現代人の法話 
〜 人からクサされた時 〜

 あなたは人から陰口を叩かれたり、面と向かって非難されたことはありませんか。誰しも人から忠告されたり叱られれぱ嫌な気持ちになるものです。そんな時には相手を恨み、ときには仕返しをしたくなるのが人情です。
 これは今に始まったことではなく、歴史を繙いても、多くの戦争や争い事は大抵、相手を中傷するところから始まり、お互いがいがみ合って、その相手に仕返しし、終には刀傷沙汰に及ぶ結果となるようです。もし、自分に落ち度があるなら、率直に相手に謝れぱよいものを、気位の高い人ほど自尊心を傷つけられた腹いせに、相手に倍返ししても叩き返す人を見かけますが、大人げない話です。しかしながら現実には何とそうした人が多いことでしよう。ときには、本人に何か面白くない事があると、そのウップン晴らしに周囲の人に当たり散らし、たまたまそこに居合わせた人は痛くもない腹をさぐられることがあるので要注意です。
 凡人はとかく威張りたがるものなので、自分がクサされる原因が見当たらない時には相手の気のすむまで言わしておき、泰然自若としていることです。そして、お釈迦さまが『法句経』で「ただ謗られるのみの人、また、ただ褒められるのみの人は、過去にも未来にもなかるべし。現在にもなし」という言葉を思い出す事です。私たちは、何かをすれば人からとやかく言われ、また何にもしなくてもとやかく言われるものなのです。どちらに転んでもとやかく人は陰口や非難をしたがるものと割り切ってそれに負けず、自分の本当にこの世でやるべきことを黙々となし遂げる人が最後の勝利を収めるのです。



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