金比羅神社・琴平神社の総本宮である讃岐の金刀比羅宮
一般に「こんぴらさん」と呼ばれて親しまれている神さまである。
その本拠地は、四国の金刀比羅宮(香川県多度郡琴平町)にある。
金比羅(こんぴら)様は、本来は薬師如来の十二神将の筆頭・宮比羅大将(インドではク
ンピーラ)のことで、般若守護十六善神の一に数えられる守護神であり、釈迦が修行した
というヒフラ山の守護神でもあります。このヒフラ山は形が象の頭に似ていることから
象頭山(ぞうずさん)とも言います。
クンピーラは、漢訳して官毘羅(グビラ)大将、金比羅童子とも呼ばれました。十二神将が司る
干支のうち、子の方角を司り、色の中では黄色を表す。その手に宝杵を持った姿で描かれる
クンピーラ神は、ガンジス川に棲む鰐の神格化されたものである。日本神話でも鰐は海神や
龍神、水神と深く関係しているように、クンピーラは日本に入ってくると海神や龍神に見立てられ
海難や雨乞いの守護神として信仰されるようになりました。特に雨乞いの神として、農民の信仰も
厚いものがあります。古来、雨乞い祈願の神というのは五穀豊穣をもたらす神でもありました。
特に、雨が少ない地方では、田植えの時期に旱魃に悩まされることが多く、農民たちは金比羅
(こんぴら)様に参拝して降雨を祈ったのであります。
漁民や農民の厚い信仰が、当然のように一般の人々にも浸透し、金比羅(こんぴら)様への
参詣が盛んになったのが江戸時代だったそうです。江戸や大坂から「こんぴ船」と呼ばれる金比
羅参詣専用の船が出されて大にぎわいの盛況を呈しました。そうした人々が金比羅(こんぴら)様
に祈願したのは、諸願成就、商売繁盛といったものでした。また、古くから道開きの神様
として信仰され、海や川では海上交通、水難等の守り神として、陸では道路交通の守り神
とされています。
また、主祭神の崇徳天皇が、讃岐の金刀比羅宮でいっさいの欲を断ち切って参籠(おこも
り)されたことから、断ち物の祈願所としても信仰されてきました。それは、戦によって
心ならずも寵妃烏丸殿とお別れにならざるを得なかった、崇徳帝の悲しみのお気持ちが、
幸せな男女のえにしを妨げる全ての悪縁を絶ちきることから。病気、酒、煙草、賭事など、
全ての悪縁を切り、事が良縁に結ばれるといわれています。