現代人の法話 
〜 たまの休みも仕事の内 〜

 最近では高度経済成長時代の後遺症からか、エコノミックアニマルと揶揄された日本人の働き過ぎが問題化し、企業体や学校での公休日が増え、親子共々ゆとりある生活が奨励されています。しかしながらそれによって精神的に豊かな人生を送っているかといえば、事実はさにあらずで、家にあっては暇を持て余し、外出すればお金がかかり、疲れ切ってブルーマンデーを迎えるようです。
 世間には毎日の生活で「あまり頑張らず、そのままでいい」と説く人がいます。企業戦士として過労死に至るまで安月給で働かざるをえない現実はとうてい黙視できないにしても、生きるためには何らかの仕事に従事せざるをえません。いい加減な仕事をしていたならいち早くリストラされて当然であり、自分の好きな仕事なら、ちょうど井戸を掘るなら「水が出るまで掘り下げるべき」で、それに向かって徹底的に没頭すべきでしょう。その出来具合如何は他がその価値を評価するのであり、そこでの仕事がどうであろうと、マイペースで構わないというのであれば何をかいわんです。
 今日では「渾身」や「律儀」な生き方が卑下され、その逆にいい加減に遊んでいる人が「ナウい」と持て囃されているようですが、そんな人に「頑張るな」と説いたなら、ますます増長するのが関の山でしょう。世間的な評価を一切気にしない自由な生き方はたしかに望ましいにしても、これでどうして他から信頼され、尊敬されるというのでしょうか。その結果は自業自得で本人が背負わなけれぱなりません。





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