ロスくんのためのフード〜成分値&酸化防止剤〜



2004.12月現在
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フードについて、どんな基準で選べば良いのか・・・。
とても多くの方が悩んでいらっしゃいます。
特に、食べてもらえなくなってしまった飼い主さんは、
とにかく食べてもらうことに全神経を集中し、
少しでも食べてくれる物を探して、 あちらこちらを彷徨うことになるのです。
ときには、私もそのひとり・・・。
数限りなく存在するフードの中で、完璧なものはまず有り得ないと分かってはおりますが、
それぞれの子が抱えている問題によって、出来れば最適なフードを選んであげたい。
そう、私はロスくんのために・・・。

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まずロスくんの場合は、腎不全を抱えておりますので、
必然的にリン・ナトリウム・カルシウムが制限されているものになって参ります。
現在彼が比較的よく食べてくれるフードは、ナチュラルバランス・ウルトラプレミアム、
ロイヤルカナン・ライト38、サイエンスダイエット・ヘアボールコントロールメンテナンス、
そして最近食べてくれているホリスティックレセピー・ソリューション猫ライト。
それに切り替えていこうと考えているウォルサム・腎臓サポート。
この5つのフードで、それぞれの数値を比較してみました。
袋に記載のないものは、TELにて問合せをいたしました。

商品名カルシウムナトリウムリンKcal/100g1日の給与量
NBウルトラプレミアム1.99%0.30%1.46%364Kcal約60g
SDヘアボール・メンテ0.50%0.31%0.45%388Kcal約60g
ロイヤルカナン・381.20%0.40%1.10%324Kcal約65g
ウォルサム・腎臓サポート0.54%0.19%0.29%436Kcal約50g
HRソリューション猫ライト0.60%0.20%0.50%328Kcal約65g

ロスくんには、1日少なくとも約210〜220Kcalが必要と考えています。
1日の給与量は、各商品の基本給与量を参考に、
それを達成できるように計算致しました。
これを含めて見てみると、ウォルサムが最もリンなどの数値が低くなると分かります。


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さて、数値以外でも、考慮すべき点は有害な酸化防止剤。
BHA、BHT、エトキシキン。
ここでは、この3つに注目したいと思います。
ご存知の方も多いと思いますが、これらは発がん性や人体に有害であると
認められた 酸化防止剤であります。
一部メーカーではこれらを使用しており、
また不使用としているメーカーでも 検出されることがあります。
明確に不使用を表記している商品以外は、
入っているものと覚悟すべしという意見も聞かれます。

BHA・・・ブチルヒドロキシアニソール。現在は発がん性が認められ、
      油脂の製造以外は禁止となっている。
      しかし、食品には禁止であっても医薬品には認められ、
      ビタミン剤などには添加されている。
BHT・・・ブチルヒドロキシトルエン。これも発がん性が指摘されている。
       バター・魚肉冷凍食品などに使われている。
エトキシキン・・・有名なベトナム戦争時の枯葉剤の主成分。
       除草剤などに含まれる。

どれもこれも出来れば入っていない方が良いものです。
なのに、何故必要なのか。
それは私達飼い主が彼らに代わって狩りをし、
血の滴る獲物を用意してあげることが出来ないからなのです。
新鮮な生肉を日持ちのするドライフードなどに加工するという事で、
すでにかなりの無理があるのです。
しかしそれでも、負担を少なく・・・と考えた場合、
ミックストコフェロールなどの自然保存料が望ましいでしょう。
(これは合成のものよりも有効期間が短く、開封後約1月程度まで。)
ご参考までに、上記5品の中ではウォルサムとロイヤルカナンで
BHA使用とご回答を頂きました。
それ以外は、BHA・BHT・エトキシキン不使用とのことです。

さて、このBHA。
確かに発がん性を認められているものの、
人間用の薬品には結構使われています。
歯科治療にも使われていた(虫歯の消毒と神経麻痺など)
ヒドロキシアニソール(別名グアヤコール)という物質があり、
正露丸の最大構成物質でもあると、
ある医療関係者の方は個人のHPでおっしゃっておりますが、
これにブチル基がついて油脂に溶ける性質が備わったものだそうです。
かつては工業用に使われていたものが、食用にも拡大応用されたものなのです。
その抗酸化性の高さから、人間用薬品にも使用されているのでしょう。
同じ理由で、キャットフードの酸化防止剤としても使用されているものと思われます。

