超兄貴 究極銀河無敵最強男

超兄貴を初めてプレイしたのはこれです。

「クソゲーとは唾棄すべきものではなく全身全霊をもって愛おしむものでございます。」

わたしは幼い頃から皆がクソゲーと呼ぶゲームばかりをプレイしてきました。
全身全霊でなくとも皆がけなすゲームに愛情をもって接してきました。
スペランカー、トランスフォーマーコンボイの謎、シャドウゲイト、悪魔の招待状、暴れん坊天狗、
デスクリムゾン2…主にファミコンの有名どころばかりを挙げます。挙げるときりがないのでこの辺にしておきます。
他にも光GENJIローラースケートパニックなんてのもタイトルだけでダメっぽいのもありますが。
しかしそれらの猛者たちが子供に見えるほど住む世界、と言うよりも向かうべきベクトルが違うゲームがありました。
クソゲーの代名詞のひとつにも数えられるのに挙げた中に入っていない事から見当がついている事でしょう。
そうです、超兄貴です。
1992年のクリスマスに隕石の如く現れ、ゲームの業界に違う意味で衝撃を与えた伝説のクソゲー…
それが超兄貴。
一世を風靡した存在だけあって皆様もどうゆうものか大体御存知でしょう。
シューティングゲームなのですが、

自キャラは筋肉。
オプションも筋肉。
ザコ敵も筋肉。
ボスキャラも筋肉。
背景までもが筋肉。
パワーアップアイテムはプロテイン。
何もかもが筋肉です。

それは 筋肉と言うには
あまりにも大きすぎた
大きく 黒く 重く
そして大雑把すぎた
それは正に肉塊だった

超兄貴ワールドとはそんなものなのです。

わたしはこの製作者の「売り上げ?そんなもの見えやしねー!」とでも言わんばかりの妄執が気に入ったッ!
究極のクソゲーです。
前置きは長くなりましたが何が言いたいのかというと、
「せっかくだから俺はこのむさいゲームを選ぶぜ!」
という訳なのです。
○知っておきたい兄貴のこと。

兄貴と言えばムキムキのマッチョボディー、衣服は黒いビキニパンツ一丁、
頭は基本的にツルッパゲで頭の穴からビームを撃つ。
この位は皆様にとって周知の事実だろう。
文面のみで申し訳ないが彼らの生態に触れよう!

メサイヤが作り出した「兄貴」とはッ!
ひとつ 筋肉なり!
ふたつ 決してトレーニングを怠ったりせず!
みっつ 決してビキニパンツを脱ぐことはない!
よっつ 自分を上回る筋肉の持ち主を敬愛し
しかも それを兄貴と敬う!
そしてその形はリリアン女学園の姉妹(スール)制度の様に
美しさを基本形とする。

これがッ!「兄貴」の肉体だッ!
☆人間は男に生まれれば産まれてから一度は世界最強を夢見るもの。(バキによれば)
 それと同じように兄貴も本能的に体を鍛えて(ボディ)ビルダーになる。
・視力…筋肉を見る目は確か。いい男は見逃さないぞ!
    「ウホッ!いい男!」
・知能…頭の中は体を鍛えることでいっぱいだ。
    頭にビームを撃つ穴があるため本当に頭の中に脳があるかどうかは不明。
・筋肉…ワセリンでツヤ光している。どんな短時間でもトレーニングをしようとする。
    つまり短時間でビルドアップ可能。
・睡眠…寝たところを見たことがない。しかし兄貴と慕う者に冷たくされるとふて寝する。
    「兄貴ぃ〜そりゃねえっス!」
・好きな食べ物…プロテイン。ジャンクフードなどビルダーにはもっての他!
        ナイトメアズの様にゆで卵の白身やチキンの皮を食べているかは未確認。
・パンツ…基本は黒のビキニパンツ。ふんどしも認められている。これが兄貴の正装。
     兄貴に人前でパンツを脱ぐことは許されない。断じてホモ漫画とは一味違う!
・SEX…必要…あるんかなあ…?兄貴は性欲を持て余すことはしないのだ。
     ジャンプの某漫画は一度「プロテイン100%」に変えてみるべきだ。
・生物としての目的…他の生物は種を残していくことにあるが、
          彼らの場合は自分の思うがままの筋肉を創造してゆくことにある。
          それがビルダーの本能。
○さて、この話がカンコン参加品ということもあり、わたしが超兄貴シリーズからひとつピックアップして感想を述べよう!

わたしはせっかくだからPSソフト「超兄貴〜究極無敵銀河最強男〜」を選ぼう!
サターン版もあるがそちらは18以上推奨なのは御愛嬌だ。
最新作はPS2ソフト「超兄貴〜聖なるプロテイン伝説〜」なのだが、あえて前のものをススメる!
このゲーム、超兄貴のジャンル通りシューティングゲームなのだがこいつは訳が違う。
何がスゴイかって、「実写シューティング」なのです。
実写ゲーム…悪名高き実写ストリートファイターやモータルコンバットの様にキモイだけだろうと皆様は考えよう。
その通りです。キモイだけです。

自機にあたる主人公、イダテンとオプションのアドン・サムソンは実際のボディビルダーを使うという念の入れようです。
画面全体に実写のビルダー達が氾濫してます…悪夢だ…。
文章でしか表現できないのが残念です!見た者全てを否応なく「いや」の世界に引きずり込む強烈なインパクト!…え、エグイ!
「許可してやる!超兄貴の世界に入ることを許可してやる!」
などと言われても誰も入らないでしょう。むしろ強制的に引きずり込まれます。
「見たありのままを話すぜ…'ゲームを始めたらパンツ一丁のマッチョ野郎共が画面中にあふれかえってた'
…キモイとかそう言うレベルじゃねえ常識をはるかに超越した狂気の片鱗を感じ取ったぜ…」
と思うこと受け合いです。コーラを飲んだらゲップが出るっていう位確実です。

