エピローグ

三頭龍を駆る娘、その後  西方大陸に広がるだだっ広い荒野が目に入る全てだ。  退院する際アンジェリカにレクスの居場所を聞いてみたがその行き先は全く分からな い。ただ、彼は傭兵以外の生き方を知らないのだろう。各地に残る彼の足跡からは人生を 楽しむと言った雰囲気はなく……むしろ取り逃がしたカルマ、そして戦友でもあったクラ ウスを追う雰囲気が感じ取れた。  やはり彼らも許されていないのだろうか。  そんな考えが脳裏を過ぎるだけでますます自分も許されていないような気がしてくる。 実際に別れるまで自分が許された、と実感できたことはないし、事実その通りだった。  許してくれないのも理解できるがそのままでは今までと何も変わらない。何かを変えよ うと思わなければ自分も世界も何も変わらないのだ。だから彼女はそれらを変えるために、 何より自分のためにレクスを追い続けている。  単に追いかけるだけの理由が欲しかっただけかも知れないが、それは彼女にとって些細 な問題だった。動いていれば悩む暇など無いのだから。 「だけど……世界って広いから……」  だだっ広い荒野を索敵しながらうんざりした声をあげる。元々飽きっぽい為にこういっ た地道な作業は苦手なのだ。  そろそろ今日は切り上げようかと思った矢先、レーダーに反応があった。複数の小型ゾ イドが複数の輸送機とそれを護衛していると思われるゾイドと交戦状態となっている。  傭兵同士なら何か知っているかも。  単純で行き当たりばったりな考えだが何も行動しないよりは余程マシだろう。レオノー ラは新たな機体『ムシュフシュ』を最大戦速でその地点へと走らせた。  戦闘の様子が視界に入ってくると先ほど索敵した時に予測した状況が広がっていた。  西方大陸の各地を回り商売をしている商人とそれを護衛する傭兵、そしてそれらを襲う 山賊……この場合野党か。一、二世代前のゴドスやヘルキャットなどを主体とした見るか らに普通の傭兵と野党だ。  レクスが雇われていると言うことはないとは思っていたが実際に半年も逢えないとなる と少しの期待でも裏切られた気分になるモノだ。丁度その気分をぶつける相手もいること であるし、気分転換のために野党を追い払う事にした。 「ブリッドキャンセラー展開……集光パネル、その他装備準備オッケー……行くよ!」  戦闘データを取ることを条件に自由に使用させて貰っている試作型凱龍輝が彼女の愛機 だ。野党達が操る数体のゾイドの真っ直中に最大戦速で突っ込んで行く。  新型とは言えこのゾイドが生物として突出した肉体能力を持つわけでもない。ゾイドの 基本的な性能は新型だろうと旧式だろうと大して変わるものではないのだ。装備自体が相 手より高性能とは言え立ち回り次第では十分に危うい対決といえよう。  だが、彼女もただのテストパイロットではないし、予定の武装と相性の良い装備を追加 した凱龍輝『ムシュフシュ』もほぼあらゆる遠距離武装を無力化できる非常に強力なゾイ ドだ。  ガトリング砲の火線が不可視の壁に阻まれ軌跡を変え、レーザー砲の光線は回避され吸 収され、格闘攻撃は捌かれ……素人に毛の生えた程度の野党が攻撃を当てられるはずもな い。高速戦闘では攻撃自体当たりにくいのではあるが、彼女の攻撃が外れることはほとん ど無く……全く危なげなど見せずに野党達を殲滅した。 「物足りないけど……まぁ、いいか。」  何とも緊張感のない台詞を吐くが、それも束の間野党達の隠し球だったのだろう。ジェ ノザウラーが二機ほど荷電粒子砲を放つ。その威力を半減することしかできない集光パネ ルでは反荷電粒子シールドのように何発受けてもビクともしない、と言うことにはならな い。第一凱龍輝自体がマッドサンダーのような重装甲でも大型ゾイドでもない。  少しやばい。  そう思った瞬間。ジェノザウラーがあらぬ方向……隣を向き仲間であるもう一気に荷電 粒子砲を放つ。 「その操縦の癖……レオノーラか?」  いつの間にか姿を現したキラースパイナー『ノイ・シュロスヴァント』のパイロットが 驚いた様子でそう呟いた。  助太刀のお陰で助かった傭兵と商人から感謝され、二人はその日の夕食をご馳走になる ことになった。如何に凄腕のゾイド乗りとは言え、生活用のカーゴを引いて旅をしている わけではない。街で骨休めをしているとき以外は味気のない携行食糧を口にするだけなの だからこういった申し出は嬉しいに決まっている。  