かつて不使用であるはずなのに検出されたメーカーがあったそうです。
そのことに対してのメーカー側の回答は、
フードを構成している食品のいずれかにその原因があったとしか
考えられないという回答だったそうです。
加工時に使っていない訳だから、確かに原材料の段階で
何らかの原因で入ってしまったものが残留していたのでしょう。
しかし、それがどの材料であったかまで追っていくのは無理・・・
とのお話しだったそうです。
私達エンドユーザー代理は、果たして全てを信じてよいのでしょうか・・・。
堂々と成分表示をしているメーカーの商品の方が、信頼に値するのは確かでしょう。
その中で、はっきりと「BHA使用しております。」と
あらかじめ教えてくれるところが 誠意があるのでしょうか。
「うちは、不使用です。」と言いながらも、
時には検出されてしまうところが選ばれるべきなのでしょうか・・・。
(検出されてしまった時は、ハズレだと思えば良いのでしょうか。)
それとも、「BHA・BHT・エトキシキン全て不使用です。」と胸を張っていても、
今回制限しなくてはならないリンなどの数値が、
高すぎるフードが最適なのでしょうか。

          
悩んだ結果、成分内容は申し分ないのにあえてBHA使用と明言する
ウォルサムに問い合わせてみました。
すると、BHAは確かに発がん性は指摘されてはいるものの、
非常に抗酸化性が高く、目指している品質保持が実現する
といった理由で使用しているのだとか。
そして、この使用量は人間用のものの比率をはるかに下回り、
毎日猫科動物が食べても問題がない程度の量であるとのことでした。
この先15〜20年以上摂取しても大丈夫でしょうか?との私の問いに、
はっきりと「はい。大丈夫です。」とお応えいただきました。
さらにもう一社。
ロイヤルカナンにも、問合せをいたしました。
やはり同じ理由で使用しているのと、
その量は猫が通常生活をしていく上で肝臓で処理し
体外排出ができる範囲であるということでした。
なぜ代わりにミックストコフェロール(ビタミンEが入っています。)
などを使わないのかとお聞きしました。
答えは、2つ。ビタミンEなどの酸化防止としての効力が極めて低く、
大量に使用しなければ望んだ効果が得られないということ。
そして、大量に使用した結果栄養バランスを崩して
猫の健康に影響が出かねないということ。
ビタミンAが大量使用の結果、
人体に有害になるということはご存知の方も多いと思います。
ビタミンEも同じく、摂取しすぎることによって有害になる心配があるのだとか。

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私の選択は、結局ウォルサムとサイエンス。
そしてサブメニューとして、ホリスティックレセピー。
散々悩んで何が大切なのかがよく分からなくなって、
グルグルあちらこちらを廻った結果、ほぼ現状維持となりました。
全ての腎不全のにゃんこに同じ選択が良いとは、決して思ってはおりません。
これはあくまで、現在のロスくんのために私が出した答えです。
まず最優先されるべきは、彼が食べてくれるものであること。
この先、もしかしたら、彼の好みが変わって別のフードを選ぶこともあるかもしれません。
いよいよ食べてくれなくなってしまったら、
現時点では絶対に与えない食品でさえ与えることにもなるかもしれません。
そしてもう一つの理由は、今現在、制限していこうとしている成分が低めであることです。
BHA。これを全く安全であるとは、認識しておりません。
しかし、私が血の滴る生温かい獲物を用意してあげられない以上、
どこかで折り合いをつけるしかないのです。
常に彼のために勉強を重ね、彼のために最善のものを選択する努力を
決して怠らず、これからも頑張っていきたいと思います。



*ご注意*
肝臓が弱っている子には、このBHAは避けられた方がよろしいかと思います。
解毒作用は肝臓で行われますので、重い負担を強いてしまうことになるでしょう。

もしも、現在愛猫にあげているご飯で疑問を感じたら、
キャットフードに関して詳しく解説しているショップや個人の方達のHPがありますので、
どんどん調べられた方が又聞きで悩まれるよりも安心出来ると思います。
また、メーカーさんに直接問い合わせてみることもお勧めします。
信頼に値するメーカーさんは、必ずどんな小さな疑問にも、とても丁寧に答えてくれます。