・ストーリーの解説をしよう。
銀河は一人の男のために恐怖のどん底に落とし入れられようとしていた。究極にして無敵、銀河最強の男、
その名も究極無敵銀河最強男。奴を倒すべく、天界に住むイダテンは徒弟アドンとサムソンを連れ、旅立った…。
まあこんな話です。要するに究極無敵銀河最強男というまんまな名前の奴がラスボスという事です。
主人公の解説に移ろう。
主人公、イダテン!皆が兄貴として知るアドンとサムソンの尊敬する兄貴であり、天界に住む神でもある!
ルックスもイケメンだ。
声優は美形キャラで有名な置鮎龍太郎!本当だぞ。
オプション、アドンとサムソン。皆さんおなじみの兄貴達。ビキニパンツにブレスレット、
眩しいスキンヘッドとトラディショナルな兄貴の姿だ。この時点では外見では区別は付かない。
声優はアドンがスタローンやシュワルツェネッガーの吹き替えで有名な玄田哲章。
サムソンはゴツイ声で有名な郷里大輔だ!いずれも有名な声優ばかり!

「このゲームを甘く見ていた!'無駄に'すごい!」
それがわたしにとって、このゲームの評価の大部分なのかも知れない。
2プレイヤーの弁天は割愛です。男女差別じゃないですよ。念のため。

ゲームをやってみると。
実写のイダテンと、その脇の回転する実写のアドンとサムソン。
画面狭しとばかり乱舞し襲いかかるマッチョな敵たち。
ここに挙げるのは一部の例ですが…
マッチョな上半身の男人魚。
パプワくんのタンノくんばりに、足だけマッチョな人間なカエル。
マッチョな胴体を持つカモメ。
マッチョな仏像、屈強な足の生えたとっくり。
男塾万人橋よろしく無数の兄貴達がガッシリ組み合て連なる敵。
もちろん全部実写。文章でしか表現できないのが惜しいです。

ボスキャラに至っては半裸のバーコードハゲのおっさん、「逞と純也」、
パンツ一丁で組み体操のピラミッドやってる「教師と生徒の三角形態」
股間に変な砲台のついてる「宇宙戦艦YAROU」
マッチョでパンツ一丁な黒子が操る人形「アブドーミナル文楽」、
マッチョ野郎達がパーツになって動かしている「人面機関車スプレッド」…
全ての存在がイカレてます。
承太郎でなくても「イカレてるのか?」と言います。

しかもボス戦前には井出らっきょみたいなハゲカツラの男がにこやかな顔でボス戦のお知らせをする始末。
ラスボスである究極無敵銀河最強男を操作できるシーンもあります。
大口径のぶっといビームで向かうところ敵無しです。弾が当たっても死にません。
でも、股間に弾が当たると煙を上げて死にます…く、くだらねー…。

ボスを倒すとアドンとサムソンが笑顔で仁王立ちになり、奇声を上げながら
「すてえぢくりあ」のテロップが浮かびます。
このせいでわたしはサクラ大戦の「勝利のポーズ」もアドンとサムソンを連想するようになってしまいました。
誰か助けて…。

パワーアップアイテムはプロテインで取ると弾の威力が上がっていきます。
アドンやサムソンも取るたびに機嫌がよくなり、
「すげえ!」「オッケ〜イ!」「最高だぜ!」などと感想をもらしてくれす。
その反面、弾が当たるごとに彼らの機嫌は悪くなり、
「いてっ!」「くそお!」
などとぼやいていき、最終的には「やってらんねえ!」と言ってふて寝して働かなくなります。
彼らを弾からの盾にしすぎてるとアドンとサムソンの好漢度…もとい信頼度ダウンでボイコットです。EDも変化します。
愛されるようなよき兄貴であれ。そのことをこのゲームは教えてくれます。
そして、苦難の果てにラスボスを倒したどりついたEDは、信頼度最悪で帰路にいたって喧嘩を始め、
ラスボス以上の被害を銀河にもたらしてしまったという結果でした。

そうして、ぼくの初めての超兄貴は「兄貴ぃ〜そりゃねえっス!」な結果に終わったのでした。
わたしには兄貴度数が足りなかったのですね。反省を込めて、日々筋肉トレーニングに励んでおります。

そんなゲーム、大学の部室…文芸部なんですが、暇さえあれば仲間と同時プレイしてやってました。
うちの部は女子多いんですけど。
…もちろん大ひんしゅくを買い超兄貴禁止令まで発令しました。
その…下品なんですが…「部長」でしてね…わたし…。
卒業に際して、後輩達はわたしを尊敬すべき先輩として送り出してくれるでしょうか。
まあ、なんですか…「超兄貴」は結果として様々なことを教えてくれました。
無駄なことをすることの楽しさ。無駄なことに労力を費やす面白さ。
そのせいで今までの学生生活、随分無駄なことを繰り広げてきました。
バイトで稼いだ金もクソゲーで費やしたり、
試験前や部の原稿締め切りを前にしてもゲームなど様々な無駄なことに浪費しました。
そして、カンコンの締め切りもオーバーしてしまったというのもそんな訳なのです。
そう、全ては超兄貴に学んだことでした。
…とか、言ったりして…ハハ…。(汗)

直後ディアボロ、メンズビームで11419回目の死亡。

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