良性発作性頭位めまい症


<症状>
 急に起き上がったり、寝返りをしたりすると、ぐるぐる回るめまいが起きます。洗濯物を干そうとしたり、靴ひもを結ぼうとしたりして起こる場合もあります。
 めまいは大体1分ぐらいで治まります。耳鳴や難聴が一緒に起こることはありません。場合によっては吐き気を伴うこともあります。
 めまいを起こす動作を繰り返すとだんだんめまいは弱くなっていきます。

<原因>
 内耳には平衡機能をつかさどる三半規管というところがあります。その中に耳石という砂粒のようなものが迷い込んでしまうと、頭を動かしたときに三半規管の中を移動しますので、神経を刺激してめまいを起こすといわれています。



               
              
耳の構造     南山堂「平衡検査の手引き]より



<診断>
 
めまいを起こしているとき眼球はぐるぐる回転したり、左右に揺れたりしています。これを眼振といいます。この動きを観察することが、このめまいを診断する上で大変重要です。検査の時に眼の動きを拡大する眼振観察用のメガネをかけます。当院では赤外線カメラ付きの特殊メガネを用いており、パソコンで画像を記録・保存しています。検査後、説明の際に画像をお見せしています。
 


<治療>

1) 自然に治ることもありますが、長引くときはめまい止めを飲んでいただいたほうが良いでしょう。めまい止め以外に循環改善剤やビタミン剤などを処方するときもあります。
2) 三半規管に入り込んでしまった耳石を出すために、理学療法を行うこともあります。体位を変換して耳石をめまいを起こさない部位に導き出すのです。どの三半規管に入ったかによって、体位変換の方法は変わります。


このめまいは約半分の方が再発するといわれています。寝不足や風邪のとき、お葬式や結婚式の翌日など、体が疲れているときに起きると言われています。めまい自体は軽い方で、比較的早く治りやすい病気です。めまいを怖がって動かないと、かえって治りが遅くなるので、あまり心配しないで普通の生活をしましょう。