元々助けられた傭兵や商人のゾイドも破損しており足回りだけでも修理しないことには この場を動けない……むしろ戦力にならないのだからその間の戦力としても期待されてい るのだろう。  気前よく振る舞われる料理や飲み物……流石にゾイド乗りにはノンアルコール類だ…… を口に運びながらレオノーラはクリスとアンジェリカのその後の話を尋ねるが、クリスは それについて言葉を濁すばかりだ。  何かあったな。  頭は良くないが、勘は鋭いレオノーラはそう感じると頭で考えるよりも先にそれについ て尋ねる。相手の迷惑や心情を考えないその行動は端から見たら迷惑以外の何者でもない が、相手の力になりたいと思う気持ちが伝わってくる為対象となった人物にはそれ程嫌悪 感を与えない様だった。 「ま……俺は汚れてるからな。あいつの傍には居にくいんだよ。」  この世界に嫌気がさし、手段が最良ではなくても何も変え無いままでは意味がないと、 自分が礎となってもそれを変えようと……そして罪を背負ったのだ。直接的では無いとは 言えアンジェリカの母があの様な事になったのは彼の行動の結果でもあるのだから。 「……そんな事気にしてても意味無いじゃん!第一許して欲しかったら直接本人がして欲 しい事してあげないと!」  物怖じしない彼女の台詞には面食らうものの、確かにその言葉にも一理あるだろう。 「……そうだな。一度戻っても良いかもな。」  今までしてきたこと、今やりたいこと、今してやれること……それらに思いを馳せてい るのだろう。遠くを見つめながらぽつりと呟く。  そんな彼を見ながらレオノーラは密かにほくそ笑む。アンジェリカは今度帰ってきたら 絶対に逃がさない、と言っていた。ならば結果的に籍を入れる羽目になるだろう。そして それには式が必要なはずだ。レクスもその時くらいは出席するだろうから……  散々頭が悪いと言われ続けて来たが、悪知恵だけは付いてきたのだろうか。ローレンツ ほどではないにしろ策士の顔で今後の予定を考える。  もっともそれは長く続かなかった。おそらく訪れるであろう二人の幸せを考えたら今の 自分の望みなど考えていられなくなったのだろう。  あんな戦いでもそれがきっかけで幸せを掴める人間が居た。  それが何にも優る救いだから。 大尉その後  誰もいない岩山の上。一体の黒きオーガノイドが佇んでいた。  何も変わらず、変わろうとしない人間の世界を見下ろし軽く溜息めいたものをつく。  人間の憎しみを糧として生き続けてきた彼にとって現在の戦争が続いている状況は願っ たり敵ったりでもあるのだが、一抹の空しさが心を支配する。それは何が原因なのかは分 からない。  所詮鏡。  数年前に言った自分の言葉が思い出される。  憎しみの後にわき起こる空しさは人間の感情を映し出しているだけかも知れない。  先の見えない現状に苛立ちを憶え、不幸な身の上を嘆き、他人を憎み……そうすること でしか残酷な現実を受け入れるだけの強さを持たぬ哀れな生き方しか出来ない大多数の人 間共。それらの感情を我が身で映し出すことしかできないのだろう。  そんな生き方に空しさを憶えないこともないが、それ以外の感情に触れたことが無い彼 に他の生き方など出来るはずもない。  何より。  彼自身が人間を嫌い続けていることも事実だ。だが、彼一人でこの惑星に存在する人間 を絶滅させることなど不可能だろう。  しかし、それはそれで好都合というモノかも知れない。  殺しても殺しても殺しきれないだけの人間が居てくれるのだから……  今日もまた人間の苦痛に歪む表情を、憤怒を表す慟哭を、絶望と諦めを伝える涙を…… それらで自分を癒すために標的を探し翼を広げた。  小高い丘の上にある小さな一軒家には退役した一人の元軍人が住んでいた。その名をモ ニカという。事故により記憶を失い軍人として動けなくなった為家を与えられそこに住ん でいる。だが、実際は抹消されたとは言え犯した罪を償うべく軟禁されている状態だ。  最も住み心地は悪くなく、本人もその自覚がないためにさして陰惨な雰囲気などは感じ られない。端から見たらただの家だと思えるが、よくよく見てみればそこかしこに監視の 目があることが分かっただろう。 「……?」  ふと、何時も感じる視線が無くなった事に違和感を憶え読みかけの本にしおりを挟み辺 りを見回す。開けっ放しの窓から入るそよ風に揺れる白いカーテン。そこに赤黒いもの─ ─血──が付着しているのが見える。  