現代人の法話 
〜 二度とない人生だから 〜

 不透明な世の中にあって、せっかく生まれて来たのに、人からお世話になるばかりで、自らお世話をすることもなく一生を終わってしまうのは本当に勿体ない話です。私たちには、たとえ物質的に他に施すゆとりがなくても、精神的に施せるものが数多くあるはずです。
 自分や身内のためには贅沢三昧の生活を送りながら、ひとから貰うことばかり考えて他に何も施さず、ただ漫然と生きているのでは犬死同然です。
 私たちの人生は良くも悪くも一度かぎりです。その尊い人生を活かさなかったなら、自分をはぐくんでくれた天地自然や多くの人々に対して、申し訳ないことでしょう。
 二度とない人生だから、人にはつとめて親切に接し、相手の立場に立って、自他共に喜べるようなことをしよう。仏教詩人・坂村真民さんは、次のように詠んでいます。

  二度とない人生だから
  一ぺんでも多く便りをしよう
  返事はかならず書くことにしよう

  二度とない人生だから
  戦争のない世の実現に努力し
  そういう詩を一篇でも多く作ってゆこう
  わたしが死んだら
  あとをついでくれる若い人たちのために
  この大願を書きつづけてゆこう




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