診察・治療に対する病院の考え方

 

検査や処置・手術の意味を飼い主さんにも解っていただきたいと思うのです。

ヒトの医療でもそうですが、病院に行きさえすればあとは医者がすべて決めて最後に精算するだけという獣医療の時代は終わっています。動物の性格や行動については獣医よりも飼い主さんの方がよく知っています。

治療に関してはもちろん獣医が提案します。なるべくわかりやすくお話ししようと思っています。ここで飼い主さんと獣医の情報交換が成立して、その動物に一番あった治療方針を決めていきたいと思うのです。

検査結果の報告用紙によるご報告 ご希望の方には検査結果をプリントアウトしてお渡ししています。口頭だとわかりにくかったり、家族に説明するのに材料が無かったりということを解消しています。下はその例です。このほかにもご希望の方には全ての検査において報告書の作成をしています。

病気の動物に優しく

そのためには飼い主さんにわかりやすく

遠慮無く質問をしてください

飼い主さんにお願い

上手に得する診察を受けよう

病気の動物に治療をしながら負担をかけない様にという意味です。

元気なときに優しくすることは動物を飼っている方ならどなたでも行っていることです。病院では検査をしたり手術・処置をしたりすることが主な仕事で、これらの行為を動物に理解を求めることは困難です。

一部の治療では動物を保定(おさえていて)して行わないといけないこともあります。それを嫌がるからといって毎回小さな処置のために麻酔をかけるのも考えものです。最小限のリスクで治療目標が達成できるように考えながら治療方針を立てたいと思っています。

・手術、治療経過の画像によるご報告 手術や皮膚病などの経過は百聞は一見に及ばないので画像で記録してご報告、解説しています。

以上が病院の基本姿勢ですので、何事も遠慮なくご質問下さい。

病気に関しては聞きやすくても費用に関しては聞き難いというのが日本人の基本ですが、待合室に掲示してある診療料金表に無いこと(たとえば手術などは手術材料や手術時間によって当然変動がありますから)に関してはお話ししてから治療に取りかかるようにしていますし、また飼い主さんの方から聞いていただいてもよいわけです。

診療料金表が掲示してあります。

病院は以上のような考え方を持っています。

 そして、一度ご来院いただいたからには永くおつきあいをさせていただきたいと思います。このためには飼い主さんのご協力も必要です。なるべく診察時間も長く確保するように努力していますので、診察時間は守ってください。獣医も機械ではありませんから、休憩時間も睡眠時間も必要です。

 こちらのコンディションが悪いと診察時間内にいらした患者さんにもご迷惑をかけてしまいます。お互いに協力して質の高い獣医療を動物に提供しましょう。よろしくご協力下さいます様お願い申し上げます。

飼い主さんも獣医も人間で、どちらも完璧ではありません。相性だってあるでしょう。ですが、飼い主さんは動物が病気で困っていることは確かで、獣医は早く完治させたいと思っていることも事実です。

飼い主さんも評判とかホームページとかでなるべく良い獣医に会いたいと思って病院に来ているはずです。獣医も飼い主さんと動物は何をどこまで求めているのかを常に考えています。

限られた診察時間の中でお互いに気持ちよく目的が達せられるようにしましょう。なるべく丁寧に話を伺おうと思いますが、飼い主さんにもこんな事をお願いできると助かります。

・常に動物の世話をしている人が連れてくること

  飼い主さんからの情報が重要な動物の診察では「病院行って来てって言われたけど、今日の食欲とか糞便のことはわかんない」ということでは困ります。

・重要な情報を簡潔にまとめてくること

 正直なところ私が診察しにくいパターンの一つに「話が飛ぶ」飼い主さんというのがあります。食欲が無い話をしていたかと思えば犬が子供の頃の話をしたり、昔飼っていた犬の話をしたり・・・もちろん余分な話をするなと言うことでは無いのですが、結果的に今病気の動物に対する情報が整理できないのです。こんな風だと助かります。

(初診なら)動物の年齢、避妊去勢の有無、フィラリア予防薬の投薬の有無、ワクチン歴、出産歴、最後にあった発情期(メスの場合)今までかかった病気のこと、食べているフードの様なプロフィールは把握していてください。

(病気に関しては)

(1)どこがどんな風に調子悪いのか?

(2)その症状はいつからでているのか?

(3)治療(他の獣医さんが治療している/自分で薬を買って与えている)をしている途中かどうか?

などをまとめて話すのが苦手な人ならばメモして来てくれると良いと思います。

・動画/ビデオの活用のお願い

病院で直接目で見える病気は比較的診断がしやすいのです。

しかし、発作や咳、時々の跛行(びっこ)、おかしな立ち振る舞いなどは症状が病院で再現されないことがあります。

ここで活躍するのが、進化し続ける運動会用ビデオカメラや携帯電話の動画です。

家で発症した時に可能であれば撮影しておいて下さい。症状を言葉にするのは難しく、ビデオで見れば一発で理解ということは経験上良くあるのです。

咳や呼吸の症状の場合は「音」も大切です。

歩様を撮影する時は上から(リードを引いている人が撮る)では無く、横から他の人にとってもらうとわかりやすいのです。