いきなり訪れた非現実的な状況に戸惑い、おびえ数歩後ずさる。 「──随分と元気そうじゃないか?」  背後から人には発音不可能な声の、しかし流暢な言葉で語りかけられた。 「あ……あ……」  モニカの失っていた記憶が断片的な情景と共に思い起こされる。  ジェノブレイカーを消した閃光が、潜入した傭兵を生かして置けぬと指令を下す自分が、 利用価値の無くなった人間をゾイドごと薙払う荷電粒子砲が、流した情報から面白いよう に死んでいく兵士達が、愛する者が消えていく様が……それらがはっきりと思い出される。  自分が信じていたものが全て崩れ、せめて自分と同じ想いをする者を出さぬよう……全 ての罪を背負う覚悟でやってきた全ての事が、その記憶が蘇ったのだろう。記憶を失って いた時には決して見せなかった強い意志を感じさせる視線をカルマにぶつける。 「……今更何の用?」 「連れねぇなぁ?お前を必要としている奴を連れてきてやったってのによぉ?」 「……私を?」  そんな相手はもう全て居ないはず。  怪訝そうな顔つきのモニカの視線を窓際に誘導すると、人には理解できぬ電子の声で『モ ニカの相棒』を呼ぶ。間を置かず家の周辺を巨大な影とディオハリコン光が覆う。 「ヴリトラ……!」 「俺が再生した。どうだ?もう一度挑戦してみる気はないか?」 「……っ!」  通常兵器を無効化し最大攻撃射程26kmを誇るヴリトラなら現在のガイロス帝国転覆 など容易い。だが……  長い沈黙が場を呑み込んだ。  狂気じみた渇望、絶望と呼ぶのも生温い悲哀……何よりこれ以上の争いを見たくないが 為に手を染めた罪を、最良とは言えなくても今よりは良くなると信じたその方法を再度突 きつけられて迷わないわけがない。  しかし、心の何処かで止めて欲しいとも思っていたそれは既に終わったことなのだ。カ ルマに言い放つ言葉を決め決意の視線をぶつける。 「お前の憎しみは所詮その程度か……」 「──ヴリトラ!撃ちなさい!」  嘲るカルマを睨め付け、大声で相棒──ヴリトラ──に指示を出す。  カルマは……負の遺産をこのままにして置くわけには行かない。その意志が伝わったの だろう。ヴリトラがその口腔から破滅の光──荷電粒子砲をカルマに浴びせる。  にやついた笑みを張り付けたまま消滅するカルマを見つめ小さく呟いた。 「貴方の罪は私が背負う……だから、もうお休み……」  くつくつと抑えきれない笑い声が辺りに響き渡った。  やったこと全てを否定し、無駄なことだと嘲り絶対的強者が弱者に向ける哀れみを含み、 そして相手を蔑む陰湿な笑い声が。たった今消滅したはずのカルマの声が。希望と言う名 の光を全て覆い尽くす闇の如くモニカを包み込む。 「──っ!?一体!?」 「俺が何の準備もなくのこのこ出てくるとでも思ったのか?お前が居ればヴリトラの性能 も上がるんだがな。仕方ない、相棒は俺が貰うとしよう。」 「そんな!?ヴリトラの荷電粒子砲を受けて無事なわけが!?」 「俺の因子は保有しているゾイドに埋め込んで記録の共有化もしてある……つまり、俺は 限りなく不死に近いんだよ。その気になれば……」  その言葉と共にヴリトラの瞳が怪しく光る……まるでカルマの目のように。 「こんな風に操ることも出来る……そしてそれぞれのゾイドコアから『俺』を再構築する ことも可能だ……出来ればコイツの為にも協力して欲しかったんだが……残念だなぁ?」  常識を逸している状況だ。だが、相棒を奴に渡すわけには行かない。きっと相棒も分か ってくれるはずだ。元々パイロットの意志を理解してくれるのがゾイドだ。ここで自爆を 命令してもその意味を理解してくれるに違いない。  その確信を言葉として紡ぎ出そうとした。 「相棒は自分の考えを理解してくれる、か?……無駄な希望は捨てろ。ヴリトラの意志は 俺の支配下にある。相棒とは自分に利益をもたらす存在、仲間はただの駒、家族は一番近 い他人……それがお前が導き出した答えのはずだろう?」  聞いては行けない。それは分かるのだが止める術はないし……何より耳を傾けてしまい たい。奴の言うことに頷いてしまえればどれ程楽か。あれから何も変わっていないこの世 の中を罵倒できたらどれ程楽しいだろう。そんなどす黒い欲望がわき起こる。 「世界は理不尽、苦しみ、憎しみと悲しみ……そして怒りに満ちている。綺麗事を信じれ ば待っているのは救いのない絶望……それは既に何度も味わったか。」  