ライン

収穫作業

収穫した後のひょうたんが作品になるまでの手順を紹介します。
写真のひょうたんは「千成ひょうたん」です。


先ずはひょうたんのツルの部分をきれいに切って、木工用ドリルで穴を開けます。ドリルがなかったらキリとドライバでグリグリしてもあくと思いますが、やはりきれいに開けるためには、機械の力に頼ったほうがいいと思います。また、穴が小さすぎると種が出辛く、大きすぎるとひょうたんの先っぽのとんがりがなくなっちゃいます。私の場合、よく使うのが9ミリ、12ミリ、15ミリだったと思います。写真は多分9ミリだと思います。


こんな感じで開きました。ドリルが必要な固いところは表面からほんの数センチ程度なので、あとは穴に何か適当な棒で中の果肉をグサグサと突いてグリグリとかき回します。あまりやりすぎて外まで突き破らないように…。棒でつつく理由はたぶん水につけたとき、より水がしみこみやすくするためでしょう。そのとき土(種類は何でもいい)を少量入れると腐敗菌のタネを入れると同じ状態になり、より中身が腐りやすくなるようです。この千成はそれほど大きくないので(メンドクサイので)省略しました。


穴を開けたら、そのひょうたんに水漬けをします。このときひょうたんは全身水の中に漬けなければいけないのですが、何もしないとひょうたんたちは浮いてくるので、浮かばない工夫が必要です。
中瓢以上だとそのままいれちゃってもいいのですが、千成は小さいので、一旦ネットに入れてそのネットが浮かばないように水漬けしました。


水を入れます。さらに中ブタをいれて、その上に重りを乗せます。水入れと中ブタは手順が逆になっても問題はないと思います。重りでひょうたんが壊れるのでは?という心配もありますが、結構大丈夫みたいです。
それと水漬けのとき、たとえくぎ一本でも鉄製のものをいっしょに入浴させることはやめましょう。中のひょうたんが黒くなるそうです。


さらに上ブタをして、その上にも重りを乗せます。そして夏場で約2週間そのままにしておきます。
なお、水温は低すぎるとひょうたんがくさらないので寒くなるときは水槽用のヒーターを使うことをお勧めします。

知り合いのおじさんは昔ひょうたん作っていたとき、どうやって中身をとっていたかというと、「縛って流れないようにして川に入れていた」とのこと。曰く、皮も種も果肉も流れで勝手になくなってにおいも全然無いらしい。そりゃ〜すげ〜。

前にテレビでひょうたんを作ったアイドルは、穴もあけずひょうたんの頭の先をばっさり切ってそのまま泥沼(田んぼ?)に埋めていた。未完熟のためかあまり成功はしていなかったみたいだけど、いろいろな中身の取り方があるもんですね。


どうしても中ブタの重りが気になる人にこういう道具はいかかでしょう?中ブタの上に100円ショップで適当な大きさのこんな感じの道具を買ってきて紐で硬く縛り付けます。コレを中ブタにしたら、中ブタの重りがいりません。また、これの中ブタは「重りで下に押す力」ではなく、「フタがあって上にいけない力」なので、中のひょうたんも下に押されず上にいけないが水には全身漬かっているという状態になり、壊れずにちゃんと腐ってくれます。さらにこれの上にもう一つ中ブタをくっつけてサンドイッチ状態にしたら安定度はさらに増すと思いますが、コレでも十分役に立っています。
ちなみに私はこの中ブタはポリバケツで水漬けするときに使っています。ポリバケツはフタにふくらみがあるのでこれぐらいの高さがあってちょうどいいのですが、漬物樽などフタにふくらみがないもので行う場合は、もっと高さが低いものがいいと思います。


水漬けから2週間ほどしたら、ひょうたんを水洗いします。
このときかなり臭いです。ですからとりあえずゴム手袋は必需品です。着けない場合、もし次の日デートなら確実にフラレます。初心者は防臭マスクもつけたほうがいいかも。それと捨てる水はどこに捨てるか慎重に選びましょう。例えば穴を掘ってその中とか。

水洗いは、先ず表面の薄皮を剥ぎます。腐りきっていればたいていは簡単に剥がれますが、剥がれない場合はたわし等を使いましょう。それでも剥がれなかったら、プラスチックの定規を使って削り取ると剥がれるでしょう。まぁそこまで強情にならなくていい気もしますが…。

それから種と溶けた果肉を出します。中身をだすときは小さいひょうたんの場合は写真のように水圧で種を取ります。(水出し法)そのときにひょうたんは写真のように横にするのではなく、縦にしたほうが引力の力を得るため、もっとスムーズに中身がでます。

大きなひょうたんの場合はそうもいかないので、水をいれてシェイクして、シェイクしながら種を出していく方法があります。(振り出し法)
また、針金をらせん状に巻いてボールペンのバネみたいにして、(やまさ棒という)その棒をひょうたんに出し入れしたら結構取れるそうです。
それを忘れていた私は、国東一(大ひょうたん)をひたすら振り出し法でやり、そして筋肉痛になりました…。
やまさ棒で戯れる犬

そして種だしが終わったら、再度水つけをしてアク抜きをします。期間は一週間ぐらいですが別に1年つけていても完熟していれば大丈夫だそうです。私も忘れていて半年つけたことがありましたが大丈夫でした。
「アク抜き」といっても腐りきっていないものを徹底的に腐らすのが主目的らしいので、種だし時に多少腐りきっていなかったとか、薄皮が取れなかったとかあっても、このときにやればいいと思います。

アク抜きから水上げしたら、もう一度きれいに洗いましょう。


水漬けして洗い終わったら、天日に干します。いろいろ試したのですが、棒にひょうたんを挿すこの形が一番いいようです。なるべく日のあたるところ、風通しのいいところ、犬などに荒らされないところをえらんで時々方向を変えながら干しましょう。
そして乾いたら晴れて「ひょうたん」の完成です。後は自分の好きに加工するなり、そのまま飾っておくなり、第二のひょうたんの楽しみを存分に味わいましょう。

作業をただじっと家で見ている犬一匹。

ライン