現代人の法話 
〜 自己反省する 〜

 先頃、縁あって広島・呉に出講する機会があり、その帰路、江田島の旧海軍兵学校に立ち寄り、内部を見学しました。そこでは戦前と同じく海上自衛隊の幹部候補生への厳しい教育が施され、今日のだらけきった教育ぶりを深く反省させられました。
 というのは、そこでの学生は団体生活を送り、朝六時の起床に始まり夜十時の消灯まで、近い将来の幹部として、指導教官と起居を共にし、厳しい訓繰を受け、たった1年たらずで見違えるような精悍な青年に育っているからです。
 そこでの指導理念は「頭に教え込み、体に叩き込み、心に刻み込む」もので、朝は起床後5分以内に校庭に全員整列して点検後ラジオ体操をし、日中は理論の勉強だけでなく、夏は15キロの海上を全員遠泳するという過酷な共同体験を重視しています。毎晩、就寝前の点検では当日の言動を反省すべく、「五省」と題する以下の文章を斉唱しています。

一、至誠にもとるなかりしか
一、言行に恥づるなかりしか
一、気力に欠くるなかりしか
一、努力にうらみなかりしか
一、不精にわたるなかりしか
     を声高く読み上げるのです。

 今日の受験のための知識や偏差値重視の教育を見るにつけ、こうした心身一致の共同訓練を垣間見て、かつての軍国主義的教育は頂けないにしても、いついかなる時にも動じない臨機応変の動作と「常在戦場」の理念は時代が変わっても必要不可欠であると思うのです。自分の能力の限界を知る上にも、今日こそこうした教育が必要ではないでしょうか。
 こうした旧江田島海軍兵学校の教育内容を知りたい方は、その訓練ぶりを紹介するDVDを入手しましたので、無料で貸出し致します。試聴希望者は当山寺務所にお申し出下さい。




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