確かにその通りだ。自分の心を守るためには希望などない方がいい。裏切られても始め からそれを覚悟していれば傷つかなくて済む。 「聖人君子などただの虚構。現実を認められない心の弱い人間が作り出した幻想……」  ある訳のない幻想に踊らされるなど無意味にも程がある。 「辛く、苦しく、無意味で何の価値もない生を終わらせたいと思っているのだろう?」  そうだ、自分はこんな世界を生きていたいと思わない……しかし、それを認めるのは何 故かためらわれる。カルマに何の反応も返せないまま一拍の時が過ぎた。  そんな彼女をつまらなそうに見つめると最期になる言葉をかけてやる。 「ま、どちらにせよ俺の誘いを拒んだ時点でお前は用無しだ。」  カルマのその言葉が終わると視界が真っ白に染まった。  満月が煌々と辺りを照らす夜に漆黒のゾイドが宙を舞う。  カルマが操るヴリトラだ。  何処か明確な目的地があるわけでもなく、する事があるわけでもない。ただ単に飛びた いがために飛んでいる。  モニカを仲間に引き込めなかったのはそれなりに残念ではあった。間近で観察していて 面白い人間であったからだ。  だが…… 「争う人間が居なくなったら楽しめないからな。アレはアレで良かったかもな……」  戦争が続く限り人間同士の争いは絶えないだろう。ならばこのまま延々と戦い続けてく れた方が彼にとって都合がいい。何より自分が出しゃばらなくても当分は楽しめるのだ。 これ以上良い条件など無いだろう。  抑えきれない笑いをかみ殺しながら、次の争いを求めて飛翔した。  更地と化した小高い丘を後にして。

超裏話的総評

第一話  この辺で既に伏線を張っていたりします。クラウスの台詞「……十分に心得ています。」 やGMの「いや、かなり早いよ……早すぎるくらいに。まぁ、モニカ女史は有能ですから (笑)」とか「クラウスに資料を渡しておこう。」等々……  まぁ、実際クラウスのプレイヤーとは余り連絡が取れない状況だったのでPC達の基本 的情報や行動の一部でも掴んでいると言う説得力になればいい、程度の認識だったりしま す。実際クラウスは本気で協力してなかったですしね。  本気で協力して貰えたのならもっと酷いことやっていると思いますが、流石に初心者の 居るキャンペーンでそこまでするつもりはないです。  で、トイレネタはただの思いつきです。NPCを印象づけるためとネタになるのでここ で出してしまえ、と出しただけなのですが色々と大好評だったのでトイレ縛りでシナリオ を作成するハメに(笑  キャラの味付けになったようで良かったかな、と。格好良さは減少しましたけど。  戦闘は難易度を低めにしていたので弱いガンタイガーが逃げる、と言うシチュエーショ ン。予想通り弱すぎて相手にならず。  一騎打ちの方はアンジェよりも先に作られていたダークスパイナーですが……相性悪す ぎでしたね。まぁ、折角なのでここでボコられたのも六話辺りで伏線として使用してみた り。伏線というか、台詞の裏付けですね。  実際、ジャミングブレードへの抵抗判定は最低値5なので気合いで目標値を上昇させれ ば結構行けると思ったのですが。  ちなみにオンラインでは戦闘とか凄く面倒なので『時間がかからないけど意味のある戦 闘』をコンセプトにしていました。  実際に戦闘の目的としては『敵を逃がしては行けない』『街に被害を出さない』『作戦 目的を守る強敵をどうするか』『パイロットを傷つけずに無力化(戦闘自体省略しました が)』『ある地点まで移動する』『弱点を突け』……となっていたりします。 第二話  増員は前回都合が合わなかったPLとどうせなら五人にしよう、と言うことで新規に誘 ったり。  それぞれメインで絡むNPCはモニカ大尉ですが、話をもう少し複雑にしよう、と色々 NPCを出していますね。権謀術数を詠ってしまったのでそれなりにややこしくしようか と思って出しましたが、お約束的に怪しい人がいるので大丈夫だろう、とたかをくくって ました。  モニカとフューゼルの血縁ネタもぼんやりと考えていましたので一応伏線を張ってお く。ちなみにノートはその布石でしかなかったため拘りすぎるのはどうかと思いましたが 何もないと分かればもっと違うところに興味を向けるだろう、と放置。大概のプレイヤー は反応のないモノは外れだと認識して違うモノに注意を向け始めますし。しなくても忘れ たりする事があるのはご愛敬(笑  ザインにもモニカネタでちょっかいをかけてみましたが、スルーされましたね。