現代人の法話 
〜 ほんとうの幸せとは 〜

 私たちの間にはよい学校を卒業し、一流企業に就職して、他を出し抜いてまでもお金を稼ぎ、豪華な家に住み、素敵な品を身につけて遊興三昧にふけり、人一倍の財産や名誉を残すことが「人生の成功だ」とみなすフシがあります。しかし、そうしたことが可能になったからといって、はたしてほんとうにこころから満足し、幸せになったかどうか大いに疑問です。
 というのは自分の健康を犠牲にし、家庭をないがしろにしてまでも一生懸命働き、生き甲斐として来た目的物を獲得したとしても、「いったい、これ何?」ということになるんじゃないでしょうか。寿命が尽きる段になっても後顧の憂いが残るとなれば、幸せとはいえないでしょう。
 仏典には「私には子供がいる、財産もある、と思いつつ、そのために人は悩み苦しむ。だが、自分ですら自分のものではない。どうして子供や財産が自分のものであろうか」(ウダーナ・ヴァルガ・一・二十)と問いかけています。そうしたものがあると考えていると、いつまでたってもそれにとらわれて満足がえられません。ほんとうの幸せとは、いろいろなものを持つことではなく、何時、どういうことになったとしてもたじろがない、人生への満足と安心だと思いますが如何。




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