DREAM   Princess mermaid   プロローグ



   はるか昔・・・。
  まだ人類が母なる大地、地球でのみ生活を許されていた時代。

  大いなる海原に居住する一つの種族があった。

  彼等は、類に漏れず美しい容姿を持ち、下半身はその一枚一枚ですら価値のある輝く鱗を纏った姿をしていた。人間は彼等を『人魚』と呼び、その存在を讃えたが、それと同時に彼等は、人間を魅了する魔性の存在であったという。
  人魚の姿に魅入られた者は、彼等を手に入れようと争いを起こし、やがて多くの者が自ら破滅への道を辿る。
  そんな人間の愚かな姿を嘆いた人魚は、人の目に触れることの無い、穢れ無き、静かで清らかな海へと移り住み、人間との一切の接触を断ったのだと言われている。

 後に語り継がれる伝説の中に、こんな一文が記されている。



      『幸運にも彼等と思いを遂げることが出来た者には、
                  限りなく幸福な人生が約束されることだろう・・・』



2005.08.12

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