レオノ ーラもスルーされているので……積極的に動かないなぁ、と。それならそれで、と色々画 策する事に。  ちなみに『潜入した諜報員』とはクラウスのことだったりします。対外的にはモニカが ターゲットから外れる、GMからPLに対してはそれを知らせるという役割のある台詞で した。実際疑心暗鬼蔓延状態でこの台詞は大いに役割全うしています。  で、本筋の潜入捜査ですが……潜入能力が余り高くないことは分かっていたので、そこ に勤めている奴らの情報は要望があれば全て教えるつもりだったのですが、それもなかっ たですね。  折角代わりのバイトとして潜入とか合言葉とか色々ネタを考えて置いたのですが全部闇 に葬られました。いや、後で使い回したりするかも知れませんが。  おとりを使って潜入、も割と王道ですが……最後の地下施設に向かうときはちょっと油 断していましたね。詰めが甘いチームです(笑)余り厳しいと状況が膠着して面倒になる ので歩哨の人には気の毒ですが隙を作らせていただきました。  ちなみに平行して外でクリスが書類を落としたのは『アンジェにその情報を渡すため』 でした。クリスが侵入して書類を中に紛れさせておくよりアンジェに渡した方が危険度が 少ないし楽ですし。前の『諜報員が潜入した』と言う話しがあれば警戒して大々的に行動 しないと言う読みもありましたのでGM的には全く問題なし。  戦闘については大火力封印の制限を付けてみたわけですがテロリストにはそんなモノは ありません。ルールに縛られない犯罪者をどうするか、が見物だったのですが……被害を 抑えられなかったですね。死人が出た、とか直接的には言っていませんがその辺で戦いの 代償とかを演出して見せたり。私もそう言ったの苦手なのではしょりましたが。  遠距離武装の無いレブ集団に格闘戦を一人で挑むのだからアンジェは自業自得と言うこ とで。足並みくらい揃えなさいよ(苦笑)主導権も握って居るんだし。  実際『移動無し』と言うことでレブの士気はさほど高くなく、ジェノがやられたら逃げ るつもりだったのですが……なし崩し的に叩き合いに。手加減できないダイスがイカしま すね(お  クリスは『身近な人間だけでも守りたい』と思ってる上に『スネークハンターズ(と言 うか、ゼネバスハンター)に誤情報を与える』のが仕事だったので街を守るために戦った りしています。被害拡大しちゃったアンジェに対しては複雑な心境。あそこで街に被害を 出さなければ好感度アップだったのですけどね(笑  戦闘後の会話でクリスの印象づけをして終了。  この時点での『タスラム』と『バロール』についてはただの伏線なので深い意図はあり ません。むしろレクスに対する動機付けでしょうか。既にバロールことヴリトラは決定済 みでしたが、タスラムことアジ・ダハーカはまだ作っていなかったり。素直にガイリュウ キにするのも芸がないと言うことで色々考えている最中だったような……? 第三話  シナリオが『戦闘>その他』と言う割と異色な構成で目新しさを出してみました。  今回のボスゾイド『アハツェン・レーヴェ』ですが、これは某電ホビのイラストが格好 良かったのでそのように。データ的にはかなり強めですが、一体しか居ないボスだしこの 程度ならどうにでもなる、と思っていました。実際どうにかなりましたし。  ちなみに一撃攻撃を喰らう毎に目標値10で判定して失敗したら戦闘不能になる、と言 う条件付きだったのでそれ程強いわけではないですね。  ルードヴィヒの設定とクラウスの設定を合わせて伏線としましたが……誰もそっち方面 を探ってくれずにクラウスが全く疑われないと言う状況に。まぁ、PCを疑うのはあまり ないのでこの辺りは予想の範疇内でした。  キメラはガイロス帝国国内でゼネバスハンターとしてヴリトラやルシファーと相対した ときに使うつもりだったのですが結局無駄に(笑  クリスとアンジェの密会については全くのアドリブ。むしろこれがスパイ行為として味 方に認識されたら面白そうだな、と考えて四話への伏線とする。これもアドリブ。アンジ ェのプレイヤーが恋愛ネタを振ってきたのでそのような雰囲気になっていますが、本来そ んなことは全然考えていませんでした。クリス、南無。  あまりにもノーマーク、そしてダイス目が悪く情報が出せないモニカをこのままにする とバッドエンド風味に直行だったため救済策でフューゼルと血縁関係として調査意欲の向 上を図る。