現代人の法話 
〜 受け継がれる心〜大震災にて 〜

 

大震災の数週間後、新聞の投書欄に若い医師が書いていたという。「看護師の母は、患者を避難させようとしていて津波に呑まれました。最後まで患者のことを考えて看護師の道をまっとうしたのです。その母を思うと私は、あの世で母に遇った時、医師として恥ずかしくないように生きなければならないと思っています」と。

人として生きていれば、どんな人にも必ず死別がある。その悲しみ・喪失感に打ちのめされる時も来る。しかしあえて言うならば、その時、大切な事は、真心をこめてご供養・お見送りをさせていただく事、そして亡き方の思い・願いをしっかりと受け継ぐ事である。

亡き方がどんな思いで生きて来たのか?どんな事を自分に望み伝えたかったのか?また遺してくれた沢山の思い出、貴重なご教訓、背中や態度で示して下さった教え…、これら亡き方の心を受け継ぎ、生きる力へと繋げる事が何よりのご供養の一つと信じる。冒頭の若い医師のように…

亡き方はあなたがしっかり生きて、沢山の経験をする事を極楽浄土から見守って下さっている。そしていつか自分もこの世を離れる時、必ずお浄土で再会出来る。その時、褒めてもらえるように、沢山の良い報告が出来るように、今という時間をしっかり生きていきたい。




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