現代人の法話 
~ 祈る大切さ ~

 

東日本大震災の復興ボランティアとして瓦礫の片付けに行った僧侶の話である。その方が僧侶であることを現地の被災者が知ってこう言われたそうだ。「お坊さん、あなたのすべき事は瓦礫処理ではない。瓦礫処理は他の方でも出来る。あなたしか出来ない亡くなった方のご供養、そして私たちのため、復興のためにお祈りをして下さい。」と。

僧侶は思った。「私は目に見えない〝祈る〟ことよりも目に見える成果が出る事をすべきと考え、片付けのボランティアに来たのだが…被災地では自分が思っている以上に〝祈る〟事が求められている事を知った。」

しばしば〝祈る〟という行為は誤解を受ける。いわく「宗教者は神仏にすがって祈るだけ」「祈るだけでは何も進まない、行動あるのみ」等々。しかし私は思う。〝祈る〟ことが周りに生きる力と勇気を与えることもあるのだ。もちろん祈ることは宗教者だけのものでは無い。先の三月十一日、多くの人が祈りを捧げる尊い姿を拝見した。

ある高名な教師が言っていた「人は願い、祈る方向へ進む。生徒にはどんな人間になりたいのか?なにを目標とするのか?そのために祈ることを大切にしてもらう」と。もちろん祈るだけでは片手落ちであり、行動が伴うことが必須条件である。そして〝祈り〟と〝行動〟のベクトルが一致した時、必ず大きな成果が手に出来ると確信している。復興のために共に祈り、共に行動していきたい。




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