いや、関係者となればもっと積極的に調べに行くかな、と思ったのですが…… 結果的に全く裏目に出たり。無条件に信用されちゃってるし(笑  モニカの説得に成功したらヴリトラは誰か別の人物に操らせよう、と考えていましたが それがまさかカルマになるとはこのときには想像すらしていません。  ローレンツ相手の駆け引きでドタバタをやるつもりでしたが、時間がないのではしょっ てます。ちなみにクラウスが調べたときは正規のガイロス諜報部の人が接触に来ています が、その事実を知ったモニカが次の時にグウィネヴィアの者を送ってローレンツの外堀を 埋めに行ったわけですが……はしょったのであんまり意味はなかったかも。  ちなみにクラウスが寝落ちしていなくても各PC(持ち物とか)に盗聴器が付けられて いたため相談内容は筒抜けだったりします。基地の外に集まる、までは良かったのですが 誰も盗聴器チェックとかしないし(笑 第四話  名誉から一転……な、シナリオ。や、上手くやればそのままの地位にいることも出来た のですが。  レクスに全然情報が行かない……まぁ、元々中ボスとの絡みであるために情報制限して いたのですがその一部を解禁しようかとレオノーラを接近させましたが、すげなくかわさ れた感じです。  ローレンツの尋問については……まぁ、あの状況では仕方のないところでしょう。つか、 自分たちの置かれた状況とかあんまり気にしてなかったのがああなった原因かも知れませ ん。普通はそこまで気にしませんけどね。  ゼネバスハンター内での知り合いとかが話を振っても良かったのですがそこまであから さまにアピールするのもどうかと思いましたし、元々時間がかかるオンラインでのセッシ ョンなのでその辺は省いてますね。  逆にクリスを出してその辺を伝えようとしたのですが……結局伝わって無かったです ね。どっちに転んでもGMとしてはその状況を演出するだけなので困りはしませんがPL としてはキツイ状況でしょう。  ローレンツとの尋問腹探り合戦はほとんどアドリブ。利用できそうな所はメモってあっ たので後はGM側の想定(ガイロス帝国諜報部とグウィネヴィアの行動)と照らし合わせ て発言。思ったより上手く纏まってしまい隙が少なかったかも知れませんね。  ちなみに『嵌められた』と思われているようですが、嵌めたのはモニカであって他の人 間は利用されただけだったりします。モニカの目的と感情として『ローレンツが邪魔』と 『知り合いは殺したくない』でしたのでそれを上手く組み合わせた感じでしょうか。ロー レンツは『調査任務』と言う目的を『現状でうち切り情報を持ち帰る』まで譲歩して遂行 しようとしていました。クリスは『モニカの援護』と『アンジェを守る』が相反してしま っているのでなるべく伝えようとはした感じです。不器用ですね(笑  レオノーラ?奴に目的なんて無いですよ(お  ラストの戦闘は時間短縮のために省いていますが、戦力を見ても全然勝ち目はなかった と思われます。アナスタシアはデータ的に瞬発力が無く最低値保証型の戦闘能力配分です ので。  オーバーブースト?それを使った時点で自分が戦えなくなるなら使える技じゃないです (お  で、丁度良いので演出として『バロール』ことヴリトラの性能ちょっとお披露目。セイ スモサウルスと誤認して貰っていた方が後々吃驚して貰えると思ったのでそのように演 出。つーか、重要な情報は出さなければPLはあーだーこーだと想像してくれるので楽で す。  PL達に『コイツは信用して良いよ』と言うことで出したフランク氏ですが全然目立っ てませんね。まぁ、NPCは目立っちゃ駄目なのでそれはそれでイイのですが(笑 第五話  戦闘が三回も発生した上に話し全体も長くこのキャンペーンの中で最長のシナリオでし た。  一戦目の対ソニアはただのネタと印象づけの為だけのモノでした。あと、ワイツタイガ ーがどんな風になるか作ってみただけですね。後天的特殊能力が一つ乗り換えで埋まって いるので普通の六レベルキャラより大分弱かったですがダイス目のお陰で色々と面白い自 体を引き起こしてくれました。まぁ、気合いがあるので『クリティカル>死亡』でもさし て危険度はないので良しとしましょう。  