて形容詞化させたあとに付けて「綺麗にする」といった風に動詞化して使うなど、非常に便利に使い回せる動詞です。
なお、基本形の「する」は、使い方によって「する」・「すれ」・「しろ」などと活用変化します。
韓国語にも日本語の『する』と全く同じ使い方をする動詞、『ハダ』があります。
単独で「行う」という意味の動詞として使うほか、名詞のあとに付けて「ヤグハダ」(「野球する」の意味、「ヤグ」は「野球」の韓国語読み)などと動詞化したり、名詞に日本語の目的格の助詞に相当する膠着語を付けて形容詞化させたあとに「ハダ」を付けて動詞化して使うなど、非常に便利に使い回せる動詞です。
なお、基本形の「ハダ」は使い方によって「ハ」・「へ」・「ヘッ」・「ヘラ」などと活用変化します。
日本語でこの漢語を使うときの「熱心」と同様の意味のほか、「一生懸命」とか「真摯」の意味でよく使われます。
この名詞「熱心(ヨルシム)」に、日本語で言う目的格の助詞に相当する膠着語「ヒ」を付けると、用言に冠する形容詞化します。前述したとおり、「ム」(m鼻音)に「h」音が続くと、「h」音が消失かつ連音(リエゾン)するのが韓国語ですから、「熱心(ヨルシム)+ヒ」は、「ヨルシミ」と発音します。
「ヨルシミ」は、韓国語会話では、日本語で言う「熱心に」という意味よりも、「一生懸命に」・「真剣に」・「きちんと」・「ちゃんと」・「しっかりと」といった真剣さを表す表現として頻繁に使われます。
さらに、「ヨルシミ」に動詞「ハダ」を付けると、全体が動詞化して、「一生懸命にする」・「真剣にする」・「きちんとする」・「ちゃんとする」・「しっかりする」・「熱心にする」といった意味になります。
日本語の助詞に相当する、尊敬を表す修辞語「シ」を付けた丁寧な命令形(本来の文語では「シ」+「エ」、口語では「シエ」が短縮して「セ」となり、それに丁寧語の語尾「〜ヨ」をつけて『セヨ』)を用いる場合には、動詞「〜ハダ」は、「ハ」と活用します。つまり、「〜ハセヨ」になるわけです。
と、いうことで、「ヨルシミハセヨ!」は、日本語の「真剣にしてください!」・「きちんとしてください!」・「ちゃんとしてください!」・「一生懸命にしてください!」などの意味に相当します。
もうお分かりのように、尊敬表現の入った丁寧語とはいえ、相手を戒め改善を要求する命令形です。
ですから、ラウンド中にギャラリーからこれを言われると、プレーヤーは、「やっぱり、私の今日のプレー内容は悪いってみんなに思われてるんだわ・・・」「あれ? 私、何かルールやマナーに反することでもやらかしたかしら・・・」
と、思うはずです。
プレーヤーが好調時の励ましの声援としては、かなり場違いな声援と言えるでしょう。
また、明らかに、プレーヤーに迷いが見られるときや、弱気になっているのを感じられるときには、「ヨルシミハセヨ!」 (しっかりしてくださいよ!)の声援は、客観的には正しい表現だと思われますが、気の弱いプロの場合には、自分が一番、何とかしなきゃと、よく分かってるのに、ギャラリーにまで言われて更に空回りして思い悩み、
精神的にボロボロに自壊しちゃったりしますので・・・声をかける選手を選ばないと微妙ですね(笑)
あ、決して、延恩プロが精神的に弱い選手と言っているわけではありませんので、悪しからず。
「ヨルシミへ!」の適切な語法
応援の言葉
この言葉は、英語「fighting」外来の韓国語で、40歳代中盤以下の韓国人は、日常会話で励ましの言葉として頻繁に使用しますが、韓国映画・ドラマ・バラエティー番組などでも頻出する言葉です。
やはり、「チョんウナ〜! ファイティ〜ん!」 (延恩〜! がんばれ〜!)と叫んで手を振ってあげるのが、本人にとって一番、気持ちにサクっと入ってくる嬉しい声援でしょう。
そして、もし本人と目があったら、重ねて「ファイティ〜ん!」と言って手を振ってあげてください。
絶対に喜ぶはずです。
スゴハショスムニダ
「スゴ」は、「苦労」ないし「手数(てかず)が掛かること」などを意味する韓国語固有語の名詞です。
この名詞に、前述の使い回しが便利な動詞「ハダ」を付けて「スゴハダ」にすると「苦労する」の意味の動詞化します。この文例においても「ハダ」は、「ハ」と活用して用います。
そして、尊敬修辞詞「シ」に現状表現の「オッ」を付け、前に子音で終わる言葉がある場合に用いる格式ばった丁寧語尾「スムニダ」、これを通じて「ショッスムニダ」と表現すると、「スゴハショッスムニダ」 (日本語に訳すと「お疲れ様でいらっしゃいます」)の文節が完成します。
ただ、この表現は、非常に堅い。
元々公的で他人行儀で堅い語尾「〜ムニダ(前音が子音終わりなら「〜スムニダ」)」である上に、さらに尊敬修辞の「シ」が入っている言葉です。
政治家がテレビカメラの回っている選挙公報スピーチで有権者を持ち上げてしゃべっているとか、新入社員が直属以外の目上の初対面の上位職に対して喋っているとか、あるいは恋人との結婚の許しを得るために相手方のお父さんと初対面で喋っているイメージですね。
これを言われると、延恩プロもあまりにも持ち上げられすぎた感じで、かえってムズ痒いでしょう。
「スゴヘッソヨ」 (おつかれさまです)
と表現するのが妥当と思いますし、延恩プロも自然に感じるはずです。
この場合の「ヘッソ」の「ソ」の「s」音は、あくまで、この用い方での動詞「ハダ」の活用「ヘッ」の終わりの子音の中に「s」音が隠れているために連音(リエゾン)上で出てくるもので、尊敬辞「シ」の要素は全く入っていません。
ただ丁寧語尾「〜ヨ」が付いているだけの普通の丁寧語です。
最初はこの表現あたりを使って、ゆくゆく仲が良くなって、パンマルで話せる関係になってからは、
「スゴヘッソ!」 とか 「スゴヘッタ!」 (おつかれ!)
