現代人の法話 
〜 お金は使ってこそ価値が出る 〜

 かつての戦時中は官民揃って敵に打ち勝つために、物資不足の折「贅沢は敵だ」とばかり清貧の生活を強いられて来ましたが、最近の大不況時代にあっても飽食の消費生活を戒めるため、なるべくお金を節約して使わないことが美徳だと考えられているようです。たしかに無駄遣いは百害あって一利もなく、金魔にとりつかれることは避けなければなりませんが、ただお金を使わないで溜めていると、「淀める水には蛆がわく」の例えのように、経済、社会活動が停滞してしまいます。
 とかくわれわれは「隣の家に蔵が建つと、こっちには腹が立つ」と言われるように、嫉妬心から相手を陰でなじるくせがありますが、投機的に儲けた不労所得で贅沢三昧の生活をすることは頂けませんが、こつこつ汗を流し、努力して溜めた金融資産を、必要なものに消費することは何もやましいことではありません。それを自分や家族のためだけでなく、社会や国家のために消費することはむしろ積極的に勧めるべきものです。金融資産は天下の回りもので、こうしたものの流通活動が活性化してはじめて自他の発展が約束されるので、それを一緒くたにして歯止めをかけ、誹謗するのは筋違いというものでしょう。
 今日ではインターネットやグローバリゼーションが加速化し、情報や製品が世界中を短時間に駆け回り、それらをいち早く手に入れた人や組織が得をし、後続との格差がますます拡大する傾向にあります。それを埋めるには、「人の行く裏に道あり花の山」で、他が真似のできない立派なものを付加価値をつけて生産し、社会に役立たせるより方法はないでしょう。それには、金融資産を有効に使う知恵や知識や技術が、今後ますます重要視されます。




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