ちなみに百年後の機体を出すのは無茶すぎると思われそうですが『戦争終結前に研究、 開発が進められていたがロールアウトが間に合わず戦争終結後は復興のためにブロックス を量産、その結果戦闘を前提としたタイガーシリーズのロールアウトは百年ほど遅れるこ とになった』とでも考えてくれればさほど無茶はないと思われます。データ的にはサーベ ルタイガーと大差ないですし(笑  ゾイテック潜入では某山北御大が『セッションにえろシーンを入れると盛り上がる』と 仰っているのでそう言ったネタを仕込んで見るも余り機能せず。まぁ、男同士で下ネタに 盛り上がったところで虚しいだけですしあの程度で良いのでしょうけど。GMとしては状 況を用意して後は様子見ですしね。  で、レクスのPLが居なかったけれど敵討ちネタの一部始終をばらす。敵討ちネタはこ こで終わりで後は仲間と絆を深めてラストバトルの方向へ行って欲しいと思ってこの辺で 纏めてみたわけですが……予想外に戦闘が起きたり。まぁ、私は手を出さなくて済むので 対して苦労しないのでその辺は結果オーライ。  ここでカルマが出てきたのもただの思いつきで、ヴリトラの装備に対する言い訳でしか なかった気がします。悪役として使いやすいのでどうせだから目覚めさせてしまうか、と 目覚めさせたりしたわけですが。ただ、悪役としてまだまだ二流程度っぽいのでもっと悪 役らしく振る舞わせれば良かったかな、と。  戦闘では一騎打ちでアンジェが必殺技を使えるようにタイムリミットを三ターンにして いましたが、ダハーカを突破する方では三ターンあると余裕過ぎるので色々難癖付けて二 ターンに縮める。やはりゲームはぎりぎりの線が美しい(笑  つーか、三ターンあるとほぼ絶対に防げないのでああなった次第です。クリスの話しや コードネームからヴリトラを倒すのにダハーカが必要だと言うことは伝えてありましたけ ど、間違って殺されても後味悪いので殲滅戦にはならないようにしたわけですね。  戦力的、ターン的に倒せないとは思いましたけど。重格闘機が居ない時点でダハーカの 有利は揺るがないので。  誰もブリッドキャンセラー対策の形成炸薬弾とか積んでないし。  アンジェとクリスの一騎打ちに付いては大分戦術面で手加減しています。本来の私なら ばもっとえぐいことをやっていますが……つーか、ダイス目が悪すぎるアンジェに乾杯(お  アンジェのダイス目が良かったら『握りつぶし』で移動と回避にペナルティを与えて置 いて次のターンに『頭部狙いバルカン』でアンジェを行動不能にして『押さえ込み』もし くは頭部潰しに行ったと思われます。その為に命中+6なんて言うアホなバルカンを装備 している訳で。逆に『握りつぶし』中はクリスの方にも回避ペナルティがあったので部位 狙いされたらちょっと厄介でしたが、回避力はそこそこ有るので回避できるだろう、と高 をくくっていました。火事場の馬鹿力もありますし何とかなったでしょうが。  実際の戦力比としては『アンジェ:クリス=10:9』って所でしょうか。余り効き目 の無かったADシールドですが相手にすると結構厄介ですし。まぁ、格闘特化機体と同じ フィールドで戦える万能機と言う事で総合的にはクリスの方が強いのですが、直接戦闘能 力的には大差なかったと。  最終的にはノリと演技だけで処理している辺りこの一騎打ちはさして意味はなかったの ですけど。まぁ格好いいシーンが結構出来たのでやった甲斐はありましたね。  アンジェのクリスに対する説得は全般的に『自分の考えを言う』が目立っており、クリ スの忠告も全然聞かなかったり……とほとんどマイナス方向だったのですが『どうにかし たい』と言う意思表示はされていたので説得成功としておきました。初心者が居るキャン ペーンですのでその辺は甘めです。  オフのメンバーなら甘い甘い言うんだろうなぁ(苦笑  レクスの反逆戦闘は時間がかかりすぎるのもアレかな、と思いレオノーラを突っ込ませ たり。PLとしてはアンジェの新必殺技修得に対する必要演技と言うことにしたかったら しいですが。  レオノーラが殺される、と言うことはないと思っていたので割と安心して突っ込ませて いますが……もし殺されたとしても困りはしなかったかも(笑<鬼  まぁ、レクスの演技は割と理想でしたのでそこの所は安心していました。 第六話  ノリとかイメージは全般的に某『装甲戦闘猟兵の哀歌』ですね。  デモンストレーションの為の軍事行動、それの失敗、隠蔽、調査、裏切り……つーか、 このキャンペーン自体のイメージがそれだったりします。  