現代人の法話 
〜 自分に何ができるか? 〜

 今の日本は景気が悪く、いつまで経っても回復しないとボヤく人がいますが、そういう人に問いたい。あのバブル景気が戻ればいいと思っているのか、それとも雇用や所得が伸び、今まで以上に快適な生活ができれぱいいというのかと。「夢よもう一度」を期待したところで、おそらく実現不可能でしょう。というのは、今までの日本の経済繁栄は、たまたま宝くじに当たったようなもので、欧米先進諸国のへまや立ち遅れによって漁夫の利を得たにすぎなく、実力があって実現したわけではないからです。前厚相・小泉純一郎氏の言葉を借りれば「よくもまあ」日本の社会がここまで持ちこたえられたものだ、と感心するくらいです。それほどわが国は、恰好だけは先進国の体裁をとっていますが、内実は張り子の虎であることを知っておくべきです。今まで建物や規模を誇って、さも信用ありげな大手企業体が次々と財政破掟や不祥事を起こしている実情を見れば一目瞭然です。
 では、私たちはどうしたらよいか?私にははっきり言って、いくら世の指導者が改善策を叫び、保護や援助の手を差し延べても、それらをあまり期待していません。勿論そうした施策は有り難いことですが、後で税金のツケが廻って来るだけだからです。それよりも大切なことは、私たちがどんな些細なことでもよいから、「これだけは一生かけて成し遂げたい」という夢を抱き、他をアテにせずに、その実現に向けて全力投球することだと思います。身体の不自由な人や高齢者にそれを望むのは酷ですが、五体満足な人ならば誰しも何らかの持ち味があるものであり、それを活かすべく努力すれぱ、「自分にはこれだけできた」という満足感や充実感が得られると確信します。
 これからはそうした自分たちの持ち味を持ち寄り、分かち合う時代が到来したようです。



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