を使ってください。
ジョンウンさん
私は、延恩プロと一対一で話して聞いたことがないため、本人の希望は分からず、この質問に関しては正直即答しかねます。
ですから、Hiroshi 殿 ご本人が、延恩プロと一対一で話せる場面で、本人に直接聞いてみてください。
「チョ(わたくし)ヌン(は)、イジョんウンソンスウル(李延恩選手を)ノム(とても)チョアハヌン(好きな)ペンインデヨ(ファンなんですけど)・・・。セへ(新年=今季)、イジョんウンソンスガ(李延恩選手が)イルムウル(名前を)「イ・ジエ」ラゴ(「イヂエ」と)トんロックハゴイッジャナヨ〜(登録してるじゃないですか〜)。クロッタミョン(それなら)、チョヌン(わたくしは)ジョんウンシ(延恩さん)ハンテ(に)、イルムイ(名前を)オットッケ(どういう風に)ハミョン((呼ことを)すれば)トゥエヌンゴエヨ〜(良いんですかね〜)?」
「チョ(わたくし)ヌン(は)、イルボンサラム(日本人)ニカ(なので)、ハングンマル(韓国語)ウル(を)チヤル(上手く)モッテッソ(出来なくて)、ミアンハヂマン(申し訳ないけど)、ナド(僕も)ハングンマルウル(韓国語を)ヨルシミ(一生懸命)コンブ(勉強)ハルッケ(するから)、アプロド(今後とも)、チヤル(よろしく)ブタッケヨ(お願いします)」
「チョヌ〜ン、イジョんウンソンスル、ノムチョアハヌン、ペニンデヨ・・・。
セエ、イジョんウンソンスガ、イルムル、「イ・ジエ」ラゴ、トんロッカゴイッジャナヨ〜。
クロッタミョン、チョんウンシハンテ〜、イルミ〜、オットケハミョンテヌンゴエヨ〜?」
「チョヌン、イルボンサラミニカ〜、ハングンマル、チャルモッテッソ、
ミアナヂマ〜ン、ナド、ハングンマル、ヨルシミコンブハルッケ、アプロド、チャブタッケヨ!」
いわゆる「友達付き合い」ですね。
韓国語パンマル
親しい間柄の女子プロと韓国語パンマルで一対一で話す時
女子プロからあなたへの呼びかけは
あなたが女子プロより数え年で同年齢または齢下である場合
「○○○ヤ〜」、「ノ」(「お前」・「あんた」の意)、「タんシン」(「当身」の韓国語読み、「お前」・「あんた」に相当)
Hiroshi 殿 が延恩プロより数え年で1歳でも年長者である場合
「○○○オッパ〜」(○○○兄さん)
あなたから女子プロへの呼びかけは
「ヌナ〜」(姉を指す男言葉「姉さん」・「姉ちゃん」に相当)
感謝 ・・・Hiroshi
講師の「しつこくて申し訳ないんですが・・・」さん 本当にありがとう御座います。大変勉強になりました。
現在、JLPGAツアー会場のクラブハウスにおいても、練習場においても、韓国語飛び交っているのが現実です。
そして今年から、日本語の出来ない外国人選手は、通訳を帯同しなければなりません。
そんな中で李延恩プロの1ファンと言う立場ですが、延恩プロはもちろんの事、色んな選手とコミュニケーションが取れ、何かの際にそれが役に立てばと思っております。
レベルはまだまだ、「ガナダラマバサアジャチャカタパハ」の世界ですが(笑)、基礎から頑張って勉強したいと思います。