進軍マップとかのルールがあるのならこれも色々と利用しやすいシチュエーションだと は思いましたが、残念なことにそう言った方向のルールは作っていなかったので何時も通 りの進行で処理しています。まぁ、TRPGですしね。  このまま直で行くと特にPCが行動するイベントがないな、と思い墜落イベントを入れ ましたが……気合いを上手く使おうよ(苦笑  で、ヴリトラによるアナスタシア抹殺シーンですが、これはキャンペーンの事を考える 前にイメージとして思い浮かんだので是非入れようとしたシーンですね。『NPCを一撃 で葬って悠々と見下ろすガン・ギャラド』は流石に迫力があったようです。その為に絵ま で描いてますしね(笑  レオノーラに対するクラウスの配慮は流石と言ったところでしょうか。  元々モニカがラスボスの予定ではあったのですが、知力も並以上の人なのでゾイド乗り としては特化型より全然弱くその意味ではボスの威厳がない人でした。仕方ないので改造 Pを鬼のように追加して強化して置いたり。むしろカルマのゾイド特殊能力追加が強かっ たと思いますが。  悪役と言うことで私の尊敬する悪役であるガーゴイル様並に酷い台詞を使おうとしてい ますがまだまだですね。元は『戦争が憎い』だけの優しい人ですのであのくらいしかでき ませんでしたけど。  そしてこの段階ではモニカを説得することはほぼ不可能でした。今までの説得をメイン に考えていましたので全然会話をして居なかった為説得不能にしておきました。説得され ても結果は大して変わらなかったと思いますが、この程度で説得されてしまうのなら『誰 も傷つけなんかしない』訳で。  キャンペーンの隠れたキモである『モニカ説得』は完全に失敗していましたね。モニカ が怪しいというのは十二分に伝わっていたと思うのでその辺はもうどうしようもなかった わけですが。  最終決戦ちょっと前でレオノーラが殺され損ないましたが、アレはただの演出と『ラス トバトルでレオノーラが行動できない』と言う理由付けのためだけだったりします。実際 中ボスクラスのNPCを味方にしてしまうとPCの活躍を喰ってしまうのでそう言った処 置に。  戦闘についてはクラウスのPLと多少裏で相談しながらやっていたため的確な戦闘指示 としてこちらとしては安全に戦闘を行った感じです。普通は射界の関係で一体に対しての 集中攻撃は上手くできないようになっているのですがチャットだと射界とか考えるのが無 理なのでその辺はテキトーにばらけさせています。が、その辺を制限するルールがあった 方がいいかな、とか考えたり。  実際問題としてヴリトラを完全に倒すのはかなり難しいと思ったので一定以上危険にな ったらカルマを逃がすことで戦闘終了とするつもりでした。奴が居た方がシナリオのネタ に出来そうですしね(笑  そして真のラスボスであるクラウスに付いては……PLにそのように指示していただけ なので七話とか全部クラウスのPLに丸投げでした。いい加減バンザイ(笑  まぁ、ボーナスステージみたいな感じで考えていましたのでこれはばれるはずがない… …と言う(笑  意外性があって燃える展開になるかな、と思ったのですが意外性が多すぎたのかPL達 は結構疲れていたような……チャットだとオフでやるときより反応が分かりにくいのでシ ナリオやら仕掛けやらがどんどん大げさになるわけです。今後の課題か? 第七話  事実上の最終回。全部クラウスのプレイヤーに丸投げでした。  途中でクリスを押しつけられましたが、まぁ、これは仕方のないところでしょう。絵的 に格好いい『必殺技で荷電粒子砲を無効化する』と言う事も出来ましたし。  クラウスのプレイヤーは渋い役所が好きっぽいですが、普通にゲームをやると考え込む ことが多くどちらかと言えばGM向きじゃないかと思ったりします(笑  戦闘バランスとかも優しいですしね。  エンディングは完全にアドリブですが割と綺麗に纏まった方でしょう。  戦争しないとその世界自体が成り立たないゾイド世界ですが、やはりその中でも戦争を 終結に導こうとする人間の意志が欲しいと思ってこんな感じになっています。あんまり重 い話は好きじゃないので軽くですけどね。  NPCが活躍しすぎるのがゲームとして大分不味い方なのでそれがなかっただけでもま あ成功と言うことで一つ。
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